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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    本日の800文字チャレンジ
    クロリン/誰も知らない彼らの秘密
    Ⅳ第一相克後、この腕の重みに想う後アッシュ視点

    「しかし、ここまで運んでからブッ倒れるとか、パイセンも流石すぎんだろ」
     ブリオニア島にあった管理小屋で、ベッドへ倒れ込んだ途端に寝息を立てる銀髪の男をアッシュは呆れた目で見下ろした。
     リィンをここのベッドに下ろすまで疲れなんて微塵も見せなかった彼は、やはりリィン同様に消耗していたらしい。
     黒の工房からリィンを救出後、この島にある陽霊窟で相克という、騎神に選ばれた起動者同士の戦いを終えたリィンとクロウは、お互いの意思によって力の融合を拒み、新たな絆を結んだようだった。アッシュらにとっては落ち着いている印象が強い彼の、予想外な一面を見せられた気分だった。
    「ところで。結局、教官の言ってる利子ってなんなんですか」
     ユウナの素朴な疑問に答える声はない。顔を見合わせては首を振り合うリィンの同級生、旧Ⅶ組の様子にアッシュは首をさすった。
    「僕たちもその辺りは詳しく知らないんだ。以前からふたりでそういうやりとりはしていたんだけれど、どうにも改まって聞けるような雰囲気じゃなくてね」
     旧Ⅶ組を代表して答えたエリオットは、眉を下げ、返答に困っているふうだった。どうやら、このふたりのあいだにはヒンメル霊園でリィンが語った以上のなにかがあるらしい。
    「この方、黒の工房でも利子分は働くだのなんだの言っていましたけれど。一体その利子、今はいかほどになっておりますの」
     デュバリィの実直な人柄に呆れつつ、五〇ミラの利息を瞬時に計算したところで頭を振った。これは現実的な金額の話ではない。おそらく、だが。
    「そもそも。このお人好し教官なら、利子くらい笑って許しそうなもんだけどな」
    「つまり、ふたりだけに通じるなにか、なのだろうな。悔しいが」
     アッシュの軽口にラウラが続く。
    「秘密の共有、ですか。素敵です」
    「アンタねえ」
     ミュゼは目を輝かせ、ユウナが嗜めた。
     話題の中心であるふたりは、いまだ穏やかな寝顔を晒している。
     今はただ、わずかばかりの幸運で繋いだ時間を噛み締めるのだった。
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