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    botangoton

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    五条がお気に入りのケーキを食べてる話。五乙

    #五乙
    fiveB
    #SS

    お気に入り「食べる?」
    「えっ」
     彼がその、きらきらと輝く赤い苺のショートケーキを特に気に入ってることは高専の皆が知っていた。いつもホールケーキをうきうきで買って来ては、誰かがちょうだいと言っても、一人で丸ごと食べきることが常だった。
    「お気に入りなんじゃ、」
    「はい、あーん」
     目の前に出されたそれを、あーんという言葉につられたまま食べようとして、頭の中に警告が鳴り響く。
     食べて、いいのか?食べたら何か起きてしまうのではないか?何が?
     …うーん、あとらケーキを担保に何か無理難題を押し付けられるとかかな?
     窺うように見た彼の表情からは、怪しいものは何も読み取れない。長いまつ毛に縁取られた目は、ただ「ほら」とフォークに刺さったお気に入りの一口を食べるようにうながしている。
     迷っていても仕方ない。ぱくんとそれを口に飲み込んだ。
     美味しい。クリームは濃厚でとろけるようだし、苺も程よい酸味がケーキの甘さを引き立てていて、上品な味を生み出していた。
    「おいしい、です」
     自然と顔が綻んでしまう。いいなあ、これをいつも一人で食べているんだ、ホールごと。ホール…さすがに要らないけど。
    「でしょ」
     その様子に満足したように、にまぁっと笑った彼は、まだ皿に残っているホールケーキにフォークを向けて、また自分で食べ出した。
    「お気に入りだから食べて欲しくってさ」
    「えっ、でもお気に入りだから一人で食べてたんじゃ」
    「うん」
    「や、やっぱり何か脅し…頼み事とかあるんですか」
    「ないよ、何言ってんの」
     おそるおそる聞いた言葉にケラケラと笑っている。本当に何も無いのか?拍子抜けだが、安心した。ただの気まぐれに当たっただけか。ついほっとした表情を浮かべてしまったが、彼は心外だなほんと〜と言いつつ、気にする様子もなくケーキの方に夢中になっていった。
     ただのラッキーかあ。こんな時に運使って後で災難に見舞われたらどうしよう。まあその時考えればいっか。
     乙骨は、食べる前に頭の中で響いた警告などすっかり忘れて、次の授業の内容について頭を巡らせて行った。ああ、糖分が染み渡るなあ。

     果たして彼の能天気さは、吉と出るか凶と出るか。
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