【シナリオ】演技指導「クレイグ、今から私の事は「我が君」って呼ぶこと。
私は貴方を「道化」って呼ぶから。
あなたといる時はなるべく「陛下」っぽく振る舞ってあげる。」
「ありがとう…助か。」
「おや、随分と慣れ慣れしい口を利くようになったじゃないか。
いつからそなたは王と対等になったのだ?」
「!…………もっ…申し訳ございません。我が…君……?」
「何を突っ立っているのだ。無礼者。王に跪け。」
「どうかお許しを陛下!」
「ふっ……はははは!!
いやぁすまない!少しばかりいじめたくなっただけだ。
お前があまりにも可愛らしくてな。
なぁ愛しい余の道化。世の為に舞ってはくれぬのか?」
「!?/////////////」
「演技が難しいのなら、無理に演じずとも良い。
本当に余の物になってしまえば良いだけの事…。簡単であろう?」
「へっ!?……陛下は口と頭がよく回りますね?////////////」
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クレイグの上達しない演技に焦るロージー。
ロージー「どうしてこんな簡単な台詞もまともに言えないの!!」
クレイグ「……ごめん」
ロージー「……あっ!
私こそ、怒鳴ってごめんなさい…。
私のせいでもあるのに…。」
クレイグ「ロージー…。
君は優秀な俳優だけど、演技指導のプロじゃない。
僕が言うのもなんだけど、僕みたいなズブの素人に演技指導をするのは君も荷が思いだろ?
だからシャルルさんやユリアンさんにも相談…」
ロージー「ダメ!!」
クレイグ「!?」
ロージー「私は『優秀』なのよ!
1人で演技指導1つまともにできなかったら『優秀』じゃ無くなる!!
『優秀』じゃ無くなったら私は…っ!」
クレイグ「待てよ、ロージー何言って…」
クレイグをテーブルに追いやり、クレイグに体を密着させるロージー。
ロージー「私最初に言ったわよね…クレイグ…。
『演技なんかしなければいい、本当に私の事を好きになっちゃえば良い』って…。」
クレイグ「おい、ロージー…!」
ロージー「ねぇクレイグ…私にしたいこと…ない?
私、あなたにだったら何をされても良いわよ…。」
クレイグ「……それも演技指導の一環?」
ロージー「舞台は私のすべてなのよ。
この舞台を成功させるためなら、何だって捧げる…。」
クレイグ「そう…本当に何しても良いわけ?」
ロージー「……好きにして」
ロージーをテーブルの上に押し倒し、片手でロージーの両手を押さえ付けるクレイグ。
ロージー「あ…!」
口先では挑発しつつもまさかクレイグが実行するとは思わず、焦るロージー。
クレイグはロージーの耳元で囁く。
クレイグ「いつもいつも演技指導だなんだ言ってじゃれてきてさ…。正直たまってたんだよね。
君から誘って来たんだし、お言葉に甘えて好きにやらせてもらうよ。」
ロージー「……っ!」
ロージーは体を震わせ、ぎゅっと目を閉じた。
そしてロージーの顔を掴み変顔をさせるクレイグ。
クレイグ「ブッ…!はは!!変な顔!!」
ロージー「は……ハァッ!?
ちょっと何!?こんな美女に迫られて、やりたかったの変顔!?ナメてんの!?」
クレイグ「いや~いつもいつもおちょくられててムカついてたんだよね!
教わる立場だからずっと我慢してたけど…ははっ!」
ロージー「私を押し倒しといてやりたかった事がそれ!?」
クレイグ「体震わせてた奴が何言ってるんだよ。」
ロージー「!」
クレイグ「君の『命令』なら大人しく従うよ。『陛下の命令』は絶対だから。さぁ陛下、ご命令を。」
ロージー「……離して」
クレイグ「御意のままに…」
クレイグは拘束を解き、ロージーを解放する。
ロージー「変態」
クレイグ「どの口が言ってんだよ」
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落ち着いたロージーはクレイグに告白します。
昔から何でも上手くできた。
勉強もスポーツも、必死に努力した記憶は1度もない。
クレイグ(腹立つなコイツ…)
それにひきかえ、双子の弟の出来の悪いこと。
私の何倍も努力してるのに、その実力は私の足元にも及ばない。
周りの扱いだってそう。
私は眉目秀麗、文武両道、周りは私を丁重に扱った。
なのに弟は違った。
私と同じ顔の弟は「女顔だと」からかわれ、不器用な弟に「あの優秀な両親からこんな出来損ないが生まれるなんて」「お姉ちゃんは両親そっくりで優秀なのに」と陰口を叩く馬鹿な連中もいた。
弟にとって、何の価値も連中の発する雑音。
そんなもの聞かなければ良いのに、弟はどんどん自信を無くして言った。
「名優の父」、「名女優の母」、2人に引けを取らない「優秀で非の打ち所のない姉」、「何の取り柄もない弟」…。
私達の存在が弟を苦しめた。
かわいそうだと思った。
同じ日に同じ顔で同じ両親から生まれたのに、なんでこんなに違うの?って…。
かわいそうだから、いつも助けてあげた。
両親もユリさんもそう、みんな弟を助けようとしてた。
でも…私は誰からも助けてもらえない。
優秀な私は助けてもらう必要がないのだから当然だけど…、みんな弟の事ばっかり。
みんなロジェ、ロジェ、ロジェ!
誰も私の事なんていつもロジェの二の次。
私にとって価値のある人達はみんな私よりもロジェを見る…。
でも私は優秀でいなきゃ…。
でなきゃ父さんも母さんも、ユリさんも困らせちゃう。
そう思って生きてきたのに、演技だけは弟の方が優秀になってた。
ユリさんの舞台の主演を務めるのが私の夢だったのに…。
弟は!私の欲しいものを全部取ってくのよ!!
私の方が優秀…だったのに…。
クレイグ「素直に甘えてみたら?
君、みんなに甘えたかったんでしょ。」
ロージー「でも私は甘える必要なんて…」
クレイグ「あるだろ。無理して僕を誘惑するくらい追い詰められてたくせに」
ロージー「…っ!」
クレイグ「なんなら最初に僕に甘えてみる?
僕で練習すれば?
それなら失敗しても恥ずかしくな…」
クレイグは言っている途中で恥ずかしくなります。
クレイグ「いや…ごめん。
何言ってるんだろうな…僕は。
い、今のは忘れ…ッ!?」
ロージーはクレイグに抱きます。
ロージー「撫でて…」
クレイグ「へっ?」
ロージー「頭撫でて!優しく!陛下の命令よ!」
クレイグ「…仰せのままに。陛下」
クレイグは優しくロージーの頭を撫でます。
ロージーは安心してクレイグに抱かれたまま寝てしまいます。
最近は不安でろくろく寝ていなかったロージー。
クレイグのお陰で緊張の糸が切れ、ぐっすり寝てしまいます。
クレイグは気が気ではありません。
さっき誘惑してきた女の子が自分の腕の中で寝てしまったのです。
クレイグ「おいおい嘘だろ…?
付き合ってもいない男の腕の中で寝るか?普通…。」
寝てる間に何かされたらどうするんだよ、馬鹿か!!」