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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    本日の800文字チャレンジ100day
    クロリン/創から数年後
    想い出をめくる

    「またアルバム見てたのか」
     マグカップを手渡され、革張りのずっしり重いアルバムをひらいたままローテーブルに下ろした。ソファに座るリィンの隣へ腰掛けたクロウはからかいながらも優しい目でそれを眺めている。
    「ああ。先月、ユウナたちの同窓会へ行っただろう。そのときに撮った写真がアルティナから送られてきたから」
    「全員が揃ったのは卒業してから初めてだったな」
     彼らが第二分校を卒業してはや数年。それぞれの立場や事情もあり、毎年同窓会の話題が登るものの実現には至っていなかった。
     飲み干したマグカップをアルバムの隣においた彼が、ほかのページに貼られた写真に目を走らせているのを寄りかかって見つめた。卒業式に撮ったものや、彼らが家族と撮ったものもある。卒業後、リィンと再会したときに撮った写真も収められていた。
    「寂しいか」
     肩に預けていた頭を持ち上げる。クロウの目を見返すと、そういう顔してたぞと額を小突かれた。
    「そうだな。教え子が卒業していくのは寂しい。でも、巣立っていく人たちだけじゃないから。クロウが俺の隣にいてくれるから、寂しいけれど笑顔で見送れるんだ」
    「そっか」
     ふと、ARCUSを取り出した。腕を目一杯伸ばしてクロウとリィン、ふたりが画面のなかに収まるよう調整する。画面のなかにいる彼が困った顔で笑っていた。撮るぞと声をかけてシャッターボタンを押す。
    「なんだよいきなり」
    「クロウとはいつも一緒にいるのに、あんまり写真を撮ったことがなかったと思って。だめだったか」
    「そんなことねえけど。せっかくだしリィン、もう一枚撮ろうぜ」
     ふたりで映る画面を、ほくほくした心地で眺めていたリィンの肩が引き寄せられる。唇が触れ合った瞬間、シャッター音が耳に届いた。
     呆気にとられているリィンを、楽しげに細められた目が見下ろしている。差し出された画面には口付けた一瞬が切り取られていた。
    「ばか……」
     かっかと火照る頬をごまかすように彼の鳩尾へ拳を埋めるのだった。
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