副隊長交換十番隊「ま、それは松本からの報告を待つとして、だ……雛森」
「ん?」
「この時間に終われたからな。飯でも食いに行くか?」
「えっ……行く!」
「何食いたいか考えとけよ。俺はこの書類出してくる」
なにを食べよう、一緒に食事なんて久しぶりだとウキウキした気持ちでいたら、その言葉を言われた時には日番谷の足は廊下を一歩踏み出したところだった。雛森は、あたしが行くのにという言葉をすんでのところで呑み込んで、あわてて開いた戸に駆け寄る。
「日番谷くんありがとう。いってらっしゃい!」
背にかかったいってらっしゃいの声に日番谷はひらひらと手のひらを靡かせた。
いってらっしゃいってこんな嬉しいものだったか?
首を傾げながら歩く足取りは日番谷にしては珍しく弾んでいる。
雛森は一人残された部屋で、日番谷くんなんでもやってくれちゃうから楽させてもらっちゃったなと目を細め、お店はどこが良いかなと考え始めた。
***
書類溜めもねーし、仕事早いし、俺も残業しなくて済むし……なにより一緒に居られるし……ほんと一週間といわず、ずっとこのままでもいいんだがなあ……
「それは乱菊さんに悪いよ」
酒を傾けながらぼんやりと考えていたことをどうやら声に出していたらしい。