Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 115

    甘味。/konpeito

    ☆quiet follow

    本日の800文字チャレンジ
    クロ→リン/Ⅳ後/本音を覆い隠すチョコレート

    「あれ、クロウさん来ていたんですか。アルも一緒?」
     背後からした声に振り返ると、リィンの担当クラス、Ⅶ組所属のユウナが目をぱちくりさせていた。
     クロウの隣で包丁を構えたアルティナは、まな板のうえに鎮座するチョコレートの塊と睨み合ったままだ。こちらが手を貸そうとした途端、言い表せない気迫を感じて静観していた。
    「ユウナさんお静かに。現在、秘匿任務中です」
    「ということで、いつもの如くリィンにはナイショで頼むわ」
     溶けたチョコレートと生クリームの入ったボウルを片手に、人差し指を口元に添える。当のユウナからは呆れた目を向けられ、小さく肩をすくめた。
    「またそんなこと言って。教官、会いたがっていましたよ」
    「……。クラウ=ソラス」
    「おいおい! 待て、頼むから待て」
     包丁が刺さったままの塊と対峙したアルティナが片手を掲げて黒の戦術殻を召喚しようとするのを、ふたりががりで止めた。
     リーヴス第二分校の食堂は、翌日に控えたバレンタインの準備に励む女生徒の戦場となっていた。
     ユウナも持ってきたエプロンを装着し、ふたりに並ぶ。女生徒らの熱気漂う食堂は甘いカカオの香りが充満していた。
    「どうせお前らもリィンにチョコ作るんだろ。そんなかに混ぜてもらおうと思ってな」
    「絶対、個別に渡したほうが喜ばれると思いますけど」
    「わたしもそう思います」
     ユウナに追随するアルティナは、クロウの砕いたチョコレートを生地に混ぜていた。
    「いや、バレンタインに男から気合入ったチョコ貰っても嬉しくねえだろ」
    「そんなことないです。だってクロウさんはリィン教官の特別じゃないですか。絶対喜ぶと思うんだけどなあ」
     口を尖らせ、分かりやすく拗ねてみせるユウナは材料と格闘しながら不満げに呟いている。
     冷やして固めた一口大のガナッシュを、溶かしたチョコレートに潜らせてコーティングする。
    「特別、ねえ」
     食べたリィンがふんわりと目尻を和らげるさまを想像して気合いを入れ直すのだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🍫🍫🍫🍫💕💕🍫🍫🍫🍫🍫🍫🍫🍫🍫🍫❤❤🍫🍫🍫
    Let's send reactions!
    Replies from the creator