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    tomahouren

    @tomahouren

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    tomahouren

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    某船ネタ。寡聞にして、既出、ネタ被りありましたらすみません。書いてる人はオーカイとムルシャイのつもりではありますが、幽霊とオエちゃんとシャイが話してるだけ。

    『愛してるからきみがほしい』「やぁ、カイン」
     ネロに作らせたボールいっぱいの生クリームを食堂で食べていたオーエンは、突然、ムルにそう言われて。猫のようなその男を睨みつけた。
    「僕は騎士様じゃない。見ればわかるでしょ。とうとうイカれた? ああ、イカれてるのは元からか」
     オーエンの言葉にも、ムルはうっそりと笑うだけだ。
    「見たらわかるよ。ほら、この、きみの片方の目はカインのものだ」
     ぴっと指差すのは、オーエンがカインから奪った、甘い甘い蜂蜜色だ。
    「だからなに」
    「きみの中に、カインが入ってる」
    「そうさ、奪ってやったんだ。嫌がらせだよ。あの時の騎士様の顔ったら、なかったな」
    「じゃあ、もう片方の目も入れ替えたら、どうなるのかな?」
     空惚けた様子で、ムルが言う。オーエンは一瞬止まり、そしてムルを睨め付けた。
    「……は?」
    「腕も、足も、内臓も入れ替えたら?」
    「僕は僕だ」
    「例えば、きみの肉体の容積の『半分以上』がカインの肉体になった、その時はどうなるのかな? 何をどこまで入れ替えて。半分どころでなく、脳以外、全部入れ替わったら? では反対に、身体はそのままでも、脳だけ入れ替わったら? 身体だけでなく、脳も含めて全て、入れ替わったら? その時、『きみ』は誰なの? きみの意見を聞きたいな」
    「……。」
    「例えの冒頭で、『半分』と言ったけれど、そもそも『半分』だから、と定義するのもおかしい。『半分』じゃないなら、どこまで減れば『違う』ことの証明になるのか? 50%から、じゃあ49%の時はカインじゃないのか? その1%ってなに? 48%なら? 47%なら? そして片方の目、だけなら? きみはカインじゃないの?」
     すぅ、とオーエン瞳が細くなる。
    「僕は僕だ」
    「それは質量や物質の問題じゃないね。精神の問題かな?」
    「殺されたいの」
     ぞ、とオーエンが殺気だった瞬間、夜闇のビロードのような声が響いた。
    「インヴィーベル」
     ぎくりと目を見張ったムルの顔が歪み、星空を写したマントも溶け、床でぐちゃぐちゃになって、収束して。やがて、床の上で、ころりと硬質なかけらになった。
     オーエンは黙ってそれを見下ろしていた。
     食堂の入り口から、シャイロックがゆっくりと入ってくる。
    「やれやれ、厄災の傷にも困ったものです」
     座ったままのオーエンが、じ、とシャイロックを睨みあげる。シャイロックはかけらを拾いながらにっこりと笑った。
    「魔法舎の野良猫が、失礼しました」
    「おまえの飼い猫だろ。ちゃんと躾けろよな」
    「飼ったおぼえはなかったはずなのですが」
     苦笑する様子のシャイロックが、頬の横の髪を撫でて、耳にかけた。
    「内緒ですよ」
     そう言うと、オーエンの前で、ムルのかけらを口からごくんと飲み込んだ。
     さすがのオーエンも驚いて、目を見張る。
    「先ほどのムルに、後で聞いてやって下さい。『お前は誰だ』と」
     うっそりと笑って見下ろすシャイロックを下から見上げたまま、オーエンが言った。
    「お前は誰だ」
    「おや、今ですか?」
    「お前らって、ほんと気持ち悪い」
    「つまらない、よりは、気持ち悪い、の方が褒め言葉でしょうか。光栄です」
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    tomahouren

    MAIKINGシトロニア幼少時に、ザフラに潜入してる千景さん(女装・偽名は鈴蘭)の話。続きます。
    『オイディプスの鈴蘭』1(シトロン、千景)鈴蘭の花、触ってはいけないよ
    毒があるから

    青い宝石、見惚れてはいけないよ
    不幸を呼ぶから


    『オイディプスの鈴蘭』


     晴れ渡るザフラの青い空に現王の誕生日を祝う白い花びらが舞っていた。花の多いザフラが、一年で最も花の咲き誇る芳しい季節。王の産まれた日である今日は国の祝日として制定されており、街の大通りを王が馬車に乗って盛大なパレードを執り行う事が毎年の慣例になっている。
     王の乗る馬車、その隣の座席に座らされた幼いシトロニアは、ザフラ首都一番の大通りを埋め尽くす人々、そして建物の窓からも花に負けないほど華やかな笑顔で籠から花びらを撒く人々に向けて、王族として相応しい柔らかな笑顔を浮かべ手を振った。
     シトロニアの実父であるザフラ王は芸術をとても愛していると諸外国にも広く知れ渡り、国をあげて芸術文化を奨励していた。先頭を歩く国家おかかえ楽隊のマーチに合わせて、王に気に入られようと道端から歌声自慢の男が馬車を見上げ祝いの歌声を響かせる。王に捧げられた歌に、馬車から王は満足そうに微笑んで見せる。
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