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    itomasin

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    itomasin

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    がろそうこくのまりゅうでこうががやってたブッ殺納刀がかっこよかったので兄者にやってもらった。髭膝匂わせ。

    ##髭膝

    ぐるりと囲む敵は太刀が三振り。

    見くびられたものだと苦笑交じりに、髭切は無造作に一歩を踏み出す。本丸の庭をそぞろ歩くように。

    向かう先は正面の敵太刀。ぞろりと鋭い歯を見せてにやにやと嗤っている。随分と余裕そうだ。大いに結構。だがその尖った歯先が髭切の癇に障った。故に髭切は、太刀の佩緒を外す。そしてゆるりと刀を抜くや対敵の口へと叩きこんだ。切っ先ではなく、鞘尻を。鞘を伝って、硬いものが束で折れる感触がした。

    その一撃は刃に非ずとも正面の敵太刀に痛打を与えた。かなりの激痛だろう、声にならない悲鳴を上げながら鞘を抜こうとしては、その振動によって生じる新たな痛みに悶絶している。

    可哀想だなあと己が仕出かしたことを棚に上げながら、踵と刃を返す。己が得物の向かう先は、太刀を大きく振り上げる右側の敵。

    「胴体、がら空きだね。そこを斬ってほしいのかい?」

    そう訊ねながら、返事も聞かずに逆袈裟に斬りあげる。腕力任せの乱暴極まる一太刀は、肋骨に留まらず背骨まで断ち落とす。何が起きたかもわからないのか、きょとんとしたまま右方の敵は半ば分断された体を仰臥させた。

    お次は左方。刃と殺意より先に流し目を送りながら、肩越しに微笑む。無傷の敵は、仲間に襲いかかった獅子の牙に恐れをなしたか、構えた刃の切っ先を震わせながら立ち竦んでいた。

    「……斬らなくていいのかい? 僕が先に斬っちゃうよ?」

    問いかけながら、左方の敵へと振り返る。大きく一歩、踏み込む。まだ敵は動かない。遠慮しなくてよいということか、有難い。二歩三歩、そのまま進む。正眼に構える敵太刀の、得物を握る両手ごと乱雑に斬り落とす。悲鳴は上げなくていい、耳障りだと刃先で語りかけながら隙だらけの首を刎ね上げる。

    天高く、首が飛ぶ。それを見上げることなく、口から鞘を生やした正面の敵に改めて向き直る。血振りし、口に刺さったままの鞘に向かって勢いよく納刀する。

    ほぼ刺突と変わらない納刀は、絶命の一手であった。喉の骨が粉砕される感触と、御霊が剥がれ落ちる感触、その二つが伝わってくる。それを味わうことなく、髭切は納刀した得物を敵太刀の口から抜いた。

    「預かってくれててありがとうね」

    最早聞いていないと分かってはいるが、一応の礼儀として感謝を述べる。背後で何かが落ちる音がした。恐らく、先ほど跳ねた首であろう。

    佩緒を留め直しつつ辺りを見渡せば、戦はもう終わりかけていた。勿論、こちらの勝利という形でだ。いくばくかもしないうちに、弟が自分を探す声が響く頃合いだ。

    「……君たちにその歯はいらないよ」

    誰にともなくそうひとりごちながら、髭切は弟をこちらから迎えに行くべく歩き出す。

    今はただ一刻も早く、兄弟揃いの鋭い犬歯の形を感じ取りたい。



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    itomasin

    DONE暇シンの髭膝のBL本のタイトルは「二人は青い春の中」、帯のフレーズは【 無骨な姫君 】です。
    #あなたのBL本
    https://shindanmaker.com/670596

    且つての連ツイをまとめ直した。青と春で浮かんだのが五行思想だったので、木行に纏わる言葉を入れられるだけ入れてみたやつ。
    二人は青い春の中東雲の下。照らされる貌は紛れもなく弟のものだ。だが何故だろう、呼ばわろうとした声が口の中で溶けて消えた。その綺麗な目玉から、涙が一筋こぼれていた。瞬間、言いようのない感情が爪を立てる。誰が弟を泣かせたという怒りだろうか。それともただ純粋に美しいものをみられたという喜びだろうか。

    分からない。感情が重い。まるで肝に鉛を流し込まれたかのようだ。ただ己の目は涙を拭う弟を見つめたまま動かない。弟の、綺麗な鱗のような爪を涙が彩る。――ああ、あの爪が乗る薬指に、永遠に自分の物である証を刻みつけたい。ふと己の魂が、犬のように吼え立てた気がした。

    この感情が分からなくて、今代の主である人の子に何気なく聞いてみた。これは何なのかと。すると老齢の人の子は穏やかに微笑んだ。それは青い春だと。若い人間には様々な青い春が訪れる、貴方の感情はその数ある内の一つだと。その春が甘く咲き誇るか、大地に還り新たな芽を育てるかは君次第だと。
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