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    しののま

    かきかけのものなどを置いてあったりします

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    しののま

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    ベレス先生がゴーティエ家の主催する舞踏会に行く話。みんなそれぞれいろんな思惑がある。解釈強めで、ちゅーはあるけどらぶはないです。要素詰め込み教育。

    ##シルレス

    次はもっと大事にして「さ、お手をどうぞ? お嬢さん」
    言いながら差し出された手を取るか否か、ベレスはわずかの間に逡巡した。手を見つめたまま、馬車から中途半端に片足を踏み出そうとしたまま固まった彼女に、先を促す意味でもシルヴァンは小首を傾げた。
    「いや、……ありがとう」
    ベレスは彼が出したてのひらに、そっと自分の手を重ねた。ほとんど添えるだけの力で握られたのを合図に、ベレスは高価なドレスの裾を裂いてしまうことがないように、反対側の手で裾を持ち上げて、薄く雪の降り積もるゴーティエ領に足を下ろした。

     王国の最北地であるゴーティエ領では、その雪深さから社交界の季節も早く終わる。他の地方では、ガルグ=マクの落成記念日がフォドラ各地で行われるその年の舞踏会の季節の最後を飾るが、その日まで待ってしまうと雪が全てを覆ってしまうのだ。
     父や母からは、士官学校の休息日に領地に顔出しするようもう何度も言われていたが、シルヴァンは学業の忙しさを盾に断っていた。しかし、最後だけはと、それも母親から言われるとどうしても断れきれず、試しに相手がいないと言ってみると、秋の鷲獅子戦のときにベレスを見止めていたらしい父が、彼女を連れてくることはできないかと無理難題を寄越してきたのだった。
    (こんなことなら、イングリットにお願いしておくんだった)
    それにしたって、担任のセンセイに来てもらうって、なんだよ……。監視ってこと? そもそも鷲獅子戦に父上は来ていたか? シルヴァンは気が重かったが、誰の意を汲んだのかベレスが、いいよ、と二つ返事をしたのが一節前、なぜ俺に声をかけないとフェリクスに詰め寄られたのが半節前。さすがに意味がわからなくて、ある日温室で岩ゴボウを収穫していたベレスを捕まえて尋ねると、彼女はぱちぱちと瞬きをして、
    「え、強いひとと戦えるんじゃないの?」
    と宣った。
    「俺、言いませんでしたかね? ブトウカイだって」
    シルヴァンは膝から脱力してしまいそうなところをなんとか踏みとどまった。岩ゴボウや、それ以外にもいくつかの野菜が入った籠を胸に抱いたベレスはこくりと頷いた。
    「うん、だから、武闘会でしょう?」
    こてん、と傾けた面差しはまるで農家の娘のように無邪気で、なにかに圧倒されそうになりながらも、シルヴァンは言葉を紡いだ。
    「ええっと、戦う方じゃなくて踊る方、なんですけど」
    「なぜ踊る方を私に……?」
    不審げに眉を寄せるベレスにシルヴァンは頬をかいた。ベレスの疑問ももっともだ。彼女が踊れるとか、踊れないとか、舞踏会に行ったことがあるとかないとか、そんな話をしたこともないし、興味さえなさそうだからだ。
    「いや、父があんたに会ってみたいって」
    そこまで会話してシルヴァンはようやく合点がいった。鷲獅子戦でベレスのことに関心をもったらしいと口にしてしまったことが、どうやら思いもよらぬ方向に作用しているらしい。シルヴァンはとうとうその場にしゃがみ込んだ。もしかしてだけど、お腹痛いの? ベレスがおろおろと手を右往左往させている。
    「……どうします? 先生」
    「うん?」
    シルヴァンはやっとの思いで膝から顔を上げた。温室の硝子の向こうからきらきらと真昼の光が差し込んで、ベレスの輪郭を淡く曖昧にさせていた。彼女は、これだけ貴族の子弟が集まる士官学校においても、一切の「色目」といったものを使わない。あたかも知らないようだ。
    「やめといたほうがいいんじゃないかって、思います。父上も、何を考えているのかわからないし」
    あまり身なりに頓着しないでいてもこんなに輝いてしまうなら、きちんとした場に現れてしまったらどうなるのだろう。ただ、ああいった場は、彼女のもつ極端な純朴を汚してしまうような気がして、でも、その一方でそれが見てみたいような気もして、シルヴァンはかぶりをふった。
    「やめとく……?」
    ベレスは小さな子どもがするようにシルヴァンの言ったことを反芻しただけのようだった。シルヴァンはこくりとうなずいた。急に任務が入ったなどといえば、彼女を連れて行かなくても済むだろう。エスコートする相手がいなくなってしまったのは、少し体裁がよくないかもしれないが、まあ、それも自分が耐えればいい話だ。
     ベレスは顎に手を当てて考える仕草をとった後、「いや、」と口火を切った。
    「行くよ、……もっとも、君が良ければだけれどね」

    「いつもお美しいですが、今夜は格別ですね?」
    「そういうの、いいから」
    ベレスはふう、とため息をついてシルヴァンの目から視線を外した。彼女の微細な動きに合わせて、首筋にかかる後毛が揺れる。なんともなしにシルヴァンの指がくすぐるように撫でて、ベレスが息を飲み込んだときには、まとめ上げられた他の髪の中に隠されてしまった。
    「これもマナーってやつです。まあ、あんたの場合、事実ですけど」
    芝居がかった調子で彼は片目を瞑って見せた。

     約束の時間になっても、彼女が門前に現れなかったのは意外なことだった。もともと休憩もはさんだ長旅の予定だったから、時間的な余裕はあったものの、さすがに気にかかった。彼女が約束を反故にするような人間とは思わないが、何かあったのかもしれないとシルヴァンはベレスの部屋を訪ねてみることにしたのだった。
     ――あら、まだ駄目よ、シルヴァン。
    ベレスの部屋を訪ねると、マヌエラが半分くらい開いた扉から顔を出した。後ろでは、アネットとメルセデスに髪飾りや化粧を施されているベレスが、もう疲れたような、すまなそうな表情をしていた。
     これは、後からベレスに聞いたのだけれど、今日のことを単なる世間話としてマヌエラに話をしたところ、それは気合を入れなければならないと、髪飾りも服も一式を借りさせられて、さらにはどこから聞きつけたのか、アネットやメルセデスが化粧や髪型はこれがいいだのあれがいいだのと、朝っぱらからベレスの部屋までやって来て、結局、出かけるまでにいつもの倍以上も時間を要してしまったらしい。行きの馬車からベレスは若干疲れを覚えた様子だった。
     ――気合い入れて整えたよ!
    最後にアネットが自信満々に送り出してくれたことをシルヴァンは思い起こしてほほ笑んだ。
    「今夜はきちんとエスコートさせてください。剣を持てない今夜の先生の騎士として、不埒な野郎を蹴散らしてみせますよ」
    「不埒はきみじゃないのか」
    触れるともなしに触れられた首筋に、まだ彼の熱が残っているような気がして、それを気にしながらベレスが言うと、シルヴァンは、う、と衝撃を受けたような仕草をした。

     会場の中は薄橙の明かりが灯され、雑多な匂いと独特な熱気に満たされていた。若干気圧されながらもシルヴァンに導かれて、足を踏み入れると、幾人かがはっと息を呑むのがベレスにはわかった。値踏みする視線に困惑して傍らに立つシルヴァンの方を見上げると、彼は目を眇めて前の方を見ていたけれど、ベレスの視線に気づくと、いつもの柔和な表情を貼りつけて彼女の方に向けた。
    「先生?」
    心配そうな声音。何せ舞踏会と武闘会とを聞き間違えるような女だ。そんな彼女を伴う彼の方がどちらかというと不安だろうに。彼の呼びかけに答える代わり、大丈夫という意味を込めて、ベレスは彼の腕に絡めた指先に力を込めた。

     こういう場は、昔から苦手だった。入れ替わり立ち替わりの挨拶も、値踏みされているのが明らかな不躾な視線も、今でこそかわす術を身につけはしたものの、疲れることには変わりなかった。
    「あそこにいるのが、父と母です」
    シルヴァンは一口サイズの前菜の盛り合わせに目も心も奪われているベレスの肩をちょんちょんとつついてから、その手を、演奏者たちの側で数人に囲まれて話をしている夫婦の方に向けた。
     半島の付け根に位置する、北方といえども異民族の影響を受けにくい地方の貴族だった。大方、供出が厳しいと談判しているのだろう。氷壁と称されるシルヴァンの父の眉間には、深い皺が刻まれている。その半歩後ろには母親の姿があって、そういえば彼女はその貴族の縁者だったとシルヴァンは思い起こした。彼女はゴーティエ家に後妻として入った。前妻のことをまだ生まれていなかったシルヴァンは知らないが、父親が学生時代に見初めた最愛のひとだったと聞いたことがある。そんなところに後妻としておさまる心境はいかばかりか推しはかることしかできないが、愛妻の遺児でシルヴァンからすれば異母兄にあたるマイクランよりも、「紋章持ち」のシルヴァンの方が周囲から大切にされてきたという点から考えると、相対的に母の扱いも変わったのだろう。控えめそうにしているが、立ち居振る舞いに存在感がある。
     初めてこういう場に顔を出したベレスは、当然そういった人物関係なんて知りもしないものだから、彼が指した方向を見てから、シルヴァンを見て、「きみはお母さん似だね」と呑気に口にした。
    「そ、ですかね。……あのひとから、産まれたからかな」
    (なぜそんな言い方をするんだろう)
    ぼんやりとベレスが考えていると、複雑そうな表情をしたシルヴァンが、もう少しひとが引いたら挨拶に行きましょう、とどことなく固い声でグラスをあおった。

     母親が呼んでいるものだから、少し行ってきます。絶対にここを動かないで、ほかの男からダンスに誘われても応えちゃだめですよ、あんた、俺とじゃないとまだ踊れないんだから。
     こくこくとうなずくベレスに口酸っぱく言い含めて、シルヴァンは何度も何度も振り返りながら立ち去った。そのたびにひらひらと手を振ってやって、ようやく背中が人混みの中に消えたあと、ベレスはなんとなく会場を見回した。シルヴァンがいなくなると、まるで波が引いたように周囲から視線を感じなくなる。なんだかとても気楽な気持ちになって、ベレスは袖口に気をつけながらもぐるりと肩をまわした。ふうっと息を吐いてみると、なんとなく自分らしくなった心地がした。じっとしているのは性に合わない。
     ――あれほど動くなと言われておったというに。
    「別に、これくらい動いてるに入らない」
    頭の中の少女のおもしろがっている声にベレスは返して、バルコニーに続く硝子の扉をそっと押し開けた。ひゅうと冷たい風が頬をなぶって、ぎゅっと目を瞑った。
     無防備に段差に腰かけると、これ! とソティスの声が響いた。庭は、ところどころ火が焚かれていて、じっと目を凝らしてみるとベレス以外にも外に出ている者たちがいるらしく、黒い人影がいくつか見える。膝に肘をついた手に顎をのせた姿勢でいると、ソティスがなにを言っても無駄じゃの、と言わんばかりに、はあ、とため息をついた。
     遠いさざ波のような三拍子の輪舞に合わせて、足をぱたぱたと動かしてみる。ふんふんと聞いたままに鼻歌を歌っていると、ふと、白い石段に影が差した。
    「つまらない、ですか?」
    「えっ? いや……」
    ベレスはほとんど反射的に反応して、その声の主を見上げた。室内からのぼんやりとした光で、その男性の髪は赤くも橙にも見えた。高い鼻梁からくぼんだ眼窩の奥は静かに燃えていて、きゅっと一文字に引き締められた口元は、そのひとの沈着な人となりを示しているようにも思われた。
    「ベレス先生ですね」
    「あっ、は、はい」
    「シルヴァンの父です。今日はご足労をおかけしてしまいました」
    そう名乗ると、男は、騎士の礼を取った。ベレスはぱっと立ち上がる。
    「いえ……」
    「どうですか、あれはうまくやっているでしょうか」
    あれ、といったマティアスの視線と同じ先を、ベレスも辿ってみた。地元の知り合いに出会ったのか、にこやかそうにしている。彼は、皇女、王子に盟主の孫、公爵令息に令嬢……と名だたる者が通う士官学校では、必要以上に目立つことのないようにふるまっているが、この会場では、担任の教師であるという欲目があるにしても、外見も、ふさわしいふるまいもひとつ頭抜けているように思われた。
    「はい、彼はとても飲み込みが早いですし、周囲のこともよく見て動いてくれています」
    「そうですか」
    「……」
    「……」
    饒舌な性質ではないのか、あるいは本来と違う気質を表に出しているのか、妙な間が空いてしまって、ベレスは座ってしまったせいで少し乱れたドレープの皺を少し伸ばしてみた。
    「……あの、今日はお招きいただきまして、ありがとうございます」
    「……」
    「鷲獅子戦、来られていたんですね? フラルダリウス公とは、お会いしたのですが」
    フェリクスの父で、現在のフラルダリウス公爵とは旧知の仲と聞く。公爵――ロドリグは気さくな人物だし、ベレスとも鷲獅子戦以前に面識があり、顔つなぎくらいの役割は果たしてくれそうに思えたが、そういうことはなかった。それに、シルヴァンも親との対面に席を外すような場面はなく、皆と付かず離れずの距離を保っていたはずだった。マティアスは少しだけ目を見開いたあと、静かに言った。
    「……お見通しでいらっしゃったのですか」
    「彼が、――シルヴァンが、ヒントをくれていたものですから」
    「そうですか、息子が……」
    マティアスは少し考えるしぐさをした後に、口を開いた。
    「あなたに、息子はずいぶんと心を開いているように見えます」
    「そう、でしょうか?」
    ベレスの頭の中を、彼が出会っていた数々の修羅場の場面が駆け巡る。どうしてだか、変な場面にばかり遭遇するのだ。
    「そうだと、いいんですけど」
    ベレスの呟きに、マティアスは目を瞬かせた。
    「ゴーティエ領は、ご存じのとおり異民族から王国を守る役割を仰せつかっております」
    今年の士官学校の生徒は、ファーガス神聖王国の王子に、公爵の嫡男に、と揃い踏みしている年代でもある。同僚であるマヌエラやハンネマンたちも、それなりには気を遣っているようだったし、レアもセテスも、何かあってはならないと常以上に気にしているようでもあった。そこに偶然とはいえ現れたベレスの存在も、レアはともかくとしてセテスは警戒していた。
    「つまるところ、私はあなたを疑っていた」
    「……」
    「それがわかっていたから、息子はあなたの傍を離れようとしなかったのでしょう」
    うっすらと結露した窓硝子越しに室内を見ると、ようやく解放されたらしいシルヴァンが、きょろきょろと見回している。ふ、とマティアスが表情を緩めたのが、気配で分かった。
    「別に私は……」
    「先生、武器を手に戦うだけが戦うということではないのです。私はそのことに気づくまでに長い時間がかかってしまいましたが」
    硝子越しに、シルヴァンとはっきり目が合う。じとりとにらみつけたあと、傍らにいるマティアスの存在に気づいて、目を見開いた後、彼にしては乱暴なしぐさでグラスをふたつ手に取ると、ずかずかと硝子戸の方に歩いてきた。
    「父上!」
    マティアスとベレスの間に身を滑りこませたシルヴァンに、マティアスは「……鍛錬を怠らないように」と言って、シルヴァンの肩を叩いて、室内に戻って行った。
    「先生?」
    手に持ったグラスを差し出しながら、シルヴァンはベレスを覗き込んだ。彼女は少女のような表情をしていて、ひとこと、「大変そうだったね」だけ言った。
    「……もう、俺しかいないから」
    「……」
    ベレスが返す言葉もなく、沈黙を守っているとシルヴァンが取り繕うように続けた。
    「や、なんでもないです。それより、父と話をしていたんですか」
    「? うん」
    手渡されたグラスを傾けると、金色の泡が夜風の中に溶けていく。
    「なにか、言ってました?」
    ベレスが横目で見上げた彼は、感情の読み取りにくい目で、グラスの縁を辿っていた。
    「……困らせているんじゃないかと言われたから、とてもいい子ですって、言っておいた」
    ベレスはごくごくとグラスの中身を煽った。意外と強い酒精だったようで、喉がかっと熱くなる。シルヴァンも同じような勢いでグラスを傾けて、ほとんど一口で飲み切ってしまうと、ふは、と笑った。
    「いい子、……いい子ねえ」
    噛み締めるように呟く横顔は寂しそうにベレスには感じられた。なぜだか胸が苦しくなる。
    「うん、……心配になるくらいにね」
    ベレスは何気ないふりをして付け足したが、かえってそれが、シルヴァンの耳には重く響いた。思わず彼女に向き直ると、ベレスはシルヴァンを先に見つめていて、夜の帷を思わせる目には感情の波は見えず、ありのままを見透かされてしまっているようだった。そう思うと、途端にどくどくと、シルヴァンの耳の奥で脈打った。
     薄い窓硝子一枚隔てた向こうで、母親がまた、彼を呼ぶ声が聞こえる。
    「先生」
    室内に気を取られたベレスが、そちらを向こうとするのを遮って、呼んだ。ふと、振り返ったベレスの桃色の唇が、シルヴァンと、名前をかたどった。
    「きみのことを、呼んでーー」
    グラスを持っている手ごと、握りしめた。一瞬指がひきつったが、シルヴァンが握り込んだおかげで落とさずに済んだ。
    「そうですね、」
    低くささやいてから、かすめるように、唇を合わせた。お互い目を閉じる時間もなかったから、唇を離すと、すぐ近くの場所でベレスは瞬きを繰り返して彼に焦点を合わせようとしていた。
     どこに行ってしまったのかしら、母親の声は少しずつ遠ざかる。そのうち戻ってくるだろう、父親が宥めている。
    「知ってます、でも、」
    でも、……なんだろう。
    あと少し、言葉を紡いだら唇がついてしまいそうなくらい顔を近づけたままでいた。
    ベレスは目を見開いたまま固まっていた。雪に、音を吸い込まれてしまったよう。
    「……シルヴァン」
    静寂を破って薄く開いたベレスの唇がなまめかしく光っている。自分から仕掛けたくせに、シルヴァンは唾を嚥下した。白磁のようとばかり思っていた、握った手は急に熱を帯びて、薄い皮膜越しには確かに、肉の感触がある。
    「俺は誰かの所有物なんかじゃない、ですよね?」
    今夜は、シルヴァンは邸に戻るつもりで、客間はいくらでもあるのだから、当然ベレスを招待するつもりだった。でも、ベレスは近くの教会に宿を求めるという。
    「先生」
    どちらのものともわからない呼気が白く立ち上って、視界がぼやけた。
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    ゆき📚

    DONE【sngk】【ジェリーフィッシュが解ける頃】Ⅷ
    今回で一応最終回という風になっております。
    決めたら早いよ会社員、純粋猪突だ大学生、なんやかんやはなんやかんやです!な感じなっています。
    こんなに続くと思って無かったし書いている間に本編はえらい事になってて、いやはや…
    相変わらず諸々雑な感じですが
    大丈夫、どんなものでもどんとこい!な方よかったら読んでやってください
    【ジェリーフィッシュが解ける頃】Ⅷ 「約束です。どんな形でもいいから守ってくださいね」
     そう言って笑ったあいつは結局俺を置いていった。
     初めからわかっていた結末なのに変わる事無く迎えたその事実に心はひどく冷え込んだ。
     みんなそうだと思って
     その考えは違うとすぐに否定し
     誰を責めればいいと思って
     誰を責める事などできない事だと言い聞かす。
     「約束ですよ」
     どうして俺を置いていく、置いて行かないでくれ
     
     *******
     
     「あれ?リヴァイさん?」
     自分の名前を呼ぶ声に顔を横に向ければ見慣れた人物と目が合って「やっぱりリヴァイさんだ」と改めて確認すると笑顔を向けてきた。
     「おぉペトラじゃないか」
     「どうしたんですか?あ、待ち合わせですか?」
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