自分たちでも可笑しくなって時々笑いだしてしまいながら、アーサーとカインは朝から片時も離れずにいた。互いに必ずどこかが触れあっていなければならないという決まりのようなものが自然にできて、とにかく頑なにそれを守っている。カインが料理をする間アーサーはカインの後ろにずっとくっついていたし、食べる間も隣に掛けて腕と腕がふれあう距離にいた。片付けの間も例外ではなく、あちこちに水を飛ばしながら腕を組んで皿を洗った。
ふた手にわかれて家事を片付けたほうが効率がいいのはわかっているし、こんなことが誰かに知られたらきっと恥ずかしい思いをするだろうが、誰に憚ることもない二人きりの家だ。どちらもやめようなんて言い出さず、午後にはなかば意地になってきて取るに足らない遊びを続けた。魔法を最小限しか使えないのは暗黙の了解で、ときには四苦八苦しながらまるで小さな子供のようだ。
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