Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    111strokes111

    @111strokes111

    https://forms.gle/PNTT24wWkQi37D25A
    何かありましたら。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 323

    111strokes111

    ☆quiet follow

    クロロレ
    飼ってる犬がきっかけでくっつかねえかなあという現パロです。
    (作曲家×パタンナー)
    二人が飼っている犬はサルーキです。

    犬の話(仮).5 故郷の砂漠を駆け回る犬が石畳の敷き詰められた街にいることが信じがたい。クロードはネヴァと街中のペットショップで出会った。運命に従うことを躊躇してはならない。客の視線に気づいた店員が彼女をケージから出してくれた結果、クロードは一般受けするような曲をいくつか書いた。そこそこヒットしたそれらの曲はいまだにクロードの生活を潤してくれる。
     こうしてネヴァはまだふくふくと丸く将来の細長さを感じさせない子犬の頃に鼻先から尻尾の先までクロードのものとなり、クロードの助手席はネヴァのものとなった。ケージを使っていても犬を乗せるとどうしても車は汚れる。ここ数日、何故かネヴァは散歩に行きたがらなかったのでクロードは久しぶりに車の面倒を見ていた。
     気になっていた冷却水を補充して、車内を念入りに掃除する。そのためハンディクリーナーも駐車場に持ってきていた。前のオーナーの好みがそのまま反映されたウッドパネルをウェットシートで拭き、ハンディクリーナーで足元のゴミを吸いとっていく。
     最後の大物、ということで助手席に固定しっぱなしのケージを下ろして中を見た瞬間、クロードは言葉を失った。ペットシーツに少し血がついている。だが、数日前パブロと遊ばせた帰りに車から降ろした際はネヴァの足取りに異常はなかった。
     物言えぬ彼らのために飼い主は真っ先に体調に気づいてやらねばならない。だからクロードは帰宅するといつもネヴァの身体を拭き、ブラッシングをしてやる。
     切り傷もどこか痛がるようなそぶりもなかった。だが、ここ数日ネヴァはやたら毛繕いをしていたのだ。一刻も早く様子を確かめたい。クロードはゴミをまとめてケージを助手席に設置し直すと自宅まで走って帰った。
     クリーム色の姫君はクロードを出迎えてくれたがそう言う視線で見てみるとやはり陰部を気にしている。それにおもちゃのぬいぐるみをベッドに持ち込んでいたのはそういうことだろう。
    「ごめんな、気が付いてやれなくて……。嫌だろうけど病院に行こう」
     ここ数日食欲がなかったことも全て納得がいく。クロードは慌てて獣医の予約をとりメッセージアプリを立ち上げた。ネヴァもパブロも大型犬で小型犬より成熟するまで時間がかかる。ローレンツも自分と同じ間違いをしていたら非常にまずい。



     デザイナーとの打ち合わせを終え、わざわざ隣の通りにある個人経営の喫茶店まで移動してからローレンツは自分のスマートフォンを手に取った。いつどこで誰が見ているのか分からない。それにこの店は茶葉の種類が豊富なのでローレンツのお気に入りだった。
     スマートフォンは未読メッセージがある、と知らせてよこしたがどうせセレクトショップからのお知らせの類だろう。気分を変えるため通知を無視してローレンツが紅茶に口をつけていると今度は呼び出し音が鳴った。ワンコールで切れたから間違い電話かもしれない。着信履歴を見てみるとクロードからだった。何があったのか問うため、メッセージアプリを立ち上げると直近のメッセージは全てクロードからのものだった。
    ───ネヴァが発情してた。
    ───パブロは去勢手術してるか?
     ローレンツの背中を冷や汗が伝っていく。これまで近所でパブロと行きあう犬たちは皆、人間で言うなら中年で避妊手術も去勢手術も受けていた。その環境に甘えて検査を先送りにしていたローレンツの責任は重い。
    ───パブロの血統は麻酔に弱い。だからまだ受けさせていない
     ローレンツもクロードも大型犬は成熟するまで小型犬よりかなり時間がかかる、と言う事実に寄りかかりすぎた。スマートフォンの画面をタップしながら必死でネヴァたちと一緒にいた時のことを思い出す。パブロがきちんと戻ってきてくれるのを良いことに、ローレンツはクロードのことばかり見ていた。
    ───ネヴァを病院に連れて行ったのか?
    ───今から行く。獣医にできるだけ正確なことを話したいから質問しただけだ。
     心に蓋をしてもしなくても結果は変わらない。時を遡ることはできないがこの先のことなら自分で決められる。ローレンツはクロードの大切なネヴァを傷つけてしまったことを今すぐにでも詫びたかった。
    ───その前にメッセージに気が付けて良かった。結果がどうであれ今すぐにでも会って話がしたい。
     クロードはローレンツが今日、時間を作れることに驚いていた。顔を見たくもない、と言うわけではないらしい。いつもの公園のカフェを待ち合わせ場所に指定してきた。パブロなしであの公園へ行くのは初めてかもしれない。ローレンツはぬるくなった紅茶を飲み干すと慌てて会計を済ませた。試作品を見せるため車で来ていたのは不幸中の幸いだったかもしれない。
     薔薇の生垣が美しいカフェについたローレンツはテラス席に腰を下ろした。クロードがまだネヴァに会わせてくれることを願って。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    9660moyunata

    DONEテレビゲームをするだけの現パロ年後クロロレ
    光属性ですご安心ください。
    「ローレンツはゲームとかしないのか?」
    「そんなもの、時間の無駄だろう」
    やっぱりそう言うと思った。庶民の娯楽に現を抜かしてる暇なんてありませんって顔に書いてある。
    「じゃあさ、1回だけ対戦付き合ってくれないか? このゲーム1人でもできるんだけどさ、せっかく買ったんだしちょっとくらい人と遊んでみたいんだよ」
    「仕方がないな、1度だけだぞ」
    ローレンツはせっかくだから、とかそういう言葉に弱い。あいつは俺のことに詳しいなんて言っているが、俺だって負けてない。ローレンツが俺のこと見続けているなら同じだけ俺もローレンツを見ているんだ。
    今始めようとしているゲームはいわゆる格闘ゲームだ。さすがに初心者のローレンツをこてんぱんにするのは気が引けるから、あえて普段使わないキャラクターを選ぶ。それでも俺の方が強いことに変わりはない。手加減しつついい感じの差で勝たせてもらった。
    「......。」
    勝利ポーズを決めている俺のキャラクターをローレンツが無表情で見つめている。よし、かかったな。
    「クロード、もう一戦だ」
    「おっと、1回しか付き合ってくれないんじゃなかったのか?」
    「せっかく買ったのに 1372

    111strokes111

    MAIKING「説明できない」
    赤クロと青ロレの話です。
    9.典儀・上

     情報には出元と行き先がある。それを見極めずに判断を下すと間違いが起きる。前節、カトリーヌがロナート卿の所持品から見つけた大司教レアの暗殺計画に関する密書は様々な波紋を読んだ。真偽の程は定かではないが対応せねばならない。

     謁見の間に呼び出されたベレトから今節の課題を聞いたクロードは教会があの密書をどう判断したのか悟った。今回も彼の記憶と同じく何者かが教会を混乱させる為に作成した偽物であると判断したのだ。そうでなければ士官学校の学生に警備や見回りを担当させないだろう。だがクロードにとっては丁度良かった。賊の狙いが何処であるのか確かめる為という大義名分を得て修道院の敷地内を直接、自由に見て回れる。賊が聖廟の中で何かを探し、奪いに来たがそこでベレスが天帝の剣を手に取り賊を撃退したことをクロードは覚えているのだがだからといって日頃入れない聖廟を直接探る機会を逃したくはなかった。それにロナート卿の叛乱の時と同じくまたクロードたちが当事者になっている。詳しく調査しておいて損はないだろう。

     ガルグ=マクにはフォドラの外からやってきた住人がクロード以外にも存在する。自然と祖先を 2082

    111strokes111

    MAIKING「説明できない」
    赤クロ青ロレの話です。
    14.誘拐・下
     ローレンツとクロードの記憶通り事態は進行した。一つ付け加えるならばクロードがセテスにちょっかいを出したことだろうか。見当違いだと分かっていることを敢えてセテスに聞いたら先方が何故か安心した、とクロードから聞いてローレンツは眉を顰めた。やはりセイロス教会は何かを隠している。五年前から問題視していたクロードが正しかった。だがそれは大乱を起こす理由になり得るのだろうか。クロードは元から英雄の遺産と白きものについて探っていたがそれに加えてエーデルガルトが檄文で言及していた教会の暗部についても調べ始めた。

    「先に掴んで暴露してしまえば檄文自体無効になるかと思ったがそんな都合の良い案件は見当たらなかった。敢えて言うならダスカーがらみか?」
    「だがあれも機能不全に陥った王国の要請がなければ騎士団が担当することはなかっただろう」

     エーデルガルトが見つけたと称するセイロス教会がフォドラの全てを牛耳っている証拠とセイロス教会の秘密は同一なのだろうか、それとも違うのだろうか。探さねばならないものが増えてクロードは大変そうだ。大変そう、と言えばベレトも大変そうだ。彼は修道院内を丹念に探 2099

    111strokes111

    MAIKING「説明できない」
    赤クロ青ロレの話です。
    15.鷲獅子戦・上
     フレンが金鹿の学級に入った。クロードにとっては謎を探る機会が増えたことになる。彼女は教室の片隅に座ってにこにこと授業を聞いてはいるが盗賊と戦闘した際の身のこなしから察するに只者ではない。兄であるセテスから槍の手解きを受けたと話しているがそういう次元は超えていた。

    「鷲獅子戦にはフレンも出撃してもらう」

     やたら大きな紙を持ったベレトが箱を乗せた教壇でそう告げると教室は歓声に包まれた。これで別働隊にも回復役をつけられることになる。治療の手間を気にせず攻撃に回せるのは本当にありがたい。今まで金鹿の学級には回復役がマリアンヌしかいなかった。負担が減ったマリアンヌの様子をクロードが横目で伺うと後れ毛を必死で編み目に押し込んでいる。安心した拍子に髪の毛を思いっきり掻き上げて編み込みを崩してしまったらしい。彼女もまたクロードと同じく秘密を抱える者だ。二重の意味で仲間が増えたことになる。五年前のクロードは周りの学生に興味は持たず大きな謎だけに目を向けていたからマリアンヌのことも流していた。どこに世界の謎を解く手がかりがあるか分かりはしないのに勿体ない。
    2086