[ミマモ]ただ友達が欲しい「あーあ、これでもダメなのかよ……」
マミーは今にも泣きそうな顔をしながら呟いた。
ゴルトオール城下町から離れた砂漠地帯の、とある地点の地下。
そこにゴーレムのマミーが住んでいる家があった。
その家は自分の手で作ったのがだ、彼は何体かの、お供のゴーレムに守られながら住んでいた。
マミーが手に持って見ているのは、自分の手で作ったクマのぬいぐるみだった。
計算された頭脳と自分の器用な手によって、そのぬいぐるみはとてもきれいに、そしてかわいらしく仕上げられていた。
この日、マミーはこれを見せれば、町の子供は喜んでくれ、友達になってくれると思い、城下町へ言ったのだった。
しかしこれを持っても以前と同じように自分の姿を見て子供には怖がられ、いつものようにオトナたちよって城下町から追い出された。
「はぁ……もうどうすればいいんだよ……」
マミーは不貞腐れた様子で、そのぬいぐるみを机の上に置き、部屋の電気を消した後布団の中に入った。
「……」
地下に作ったこの家は防音性にとても優れ、地上からの音はほとんど聞こえない。
自分が作った一部のコンピューターやサーバーの稼働音が響いているだけの、真っ暗な空間が出来上がっていた。
「はぁ……何がダメなんだよ。誰か褒めてくれよ……邪魔者扱いばかりしやがってよぉ……」
マミーは涙をぬぐいつつ、そうつぶやいた。
マミーはただひたすらに寂しかった。
ある時にマミーがこの砂漠で目を覚ましてから、彼はずっと孤独感を感じていた。
お供のドッドゴーレムたちだって、自分にとっては頼もしい相棒であり、こんな自分を慰めてくれることもある良き理解者たちだった。
だが、自分の手で作ったものではこの寂寥感を満たしてくれることはないと感じ、どうしても他の、自分と同じくらいの身体をした子供の友達が欲しくなってしまった。
だから、自分が持っていた頭脳と、目を覚めてからずっと続けてきた研究によってできた自分の技術を持って、多くの人々が住む城下町へ自慢しつつ売ろうとした。
それと引き換えに、この砂漠にも一人くらい、自分のような子供が欲しいと思って交渉するようになったのだった。
しかし、マミーの技術に惹かれる者は少なく、むしろ怖がる人々は多かった。
そして子供を紹介してくれる住民は一人もいなかった。
それからも何度か別の技術を持ってきたり、なるべく怖がらせないように表情の作り方を練習したりして、何度か城下町を出向いたが同じような結果で終わるばかりだった。
一体何がいけないのだろうと、マミーには分からなかった。
最近は子供が喜びそうなものをと、ゲーム機やぬいぐるみを作ってみたりとしてみたが、ダメだった。
「……あ」
マミーはもう一度涙を拭ってから、ふと、パソコンが並んでいるところを見た。
それらの微かな光によって、さっき自分が机の上に置いたクマのぬいぐるみが、暗い中座っているのが見えた。
それを見て、マミーは段々と申し訳ない気持ちになった。
ぬいぐるみではあるのだがマミーの目には、まるであの子も自分のように、暗い中で独りぼっちでいるかのように感じた。
「……寂しがってる俺が独りぼっちにさせてどうするんだよ。こんな暗い中で」
そう思ってから、一度マミーは部屋の電気をつけて布団から出て、床の上に転がっていたぬいぐるみを回収した。
「……さっきはごめんな。つらったよな……」
マミーはそっと、そのクマのぬいぐるみを抱きしめ、それから再び布団の中に入った。
そのぬいぐるみも、自分の隣に寝かせて、消灯した。
それからその夜は、そのぬいぐるみを抱きしめて寝たのだった。