髪を伸ばしたあなたに「また伸ばしてるんだな、髪」
さらりと梳いた髪は確かな量でもって手からこぼれ落ちた。あの時にこれが決意だと切り落とした髪は、またお団子が結えるくらいには長くなった。さらさらの長めの黒髪が背に流れるのを見るのは久しぶりだ。
長くはなったものの結い方は変わっていて、あの頃のように高くキュッと結い上げることはもうしないようだけれど。
あの頃の、気を抜くことなく引き締めていたお団子とは違い、緩く丸めて纏められた髪は気を抜けるようになった証拠のようで、良い隊長に恵まれたんだなと改めて思う。
「決別、できたからね」
ふわりと笑んだその顔に嘘はなかった。
髪を切り落としてから随分と月日が経った。その間に吹っ切ることができたということで。もう、囚われることはないのだろう。
「そう思えるようになったならよかった」
「日番谷くんのおかげでもあるんだよ?」
「俺はなんにもしてねえよ」
「そんなことない!」