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    deshi_12

    @deshi_12

    中途半端に書いた、書き散らしを晒します

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    deshi_12

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    私は新卒で入った会社を1年以内にやめているのですが、2020年、転職活動もせずただ何かを生み出すことに執着していました。その時に某小説サイトに投稿しほんの小さな賞をいただいたものです。心の折り合いがついたので公開します。

    #オリジナル
    original
    #恋愛
    love

    青空 私はずっとほこり臭くて暗いところにいた。
     仲間はたくさんいたけど、一緒にならんでいるだけで会話もしたことがない。
     時々誰かの咳払いや、衣擦れの音がこだまして聞こえてくる。近くに人がいるということが少しだけ冷えた私の心を慰めた。
     最後に誰かと目を合わせたのはいつのことだったか。
    私は目を閉じて昔に思いを馳せた。
     そう、確か、5年前の夏の日のこと。
     その日はとても暑くて、窓からの明かりは眩しいくらいだったけど、私のいる所までは光は届かなくて、ただそれに憧れていた。誰か私の手を取って、ここから連れ出してほしい。そんな焦燥に駆られていた。
    そんなときだ。あの人が私を見つけてくれたのは。
    彼は、その柔らかく汗ばんだ手で私の背を撫で、嬉しそうに、本当に嬉しそうに微笑んだんだ。
     あの人の腕に抱きすくめられて、一緒にあの人の家に帰った時の、高揚感を覚えている。私は自分が見せてあげられるものを全部、あの人にあげようと必死だった。
     あの人が私をそばに置いていた時間は、ほんの一瞬だったけど、あなたはいつも私を見て笑ってくれた。あの優しく温かい笑みは、これからもずっと忘れることは出来ない。
    私は自由にならない我が身を恨みながら、今日もあの時の光に焦がれている。
    (ああ早く、私を見つけて。愛しいひと)
     


    「あ、懐かしい。これ、前読んだなあ」
     男は久しぶりに訪れた図書館で、夏の空のような青い背表紙を見つけて声をあげた。
     あれはいつのことだったろうか。
    「これまでにない暑さです」と繰り返すニュースにうんざりして、冷房を目当てに逃げ込んだ市立の図書館。
     明かりがあまり届かない色褪せた棚の隅の中で、どこまでも突き抜けていくような青い色に、思わず見惚れた。中身はなんて事の無い、童話の寄せ集めだったけど、借りられる期限いっぱいまで手元に置いて、時々表紙を撫でたものだ。
     記憶のままの青色を手に取って、男は昔と同じように表紙を撫でた。光に照らされた本が、まるで歓喜に震えるように艶やかに輝いた。
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