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    ゆる〜い現パロ(警察官×教師)です
    クロロレ

    離婚して再婚するやつ(仮)13 保護者たちが子供の頃は毎日撃ち合いがあったと聞く。しかしローレンツにとって銃を向けられるという体験は実に恐ろしく中々忘れられそうにない。流石に翌日はどの授業も自習にしたが何かしていないとあの瞬間を思い出してしまうため、ローレンツは毎日十九時半まで職場にいる。
     アネットも同じ時間に退勤する時は駅まで一緒に行くことにしていた。大学時代、キャンパスに迷い込んだ附属中学の生徒と間違えて声をかけたのがアネットとの出会いで、それ以来ローレンツは彼女に頭が上がらない。そのアネットが肘を掴んだのでローレンツは踵を返すのをやめた。路肩にはクロードの車が停まっている。
    「何の用だ」
     騒ぎになるのも嫌だったので仕方なく窓を全開にしていたクロードに近づくと彼は封筒を寄越した。住所が見知らぬ筆跡で書いてある。封がされていなかったので中を確かめようとするとクロードが捜査用に使っているペンライトを点けてくれた。確かに街灯の灯りだけでは心許ない。
    「相談機関の一覧?郵送すれば良いではないか」
    「直接渡したほうが用事がひとつ確実に済むだろ?」
    「違うよね?顔が見たかったんだよね?」
     アネットは素早くクロードに問いかけた。どうしてローレンツの顔が見たいのか、が問題だ。
    「不意打ちされても不愉快だ」
    「でも着信拒否したのはローレンツでしょ?ちょっと見せて」
     返す刀でアネットはローレンツの心に斬り込み、手から相談機関の一覧表を取り上げた。きっと他の話題なら割り込まなかったはずだが心理職についている者として気になったらしい。その証拠に一覧を見て何か思いついたような顔をした。
    「ローレンツ、やっぱり今マッチングアプリに登録しても良い人は見つからないよ」
     マッチングアプリと聞いたクロードが大きく目を見開いたので緑の瞳がローレンツにもよく見えた。
    「な、アネットさん!」
    「クロードときちんと別れられてないんだもの」
    「ええ……今のローレンツの態度見てもそうかあ?」
     結婚していた頃はあの瞳に自分の顔が映るくらい近くにいたのに結局クロードは肝心なことをローレンツに話さなかったような気がする。
    「ではどうすれば良いだろうか?考えがあるなら教えて欲しい」
     勿論、と言ったアネットの考えはローレンツたちが予想だにしないものだった。
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    MAIKING「説明できない」
    赤クロと青ロレの話です。
    4.遭遇・下
     犠牲者を一人も出すことなく野営訓練を終えて修道院に戻ることが出来た。ローレンツのほぼ記憶通りではあるが異なる点がある。ベレトが金鹿の学級の担任になったのだ。正式に採用された彼は既に士官学校から学生の資料を貰っている。だがグロンダーズで行われる模擬戦を控えたベレトはここ数日、放課後になると学級の皆に話を聞くため修道院の敷地内を走り回っていた。

     ローレンツはあの時、模造剣を配ろうとしたのは何故なのかとベレトに問われたが予め野盗達に襲われているのを知っていたから、とは言えない。言えば狂人扱いされるだろう。

    「歩兵の足が早すぎたからだ。補給部隊が本体と分断されたら敵に襲われやすくなる」

     食糧がなければ兵たちは戦えない。敵軍を撤退させるため戦端を開く前に物資の集積所を襲って物資を奪ったり焼き払ってしまうのは定石のひとつだ。ローレンツの言葉聞いたベレトは首を縦に振った。

    「それで足止めして予備の武器を渡したのか。装備をどうするかは本当に難しいんだ。あの場合は結果として合っていたな。良い判断をした」
    「ありがとう先生。そう言ってもらえると霧が晴れたような気分になるよ」

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    MAIKING「説明できない」
    赤クロと青ロレの話です。
    7.背叛・上
     皆の初陣が終わるとクロードの記憶通りに事態が進みロナート卿の叛乱の知らせがガルグ=マクにもたらされた。養子であるアッシュへセイロス教会からは何も沙汰が下されていない。軟禁もされずアッシュの方が身の潔白を証明するため修道院の敷地内に閉じこもっている。鎮圧に英雄の遺産である雷霆まで持ち出す割に対応が一貫していない。前節と同じく金鹿の学級がセイロス騎士団の補佐を任された。クロードの記憶通りならばエーデルガルト達が鎮圧にあたっていた筈だが展開が違う。彼女はあの時、帝国に対して蜂起したロナート卿を内心では応援していたのだろうか。

     アッシュは誰とも話したくない気分の時にドゥドゥが育てた花をよく眺めている。何故クロードがそのことを知っているかと言うと温室の一角は学生に解放されていて薬草を育てているからだ。薬草は毒草でもある。他の区画に影響が出ないようクロードなりに気を使っていたがそれでもベレトはクロードが使用している一角をじっと見ていた。

    「マヌエラ先生に何か言われたのか?致死性のものは育ててないぜ」
    「その小さな白い花には毒があるのか?」

     ベレトが指さした白い花はクロード 2097

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    MAIKING「説明できない」
    赤クロと青ロレの話です。
    8.背叛・下
     雷霆を振るうカトリーヌの名を聞いた者に多少なりとも英雄の遺産や紋章の知識があったならばそれがとんだ茶番だと判るだろう。だが無謬であるセイロス教会が彼女をカサンドラではなくカトリーヌと呼ぶのならそれに従うしかない。カロン家当主としても令嬢カサンドラに死なれるよりはガルグ=マクで生きていてくれた方が良いのだろう。

     ローレンツは霧深い街道をガスパール城に向けて黙々と進んでいた。前方ではクロードとベレトとカトリーヌが何やら話している。五年前、ローレンツは帝国軍が破竹の快進撃を見せた時に正直言ってファーガス神聖王国がほぼ崩壊したと思った。今の彼らの会話を耳にしてもファーガスが凋落しているという印象が深まっていく。青獅子の学級の学生たちは士官学校に入る前に初陣を済ませている者が多いのはダスカーの悲劇以降小規模な騒乱が後を立たずにいるからだ。

     だからあの時ローレンツはフェルディナントと共にミルディン大橋に立った。ファーガスは近々自壊するだろうしパルミラとの国境を守りながら強大な帝国に抗う力が同盟にはない。ならばせめて領地と領民を守りたいと思ったからだ。霧の立ちこめる行路は人生 2090