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    111strokes111

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    そのうちクロロレになります。ェュ前提なのでご注意下さい。紅花ルート

    有情たちの夜.9「枠の中7_7」 聖墓での誓いなど反故にしてやりたい。この距離で椅子に括り付けられたクロードにダークスパイクを直撃させてやったらどれだけ気分がいいだろうか。だがこれまでに嵩んだ戦費の件が絡んでいる。主君であるエーデルガルトがベレスの提案を受け入れたのはそういうことだ。ほぼ無傷の同盟領はともかく荒廃した王国を併合すれば復興費用がかかる。それをパルミラとの貿易で賄う算段がついて安堵できたことは否定できない。
     ベレスが黒鷲遊撃軍に合流して以来───あと一押し何かあれば、一気に戦局を傾けられるのに───という主君エーデルガルトの口癖はすっかり鳴りを潜めていた。正直言ってヒューベルトにはベレスが何を考えいるのかさっぱり分からない。分からないがそれで構わないとも思っている。ヒューベルトにとってそんな存在は彼女しかいなかった。
     水を取りに行った時のようにまた頭に袋を被せてやってもいいのだが、それもクロードの思惑通りのように感じてしまう。ヒューベルトは黒髪をかき上げると緑の瞳をまっすぐ見つめた。この瞳がベレスの行動以外の全てを見通しているとしても、帝国の勝利に変わりはない。
    「今は戦時下ですので勝つために必要な制限はかけるでしょうな」
     だが自分の返答は何とつまらないのだろう。中央教会を否定するなら終戦後すぐに可能な限り情報を公開し、技術にかけられた制限を取り払ってレアとの違いを打ち出す必要がある。覚悟はしているがやはりどうしても活版印刷が厄介だ。
     ヒューベルトも元より情報戦に利用するつもりでいたが、闇に蠢くものたちが活版印刷を悪用しないわけがない。政策に関する的外れな意見はいざとなったら権力で押さえつけることは可能だが、それでは軋轢や遺恨が残る。
    「英雄の遺産に関してはどうするんだ?何のために墓荒らしをしたんだ?」
     クロードは追求の手を緩めない。戦闘終了後、武装解除をさせた時にクロードからはフェイルノートを、ヒルダからはフライクーゲルを取り上げているので気にかけて当然だった。



     フォドラでは世界を作りたもうた女神の御業の詳細を知り、信仰を深めるために学問が存在する。セイロス教会がフォドラの知識を独占するための方便だ。情熱が都合の悪い真実に到達しそうになったら涜神行為だ、と言って阻止すれば良い。地理的な条件でセイロス教の教会は分裂しているが、この中央教会のやり方が激しい反発を呼んだのも分裂した理由の一つだろう。
    「残念ながら中央教会の秘密保持は及第点だったようです」
     ヒューベルトはもうクロードと話すつもりがないのか尋問を切り上げようとしている。しかしクロードは彼の常識に楔を打ち込めればそれで良かったので───馬鹿正直にパルミラの哲学者たちの間でも未だに〝知る〟と〝信じる〟はどちらが高度な状態であるか論争が続いていることを伝えていない。
    「残念ながら、な。ヒューベルト、お前はこれまでも周囲を疑って来たんだろうが、今後の猜疑心はこれまでとは一味違うぜ」
     ヒューベルトはこれまで己の全てが中央教会の者たちと異なると〝信じて〟いた。だが今後はその根拠を周囲に、何よりも己に知らしめねばならない。これがクロードが猜疑心の塊を自称する理由だ。
     敵の逆張りをするだけなら敵と同じ輪に閉じ込められてしまう。〝知る〟ことは否定を伴うので己を蝕んでいく。そんな心苦しい毎日を送る者は自由な夜空と何があろうと砕けないほど硬く、色褪せずに輝きを放つ宝石のような何かを心に持たねばならない。
    「受けて立ちましょう」
     揺らぐ蝋燭の灯りに照らされるヒューベルトは心に宝石を持っているのだろうか。
     幼い頃に願った、全てを帳消しにするような奇跡は結局、今に至るまでクロードの身には起きなかった。故に絶対という言葉や奇跡の実現をクロードが〝信じる〟ことはない。それでも人生にはそんな言葉を必要とする局面がある。
    ───クロード、君の追悼文はこの僕が書いてやる。だが、それは遠い未来の話なのだから絶対にまだ死んでくれるなよ───
     だからクロードはあの時、どんなに見苦しくも出自を匂わせて命乞いすることが出来たのだ。
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    9660moyunata

    DONEテレビゲームをするだけの現パロ年後クロロレ
    光属性ですご安心ください。
    「ローレンツはゲームとかしないのか?」
    「そんなもの、時間の無駄だろう」
    やっぱりそう言うと思った。庶民の娯楽に現を抜かしてる暇なんてありませんって顔に書いてある。
    「じゃあさ、1回だけ対戦付き合ってくれないか? このゲーム1人でもできるんだけどさ、せっかく買ったんだしちょっとくらい人と遊んでみたいんだよ」
    「仕方がないな、1度だけだぞ」
    ローレンツはせっかくだから、とかそういう言葉に弱い。あいつは俺のことに詳しいなんて言っているが、俺だって負けてない。ローレンツが俺のこと見続けているなら同じだけ俺もローレンツを見ているんだ。
    今始めようとしているゲームはいわゆる格闘ゲームだ。さすがに初心者のローレンツをこてんぱんにするのは気が引けるから、あえて普段使わないキャラクターを選ぶ。それでも俺の方が強いことに変わりはない。手加減しつついい感じの差で勝たせてもらった。
    「......。」
    勝利ポーズを決めている俺のキャラクターをローレンツが無表情で見つめている。よし、かかったな。
    「クロード、もう一戦だ」
    「おっと、1回しか付き合ってくれないんじゃなかったのか?」
    「せっかく買ったのに 1372

    111strokes111

    MAIKING「説明できない」
    赤クロと青ロレの話です。
    7.背叛・上
     皆の初陣が終わるとクロードの記憶通りに事態が進みロナート卿の叛乱の知らせがガルグ=マクにもたらされた。養子であるアッシュへセイロス教会からは何も沙汰が下されていない。軟禁もされずアッシュの方が身の潔白を証明するため修道院の敷地内に閉じこもっている。鎮圧に英雄の遺産である雷霆まで持ち出す割に対応が一貫していない。前節と同じく金鹿の学級がセイロス騎士団の補佐を任された。クロードの記憶通りならばエーデルガルト達が鎮圧にあたっていた筈だが展開が違う。彼女はあの時、帝国に対して蜂起したロナート卿を内心では応援していたのだろうか。

     アッシュは誰とも話したくない気分の時にドゥドゥが育てた花をよく眺めている。何故クロードがそのことを知っているかと言うと温室の一角は学生に解放されていて薬草を育てているからだ。薬草は毒草でもある。他の区画に影響が出ないようクロードなりに気を使っていたがそれでもベレトはクロードが使用している一角をじっと見ていた。

    「マヌエラ先生に何か言われたのか?致死性のものは育ててないぜ」
    「その小さな白い花には毒があるのか?」

     ベレトが指さした白い花はクロード 2097

    111strokes111

    MAIKING「説明できない」
    赤クロ青ロレの話です。
    16.鷲獅子戦・下
     ローレンツがグロンダーズに立つのは二度目だ。一度目はローレンツの認識からすると五年前でベレト率いる青獅子の学級が勝利している。敗因は堪え切れずに飛び出してしまったローレンツだ。更に危険な実戦で囮をやらされた時に堪えられたのだから今日、堪えられないはずはない。

     赤狼の節と言えば秋の始まりだが日頃山の中の修道院にいるので平原に下りてくると暖かく感じた。開けた土地は豊かさを保証する。グロンダーズ平原は穀倉地帯でアドラステア帝国の食糧庫だ。畑に影響が出ない領域で模擬戦は行われる。模擬戦と言っても怪我人続出の激しいもので回復担当の学生はどの学級であれ大変な思いをするだろう。

     ベレトが持ってきた地図を見て思うところがあったのかクロードは慌ててレオニーとラファエルを伴って教室から駆け出し書庫で禁帯出のもの以外グロンダーズに関する本を全て借り上げてきた。皆に本を渡し地形描写がある物とない物に仕分けさせた。この時、即座に役に立たない本だけを返却させている。情報を独占し他の学級に無駄足を踏ませた。クロードのこういう所がローレンツは会ったこともないべレスから疎まれたのかもしれない。
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    MAIKING「説明できない」
    赤クロ青ロレの話です。
    17.惨劇・上
     南方教会を完全に無力化されてしまったことや西方教会対策やダスカーの幕引きでの手腕には疑わしいところがあったがルミール村においてまず疫学的な検査から実施されたことからもわかる通りセイロス騎士団は手練れの者たちの集まりだ。ベレトの父ジェラルドまで駆り出されている異変においてクロードやローレンツのような部外者が介入しても迷惑がられるだけだろう。

     クロードにしてもローレンツにしても記憶通りに進んでほしくない出来事は数多ある。ロナート卿の叛乱もコナン塔事件も起きない方がよかったしこの後の大乱も起きて欲しくない。だがこのルミール村の惨劇は起きてほしくなかった案件の筆頭にあげられる。他の案件の当事者には陰謀によって誘導されていたとはいえ意志があった。嵌められていたかもしれないが思惑や打算があった。だがルミール村の者たちは違う。一方的に理性や正気を奪われ実験の対象とされた。そこには稚拙な思惑や打算すら存在しない。事件を起こした側は村人など放っておけばまた増えると考えたらしいが二人にとって直接見聞していないにも関わらず最も後味が悪い事件と言える。
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