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    霜花(しもか)

    @kirina_hgrkuri

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    霜花(しもか)

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    パソコンの水冷クーラーみたいに冷やせば、熱くなってあがり症になる性格もどうにかなると思ったマミーの話

    #ミマモロール
    mimamorole

    水冷マミー「おーいマミー、来たぞー」

     ルチアは、城下町から離れた、砂漠のとある地下基地にやってきて、階段を降りるとその奥へ、いつもの調子で声をかけた。
     
     ドッドゴーレムたちが歓迎してくれる中、マミーはこの基地の主がいる奥へ向かった。
     
     しかし、マミーの部屋の扉を開けようとしたとき、一人のドッドゴーレムがルチアのところへ近づいてきて話しかけてきた。
     
    「ア、アノ、ルチアサマ」
    「ん? どうしたの?」
    「マミーサマ、イマアツクナイシ、スズシイケド、シンチョウニセッシテアゲテネ」
    「ん~? どういうことだ?」
    「チョットイマ、ミウゴキシヅライノデ」
    「大丈夫なの?」
    「ゲンキナノハタシカダカラ!」

     ドッドゴーレムは強く主張しているが、これだけでは状況がよく分からなかった。
     ルチアは頭を抱えつつも、そのままマミーの部屋へと進んだ。
     
     
     
       †
       
       
    「やあ、ルチア、今日はとても涼しいな」
    「この部屋の気温のことなら変わってる感じはないけどな。お前の姿はだいぶ変わったけど」

     ルチアが言った通り、マミーはいつもとだいぶ変わった様相だった。
     
     彼の頭に被っているゴーグルや、いろんなパーツの接合部にはチューブのようなものが繋がっており、そこには淡い水色の液体が流れ続けていた。
     
    「それで、なにしたんだよお前……」

     ルチアは、まるで心配しているかのような目でマミーに言った。

    「ちょっとした実験だよ。この前、パソコンのいろんなパーツにチューブとか繋げて冷やしてみたの見せただろ?」
    「ああ、ファンで外から風を送るんじゃなくて、冷やした液体をポンプで送り続けながら冷やしてく奴だろ……って、お前、自分の身体をそれで冷やそうとしてるのか」
    「そうだぞ~」
    「そういうのって、外にチューブとか出してたらあまり意味ないんじゃないか?」
    「あくまで実験だし、ちょっとやってみたかっただけだ。それに、俺の頭も胴体もいろいろと大事なものが詰まっているしあまり大きな設備を追加する余裕はパソコンほどないんだよなー。ラジエーターとかポンプはなんとか入れられたけど。ま、涼しく冷やせてるパソコン見てたらちょっと試したくなっただけだ」

     そう饒舌に説明しながらも「しかし、動きづらいな」とつぶやくマミーに、ルチアはなおも心配した。
     
    「お前、そんなに自分を改造して大丈夫なのか? 元に戻せるんだろうな?」
    「一旦スイッチを切る必要はあるが、すぐに外せるようにはしてある」
    「本当か?」

     ルチアはとても心配だった。
     知らないところで、自分のことをちょくちょく改造したりしているのかもしれない。
     ただ本人の言っている通り、大事なパーツが多いからか、あまり自分の身体を大きく改造したりはしないようだ。
     中身はともかく、今回は見た目は比較的大きく変えているものだから、これでマミーが壊れたりしないか、心配していた。
     狭いところを通るにも難がありそうだし、思わぬ故障で彼自身の身に何かあったら……そればかりがルチアにとっては心配で仕方なかった。
     
    「まったく、結構な大変な作業だったから褒めてやってもいいのに。ほら、奥の方でドッドゴーレムも四人ぐったりしてるだろ」

     マミーの言っている通り、彼の布団には四人のドッドゴーレムが横になっていた。
     それぞれ目を閉じていたり、何か小声で話し合ったりしていた。
     
    「そこまでして何がしたかったんだ?」
    「いやだって……それは……」
    「なんだ?」

     途端にマミーは、いつものようにもじもじとし出した。

    「……俺っていつも、他人と話してると恥ずかしくなったり、照れくさくなったりするからさ。マムーもそうだけど、どうして人間やお前たちと比べてそうなっちゃうんだろうって結構考えたりはするんだ」
    「マミー……」
    「でも、それってさ、俺が熱くなっちゃうからなのかなって思ってるんだよ。現に今は落ち着いてるだろ? なあ、ルチア?」
    「……」

     確かにさっきまで、マミーは落ち着いていた様子だ。
     しかし、今のマミーはどこかいつもと変わらない気がする。
     
    「……そうか、やっぱりどうにかしたかったんだな、お前」

     ルチアはマミーに接近していった。

    「その試み、いい結果が出てたらいいな」
    「……なんだよ」

     マミーはそっと、ルチアの方から離れていった。
     
    「どうした?」
    「……なんだよ、じっと見るんじゃねえよ。なんかいつもと同じくらい熱くなってきた気が」
    「……」

     ルチアは一度、マミーの態度に少しびっくりしたが、すぐにいつもの彼の様子だと気が付いた。
     
    「ああもう! お前って奴は! どうしていきなり近づいてくるんだよ! じろじろ見んな! 変態!」
    「……」

     こうなったら、しばらく置いておくしかない。
     
     そっとルチアもマミーから離れて、お互い落ち着くまで待つこととなったが、そう思っていたらマミーの方から言っておいた。
     
    「やっぱりこれ、外すからちょっと待っててくれ」
    「結局外すのか」
    「別に重いのはいいんだけど、動きづらいし、この格好で玄関を通ろうとしたらぶつかりそうで怖かった」
    「ああ、そう……」

     ルチアはマミーがシャツを脱ごうとしたタイミングで彼から視界を外し、隅にいるドッドゴーレムの方をじっと見ていることにした。
     しかし、彼らを見ているうちに、ルチアは気が付いたことを口にした。
     
    「そういえば、外す作業はお前ひとりでいいのか?」
    「別に大丈夫だよ。こっちにドッドゴーレム一人いるし、十分だ!」
    「そっか、分かった」
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