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    111strokes111

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    そのうちクロロレになります。ェュ前提なのでご注意ください。紅花ルート

    有情たちの夜.8「枠の中6_7」 ヒューベルトは主君であるエーデルガルトの身の安全が脅かされること以外怖いものはない。中央教会も闇に蠢くものたちも強大な敵だが対処できる。いや、対処できるように手を打ってきた。
     頭は心にそのように感じよという命令を出すが、心は理屈通りにいかない。無理やりねじ伏せた心は次第に何も感じなくなっていったが、近頃はその心に肉迫する者たちがいる。
     工作のため主君に付き従って入学した士官学校時代の知己たちは皆、個性的で誰一人として重なるところがない。名前と姿を奪われたアランデル公やモニカのことを思えば、良くないことだとわかっていてもこの五年間ですっかり級友たちに情が湧いてしまった。一度緩んだ蓋はすぐ開いてしまう。だが、諦めにも似た予測を、予測より遥かに上をいくことで驚かされるのは嬉しいのだ。尋問の前にわざわざ時間を作ってヒューベルトを訪ねてくれたフェルディナントの言葉が脳裏に浮かぶ。彼の言う通りクロードのような人間を打ち解けさせる鍵は素直さや誠実さかもしれない。
    「意外でした。その手のことは一括して否定にかかるたちかと」
    「否定するにしても信仰するにしても全ては知ることから始まるもんだろ」
     そう言ったあとクロードは失念していたことでも思い出したのか───あ、と一言だけ声を発すると黙ってしまった。彼は闇に蠢くものたちの行いが人の営為の範疇に収まるという。ルミール村や宮城で連中が何をしたのか知らないからそんな解釈が出来るのだ。
    「敵を知らねばならないのは私とて承知しておりますよ」
     苛立ちを隠さずそう伝えた。ヒューベルトは、いやヒューベルトたちは目を閉じて見ないふりが出来るような環境にいたことがない。誰かが痛めつけられているうちに必死で安全を確保せねばならなかった。それにそんなことをすれば処断した父と同じになってしまう。
    「こっちは知識の扱い方がおかしいんだ。せっかく中央教会に宣戦布告したんだから固執してくれるなよ?」
     ヒューベルトに共鳴したかのように緑の瞳にも苛立ちが浮かんだ。クロードはもう笑顔で感情を覆い隠していない。



     人生には夜空と宝石が必要、とクロードが悟ったのは前髪が伸びて三つ編みを作れるようになった頃のこと、このままパルミラにいても宝石が手に入らないと悟ったのは初めて毒を盛られた時のことだった。
    「何を仰りたいのやら……測りかねますな」
     フォドラに住む者たちはセイロス教によって作り上げられた柔らかで強靱な繭に包まれてこの千年を過ごしている。そこにはどこまでも広がる夜空のような思索の広がりが存在しない。
    「俺たちは中央教会を知っているが信じていない。だが〝知る〟と〝信じる〟の違いは何だ?」
    「経験で信じない、と判断しました」
     ヒューベルトの理性的な答えを聞き、クロードは眉を顰めた。やはり自由の何たるかを知らずに生きてきたエーデルガルトとヒューベルトには限界がある。
    「その経験を以って誰よりも自分たちの方が上手くやれると〝信じた〟わけだ」
     今度はヒューベルトが眉を顰める番だった。
    「我々は現実逃避をしません」
     ディミトリであればクロードの言葉に引っかからず、そのまま流すだろう。迷いのないヒューベルトの言葉を聞いたクロードはエーデルガルトかディミトリどちらかが死ぬまでこの戦争は終わらない、と悟った。
    「中央教会は女神の不在が証明されることを許さなかったから学術に制限をかけたんだ。ヒューベルト、エーデルガルトはどこまでなら許容するんだ?」
     例えば、レンズを縦に二枚並べて肉眼では見えない遠くを───夜空を眺めることを中央教会は禁忌としている。この手法を禁じられては肉眼では見えない小さな物体を観察することが出来ない。きっと女神が実存するか否かに関係がある分野なのだ。
    「エーデルガルト様は人の世を取り戻すために立ち上がられたのです」
    「答えになってないぜ」
     この質問が敗軍の将であるクロードからレスターの民にあてた最後の贈り物になるかどうかはヒューベルトにかかっている。
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    9660moyunata

    DONEテレビゲームをするだけの現パロ年後クロロレ
    光属性ですご安心ください。
    「ローレンツはゲームとかしないのか?」
    「そんなもの、時間の無駄だろう」
    やっぱりそう言うと思った。庶民の娯楽に現を抜かしてる暇なんてありませんって顔に書いてある。
    「じゃあさ、1回だけ対戦付き合ってくれないか? このゲーム1人でもできるんだけどさ、せっかく買ったんだしちょっとくらい人と遊んでみたいんだよ」
    「仕方がないな、1度だけだぞ」
    ローレンツはせっかくだから、とかそういう言葉に弱い。あいつは俺のことに詳しいなんて言っているが、俺だって負けてない。ローレンツが俺のこと見続けているなら同じだけ俺もローレンツを見ているんだ。
    今始めようとしているゲームはいわゆる格闘ゲームだ。さすがに初心者のローレンツをこてんぱんにするのは気が引けるから、あえて普段使わないキャラクターを選ぶ。それでも俺の方が強いことに変わりはない。手加減しつついい感じの差で勝たせてもらった。
    「......。」
    勝利ポーズを決めている俺のキャラクターをローレンツが無表情で見つめている。よし、かかったな。
    「クロード、もう一戦だ」
    「おっと、1回しか付き合ってくれないんじゃなかったのか?」
    「せっかく買ったのに 1372

    111strokes111

    MAIKING「説明できない」
    紅花ルートで戦死した記憶があるクロードと青獅子ルートで戦死した記憶があるローレンツの話です。
    2.振り出し・下
     士官学校の朝は早い。日の出と同時に起きて身支度をし訓練をする者たちがいるからだ。金鹿の学級ではラファエル、青獅子の学級ではフェリクス、黒鷲の学級ではカスパルが皆勤賞だろうか。ローレンツも朝食前に身体を動かすようにしているがその3人のように日の出と同時には起きない。

     ローレンツは桶に汲んでおいた水で顔を洗い口を濯いだ。早く他の学生たちに紛れて外の様子を見にいかねばならない。前日の自分がきちんと用意していたのであろう制服を身につけるとローレンツは扉を開けた。私服の外套に身を包んだシルヴァンが訓練服姿のフェリクスに必死で取り繕っている所に出くわす。

    「おはよう、フェリクスくん。朝から何を揉めているのだ?」
    「煩くしてすまなかった。単にこいつに呆れていただけだ」

     そう言うと親指で赤毛の幼馴染を指差しながらフェリクスは舌打ちをした。シルヴァンは朝帰りをディミトリや先生に言わないで欲しいと頼んでいたのだろう。

    「情熱的な夜を過ごしたのかね」

     呆れたようにローレンツが言うとシルヴァンは照れ臭そうに笑った。

    「愚かすぎる。今日は初めての野営訓練だろう」

     フェリ 2066

    111strokes111

    MAIKING「説明できない」
    赤クロと青ロレの話です。
    9.典儀・上

     情報には出元と行き先がある。それを見極めずに判断を下すと間違いが起きる。前節、カトリーヌがロナート卿の所持品から見つけた大司教レアの暗殺計画に関する密書は様々な波紋を読んだ。真偽の程は定かではないが対応せねばならない。

     謁見の間に呼び出されたベレトから今節の課題を聞いたクロードは教会があの密書をどう判断したのか悟った。今回も彼の記憶と同じく何者かが教会を混乱させる為に作成した偽物であると判断したのだ。そうでなければ士官学校の学生に警備や見回りを担当させないだろう。だがクロードにとっては丁度良かった。賊の狙いが何処であるのか確かめる為という大義名分を得て修道院の敷地内を直接、自由に見て回れる。賊が聖廟の中で何かを探し、奪いに来たがそこでベレスが天帝の剣を手に取り賊を撃退したことをクロードは覚えているのだがだからといって日頃入れない聖廟を直接探る機会を逃したくはなかった。それにロナート卿の叛乱の時と同じくまたクロードたちが当事者になっている。詳しく調査しておいて損はないだろう。

     ガルグ=マクにはフォドラの外からやってきた住人がクロード以外にも存在する。自然と祖先を 2082

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    MAIKING「説明できない」
    赤クロ青ロレの話です。
    11.末路・上
     クロードは先日、あんなことをしでかしておきながら怯えさせてすまない、とローレンツから逆に謝られてしまった。あれから何度か時間をとって話し合いをしてみたが互いの知る未来にかなり大きな食い違いがあることが分かりその後はおかしな雰囲気にはなっていない。

     細かな違いはあれどクロードの祖父が体調を崩し盟主代理として円卓会議に出席すること、それとマイクランが破裂の槍を盗み出すことは共通していた。

    「俺はマイクランが討ち取られたという話しか知らない」

     クロードの知る過去でもローレンツの知る過去でも級長が不在の可能性があるなら、と言うことで金鹿の学級はコナン塔へ行かなかった。

    「そちらでも箝口令が敷かれていたのか」

     教会は何かを隠している、というのが元からのクロードの主張なので教会の態度に矛盾はない。ベレトから馬の面倒を見るように命じられた二人はそれぞれ別の馬に新しい水や飼い葉を与え体を拭き尻尾の毛に櫛をかけ絡まっている塵を取り除いてやっている。いななきや馬が立てる物音が話し声を隠してくれた。今後の展開が色々と気になるところだが今回も祖父ゴドフロアの具合が悪くなるなら 2156

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    MAIKING「説明できない」
    赤クロ青ロレの話です。
    17.惨劇・上
     南方教会を完全に無力化されてしまったことや西方教会対策やダスカーの幕引きでの手腕には疑わしいところがあったがルミール村においてまず疫学的な検査から実施されたことからもわかる通りセイロス騎士団は手練れの者たちの集まりだ。ベレトの父ジェラルドまで駆り出されている異変においてクロードやローレンツのような部外者が介入しても迷惑がられるだけだろう。

     クロードにしてもローレンツにしても記憶通りに進んでほしくない出来事は数多ある。ロナート卿の叛乱もコナン塔事件も起きない方がよかったしこの後の大乱も起きて欲しくない。だがこのルミール村の惨劇は起きてほしくなかった案件の筆頭にあげられる。他の案件の当事者には陰謀によって誘導されていたとはいえ意志があった。嵌められていたかもしれないが思惑や打算があった。だがルミール村の者たちは違う。一方的に理性や正気を奪われ実験の対象とされた。そこには稚拙な思惑や打算すら存在しない。事件を起こした側は村人など放っておけばまた増えると考えたらしいが二人にとって直接見聞していないにも関わらず最も後味が悪い事件と言える。
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