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    霜花(しもか)

    @kirina_hgrkuri

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    霜花(しもか)

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    ある日ピクチャンは、ゴルトオールの砂漠で、散らかっている骨を見つめていた。
    ニヤニヤとそれらを見つめていたものだから、偶然それを目にしたマミーは不審がった

    ※自己解釈・「ピクチャンとマミーは知り合っている」を前提にしているなどの捏造設定あり

    [ミマモ]砂漠に散らばる遺物 ある日の、ゴルトオール城下町から離れた砂漠のとある場所。

     午後の、まだ暑い中、画家のピクチャンは、この砂漠のとある場所に散らばっていた骨を観察していた。
     
    「ふむふむ……別に新しいわけでもなく、太古の化石ってほど古くもない。一体ここでは何が起こったんだろうにゃあ……」

     見てみると動物の骨と思われると推測できるものも見かけはする。
     
     ラクダ、キツネ、ネズミ……。
     だがそれらに限ったものでもなさそうだ。
     
     ピクチャンは素手で触れはしなかったが、そこには明らかに自分の持っている「もの」と同じ形をしていると推測できそうなものもあった。
     
     別にこの場所にあったような真相を「確実」に知りたいとは、とても気になりはしつつも、もし解明が難しいのならそれでいいと考えていた。
     もちろん、それを知ったら知ったで、また素晴らしい視点を得ることはできるだろうが、今はふと浮かんだ、この空間に漂う「絶望」も描いてみたかった。
     
    「ふふふ……夜になったら、またここに来てみようかにゃあ。きっと良い絵になる」
    「誰がニヤニヤしてるかと思ったら、猫みてえな画家かよ」
    「ん?」

     ピクチャンの背後から声が掛けられた。
     振り返ると、この砂漠のある地点の地下に住む、ゴーレムのマミーがいた。
     
    「やあ、チミか。猫みてえなゴーレム。どうしたの?」
    「……まあ、俺も猫みたいなヘッドホン愛用してるけどさ。それは置いといて、どうしたもこうも、骨を見てにやにやするなよ、気色悪い」
    「ごめんごめん。確かに傍から見ればそうだよねえ。でもちょっと見てみたくなっちゃった。誰の骨で、何があったんだろうにゃあ……って」
    「やっぱりお前、ちょっと……いやそれとも探偵に頼まれたりしてんの?」
    「いんや。ぼくの興味だよ?」
    「おまえ結構こわいぞ……」

     ピクチャンはそれからもじっと骨を見ていた。
     一体何があったのだろうか。
     
     大規模な爆発とか、何か事故のようなことでもここであったのだろうか。
     
     それとも、大規模なキャラバンが一斉に飢え死にしたのか。
     もう少し行けば城下町に着けたかもしれないが、必ずしも彼らがいた時に、城下町が食糧に余裕のある状態だったとは限らない。
     長いスパンで考えれば、この砂漠にもいろいろなことがあったかもしれない。
     自分が生きていた間のことを遡るだけでも、たとえば「絶望の病」の蔓延や「リビングデッドパレード」の時は、ゴルトオールもあの城下町もそれどころじゃなかっただろう。
     
     悩んだ末、ふとピクチャンは気さくそうにマミーに聞いた。

    「きみさ」
    「なんだよ」
    「ここで何があったか、分かったりしないかにゃあ?」
    「そ、そんなの俺は知らないよ。目が覚めた時にはこうなってたんだから」
    「ほう、そうかい」
    「俺だって、まあ別に骨には興味ないけど、どうにかしたいのはやまやまだよ!」
    「この近くには俺の倉庫の入口もあるし! でも量は多いんだよ! 片付けられねえし、きっと勝手に片付けちゃいけない気もするし……」
    「確かに、これは一大工事をしないと片付かないよねえ。国として考えても、いくらエルエルル王のような素晴らしい為政者がいても、予算をさくだけのメリットがあるかは分からない」
    「その辺のことはしらねーけどな……砂漠は広いし、通行の邪魔にならないよなー」

     ピクチャンはふと思い出したことあり、それをマミーに言った。
     
    「以前、砂漠でゴーレムの開発実験をしたと聞いたことがある」
    「な、なんだよ、いきなり」
    「きみは、その時のことについて、なんか知ってることはあるかい?」
    「こっちが知りたいわ! 何をもって、俺やマムーを、こんなに寂しいところに埋めやがったのか分からねえし!」
    「ふむ、そうか」

     ピクチャンは再び、骨がたくさん集まっているのを見る。

    「何があったんだろうにゃあ、わくわくが止まらない」
    「やっぱりおまえこわいよ」
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