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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    本日の800文字チャレンジ
    クロリン/いつかの未来
    回避不能の会心の一撃

    「クロウ、出たぞ」
     降ってきた声に読んでいた雑誌から目をあげると、ほのかに湯気を纏ったリィンがこちらを見下ろしていた。風呂上がりの湿った髪をしきりにタオルで拭っている。
    「お、リィン今日は風呂長かったな。さてと、俺も入ってくるかね」
     石鹸の香りを腕のなかに閉じ込め、胸一杯に吸い込みそうなところをどうにか思い留まる。伸ばしかけた手で頭を掻き、重い腰をあげた。
    「その、クロウ……」
     くん、と袖を引かれ、風呂場へ向かう足が止められた。クロウの袖を掴んだまま視線を彷徨わせているリィンは、口をひらいては閉じてを繰り返している。
     普段は外に跳ねている横髪は濡れて大人しく、赤く色付いた頬にまつ毛の影が落ちて妙に色気がある。
     シャツから覗く、無防備な喉仏から視線を逸らしているとふたたび袖を引かれた。
    「クロウ、待ってる、から」
     言葉を絞り出すたび頬に赤みが増し、のぼせたような顔になっていく。
     遅々とした思考で、これがリィンからのお誘いだと理解するまですっかり硬直してしまったうえ、渇いて張り付いた喉からは上手く言葉が出てこない。
     くぐり抜けてきた修羅場の数が霞んだ。
     そうこうしているうちに、リィンは不安そうに眉は垂れさせ、おずおずとこちらを見上げている。
    「今日、シたいんだ。ダメ、か?」
     理性と本能の狭間でぐらぐら揺れていたクロウにとって、駄目押しのような追撃だった。
     恋人のそんな姿を見せられたクロウは片手で顔を覆い、どうにか呻き声を抑える。
     このまま、食べられるのを待っているリィンとともにベッドへ雪崩れ込むか、シャワーを浴びて多少なりとも理性を取り戻した状態でベッドに入るか、瞬時に熟考したクロウは名残惜しくも後者を選んだ。
    「あのな、ダメなんてことあるかよ。いいぜ。今日シような。先にベッドで待っててくれるか」
     頷いた彼の、まだ湿った柔らかい髪を梳いて熱の残った頬を撫でる。顎の曲線をなぞって口付けた。
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