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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    本日の800文字チャレンジ
    クロリン/創から数年後/当たり前であるがゆえに

    「リィン、さっきの物件どうだった」
    「どうだもなにも。そこそこよかったと思うぞ」
     先ほどまで内見をしてきた物件は、なかなかによかった。ひとつ難を挙げるとするなら新婚向けの内装だった点くらいだ。クロウには似合わない。が、彼が誰と住むための家なのか皆目検討がつかないので、その良し悪しが分からなかった。
    「そこそこ、ねえ」
     グラスを傾けた彼は、煮え切らない様子だ。
     物件をいくつか見たい。クロウにそう誘われたリィンは休みの合った今日、すでに三箇所の下見を終えていた。今はベーカリーカフェ《ルセット》で小休憩を挟んでいるところだ。
     それにしても、どこの誰と一緒に住むような仲へ発展したのか。相棒であるリィンの預かり知らぬところで愛を育んでいた事実に多少傷つきはしたものの、何事も要領がいい彼のことだ。そういうこともあるのだろう。
    「三件め、庭の広さはよかっただろ」
    「まあ、そうだな。よかったと思うよ」
     花壇を作るならやや広いが、もしもリィンが素振りをするなら丁度いい広さだ。
    「部屋数は多すぎるな。一階はブチ抜いて導力バイクを入れちまうか」
    「いや、今は多すぎるかも知れないが、ゆくゆくは丁度良くなるかもしれないだろう」
    「ゆくゆく?」
     問いかけるように繰り返され、頷いた。今はクロウと誰かのふたりだが、子宝に恵まれればそういうこともある。クロウらしからぬ早計さだ。
    「ひとまず、あの内装は全取っ替えだな。あれで落ち着ける気がしないわ。お前もそうだろ」
    「俺もそう思うが、俺の意見を取り入れても仕方ないだろう」
    「いや、お前の意見も大事だろ」
    「なんでだ」
     住むわけでもない家に己の意見が取り入れられるのか、理解ができずに困り果ててしまった。
    「なんでって。俺とお前が住む家なのに、俺の意見だけで決めるわけにもいかないだろ」
     ますます理解が追いつかない。
    「これはあれだ。もしや、お前の鈍さを甘くみていた俺の責任か?」
     その後、頭を抱えてしまっていたクロウから予想外の告白を受けるのだった。
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