藍にまつわるひとかけら その2「……なあ目玉」
「ん?なんじゃ?」
「楽しいか?」
おんぶ紐で背負った鬼太郎の頭の上から注がれる視線があまりにも熱心なものだから、小鍋の中身の出来上がりを確認しコンロの火を止めた水木はつい尋ねてしまった。
「楽しいぞ。いくつになっても学びは大事じゃからのう」
「学びねえ…」
水木が作っているのは鬼太郎に与える重湯だ。学びが必要なほど複雑な手順などないというのに、と思い、ああと納得する。
一緒に暮らしているとはいえ赤の他人が作ったものだ。口では学びと言っているが、赤子に害はないか父親として心配しているのだろう。
もちろん水木もそうならないよう気をつけているが、目玉の心配も尤もなので口を挟まないことにした。
「ふむ…煮炊いて終わりというわけではないのじゃな」
1426