Good morning a lovely day. カーテンの音がして光が差し込んでくる。白いシーツはさらにまぶしく光り、僕は日差しに背を向けて寝返りをうった。
土曜の午前九時。普段なら二度寝を楽しんでいる時間だけれど、今日は先生に任務が入っている。せっかくの休日なのにさあと、昨日の夕餉でボヤいていたのに、こうやって出かける一時間半前には起きるところが、根が真面目な人だなと思う。
寝転んでいる僕の横で、先生はベッドに座って、準備するまでが面倒くさそうにして遠くを見つめていた。
広い背中が目に入る。ゆったりしたシャツで見えないけれど、その下にある盛り上がった背筋や肩、ゴツゴツした背骨の感触を、僕は知っているんだなとふと思う。そして、なんとなしにストレッチにとりかかる先生の姿に声をかけた。
「せっかくの休日なのにお仕事なんて寂しいなあ」
普段なら言わない台詞。そこに少し欲しがりな気持ちを込めた時の、先生の顔が僕は好きだ。
案の定、振り返った先生の顔は眉をしかめて、口をへの字に曲げていて、子供みたいにむすっとしている。
「憂太たまにそうやって誘ってくるのやめなね」
いつも言わないくせにと、不機嫌そうに言う声を聞くとさらに楽しくなってしまう。そう、その声も好きなんだ。抑えきれなくて、とうとう声を出して笑ってしまった。
「あはは。先生のそういう顔見るの楽しくてつい」
「ぜってー泣かす!!!」
夜の僕はきっと後悔するだろうけど、でもそう叫ぶ先生の顔がやっぱり好きだなあと思ってしまうから、僕はもう重症だ。
しばらく続く僕の笑い声に先生はさらにむすむすっと顔をしかめるのだった。