告白と邂逅(降志) 十四歳のとき、私は母に聞いた。
「お母さんは、どうして私を一人で産んで育てようと思ったの?」
中秋の名月の夜だった。受験勉強で疲れていた私を「お月見しない?」と、母は部屋から連れ出した。リビングの電気を消して、カーテンを大きく開け放つ。まぶしいほどの満月の光が部屋に差し込んで、ベランダに面したガラス戸の窓枠がくっきりとフローリングの床に映し出されていた。今まで何となく聞けなかったことも、今夜は聞ける気がした。
「気を悪くしないで聞いてね」
母はそう前置きをして語り始めた。
「避妊に失敗したの。それで、あなたができた」
いきなりの生々しい話に面食らう。それと同時に、母が本当の話をしても大丈夫だと判断してくれたことに背筋が伸びる。
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