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    last_of_QED

    @last_of_QED

    ディスガイアを好むしがない愛マニア。執事閣下、閣下執事、ヴァルアルやCP無しの地獄話まで節操なく執筆します。デ初代〜7までプレイ済。
    最近ハマったコーヒートーク(ガラハイ)のお話しもちょびっと載せてます。

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    last_of_QED

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    1/3新月🌑執事閣下🐺🦇【マボロシコレクター(前編)】貴方が望んだIFを見せて。
    ※後編に続きます。

    #ディスガイア4
    disgaea4
    #執事閣下
    deacon
    #フェンヴァル
    fenval

    マボロシコレクター【マボロシコレクター】


     足元のジオパネルは「一撃死」を示している。いかに強大な力があれど、ジオエフェクトは何者にも等しく、絶対だ。アイテム界では最悪「詰み」も有り得る、この地に宿る魔法の力。その力を味方につけた敵は一枚も二枚も上手だったのだろう。俺たちは然るべくしてパネル上に誘い込まれたのだと思い知る。
     ハメられた。小賢しい。それでも、どうしようもなく腹立たしいのは──弓を構え、あろうことか主人へと矢の先を向けている、自分自身。

    「閣下! お逃げください!」

     まさに絶叫と言って良いだろう。喉が枯れるのも厭わずに、叫ぶ。それでも、視線の先にいるその人は微動たりともしない。

    「お願いです! このままでは私は、貴方を」

     この弓で、貫いてしまう。

     弓をひく。矢を放つ。
     ああ、これでさようなら、愛しい人。





    【コレクションしたい!】
    ボクはマボロシコレクター!金銀財宝も良いけれど、最近はマボロシ集めにハマってるんだ。上級悪魔のマボロシを五つ集めて来てくれないかな?報酬は10,000,000HL!

     何気なく見た掲示板にこれ見よがしに貼られているチラシ。それはあまりにも堂々とした犯行だった。誰だ、無許可で張り紙をしているのは。そんな言葉が口から出掛かったが、喉元で止まる。掲げられた破格の報酬に視線を奪われたためだ。これだけの金が入ればこれからの魔界政腐の制圧に際し金策には困らないだろう。そんなことを頭の中であれこれ思えば、マントをはためかせ隣に主がやって来る。

    「どうした、険しい顔をして」
    「閣下。何の申し出もなくポスターを掲示する不届き者がいるようです」
    「……ほう。なにっ、報酬10,000,000HL!? しかし何なのだ、マボロシとは?」

     いかにも怪しい内容に主人と従者は訝しむ。いずれにせよ、無断でポスター掲示したことに対する厳重注意の必要があろうということで、依頼主を掲示板前へと呼び寄せたのが、丁度一時間前のこと。猫耳帽のシーフが一人やってきて悪びれもせず依頼の詳細を語り始めた。

    「依頼、引き受けてくれるんだね!? 助かるよ〜。簡単簡単、このうはうはハンド〈改〉でこちょこちょ〜っとマボロシを掠め取って来てくれれば良いだけだから!」

     これはボクの特注品でね、幻の勲章とハンドを掛け合わせてちょっとした細工を施してあるのさ! ……そう誇らしげに語った彼女へフェンリッヒが苛立ちとも呆れともつかぬ表情を見せる。

    「誰がそんな胡散臭い依頼を引き受けると言った? お前をここに呼びつけたのは、無断の掲示に説教をするためだ」
    「えっ? それじゃあボクってばまんまと怒られにきたってこと!? あはは……ではこの辺で失礼しま〜す……」
    「待たんか! その依頼、引き受けよう!」

     さすがは盗賊の機動力である。一瞬のうちに拠点の端まで距離を取り、時空ゲートをくぐりかけていた彼女に、ヴァルバトーゼが声を張り上げ言った。

    「閣下? 突然何をおっしゃって……」
    「引き受けてくれるなら最初からそう言っておくれよ〜! クエスト受注有難う!」
    「うむ。詳細を聞こうか」
    「閣下」

     調子良く此方へと戻ってきて吸血鬼の手を握りぶんぶんと振るシーフ。それを躍起になって引き剥がし、それでも主の意思がかたく変わらないのを悟るとフェンリッヒは大きなため息を吐いた。





    「マボロシを盗んできて欲しいんだ」

     改まってシーフの告げたことは、次の通り。悪魔の強く願うIF、彼女が「マボロシ」と呼称するものをうはうはハンド〈改〉を使って具現化し、それを瓶に詰めて持ち帰って欲しいということだった。「なるほど、分かりそうでさっぱり分からん!」と清々しく言ってのけたヴァルバトーゼが目に眩しい。吸血鬼と狼男は半信半疑のまま一通りの説明を聞き終え、唸った。

    「じゃ、よろしくね!」
    「待て、まだ話は終わっていない。あまりにも不可解な点が多過ぎる。しかもだ、お前は『簡単だ』とほざいたな。それなら何故自分でやらんのだ。明らかに裏があるだろう」
    「ボクじゃ太刀打ちできないような悪魔に巡り会うと踏んで君たちに依頼を出したのさ。聞いてるよ、これから大統領府に乗り込むんだって? 腐り切った魔界の世直し、痛快だね!」

     大統領府直轄の権力者たち。さぞや欲望に塗れているんだろうねえ。そんな上級悪魔のマボロシなんて……いかにも何かに使えそうだと思わない? そう言ってシーフの瞳がギラリ妖しく光る。
     地獄では未だ金策に四苦八苦している。装備を整えるにせよ、賄賂に使うにせよ、資金が得られるのは悪い話ではない。それに加え「マボロシ」の存在を鵜呑みにするのであれば、この依頼を引き受けることは即ち上級悪魔の弱みや欲望を握ることにもなる。今後の魔界政腐制圧に活かせるだろうという予感があった。とはいえ、この話はあまりにも怪し過ぎた。
     期待感と疑念の狭間で揺れる狼男の横でうはうはハンド〈改〉を受け取りながら吸血鬼は容易く言ってのける。

    「俺たちは間も無く、大統領府の幾万の悪魔たちを相手取ることになるのだ。小手調べも兼ねて、やるだけやってみようではないか」
    「決まりだね? じゃあ最後にひとつだけ」

     彼女はコホンとひとつ咳払いし、背負っていたアイテム携帯袋から美しいしなりの弓をひとつ、手渡した。これもまたシーフの改造品だろうかと見慣れぬその弓をフェンリッヒは黙って譲り受け、これは何だと目で訴えた。

    「マボロシは意思を持つんだ。場合によっては君たちを攻撃してくるだろうし、下手をすれば呑まれてしまう。ターゲットの悪魔はともかく、マボロシには近付き過ぎず特製の弓で遠距離攻撃。弱ってきたところで一気に近付いて小瓶で捕獲、を強くお勧めするよ!」
    「……呑まれる? 何のことだ?」
    「イケナイお薬みたいなものなのさ、マボロシは。得られる快感は格別だけどね!」

     フェンリッヒに首根っこを掴まれながら両手を上げてニャフフとシーフは笑う。

    「君たちにだってあるでしょ。ああだったらいいな、こうだったらいいな、あの時ああしていれば……そんなIF。マボロシって言うと響きはロマンに溢れてるけど、幻覚・妄想って言ってしまえば途端に狂人の戯言なのさ」

     いつの間にやらフェンリッヒの拘束する手をするりと抜けてシーフは拠点中央、掲示板の裏からピースサインを送る。「よろしくね〜!」と楽しげに、そして無責任に放って依頼主は地獄を去って行った。その逃げ足の速さに吸血鬼は深く感心していたが、その隣では狼男が延々小言を並べ続けた。

    「さて、行くとするか」
    「……本当に宜しいので? かなり怪しい話ですが」
    「しかしお前も気にならん訳ではなかろう、マボロシとやら?」

     もしイワシが最強の魚なら海の生態系はどうなる!? そんなIFも見られるかもしれん。いや、既にイワシは強いがな! 饒舌に語るヴァルバトーゼのきらきらとした好奇心に折れるかたちでフェンリッヒががっくりと首を縦に振ると、吸血鬼はメーヴェルに時空ゲートの行き先を大統領府前へと設定させた。





    「逃げるな卑怯者! 『それ』を返せ!」

     魔界大統領府前、ヴァルバトーゼとフェンリッヒは三つ目のマボロシを手中に収めたところだった。情けない声を上げながら必死に追いかけてくる鈍足な上級悪魔(アイアンナイト)を完全に振り切って、主人と従者は顔を見合わせる。足を止め小さくハイタッチを交わせば双方からにやりと悪い笑みがこぼれた。
     シーフから請け負った依頼は「上級悪魔のマボロシを五つ集める」こと。何も命までとる必要はない。むしろ、殺さずにおいたほうがマボロシが脅しのネタとして生きてくる。故に標的の背後から不意をついてマボロシを盗み、一目散に逃げ去ることをこの間三度繰り返してきた。正々堂々の勝負を好むヴァルバトーゼは当初その盗賊のような策を渋ったがこれまであらゆる戦略を任せてきたシモベからの説得で、今回も遂にはそのやり方に従った。

    「しかしこれは……面白いものだな。一体どういう仕組みなのだろうか」

     手元の小瓶をじっと見る。きつくしめられた蓋が吸血鬼の細指によってきゅぽんと音を立て取り外されれば、白い煙を纏ってマボロシが溢れ、みるみるうちに人型を象っていく。豊満な胸に多額の紙幣が挟み込まれている妖艶な夜魔族。そんな彼女の尻に顔面を押し潰され、鼻息を荒くして悦んでいるナイトの写し身が現れて、こちらにはお構い無しに何事かをおっ始めんとしている。咄嗟にヴァルバトーゼの両目を手で覆うフェンリッヒは心底軽蔑した表情で毒を吐く。

    「我が主にフケツなものを見せるな! 穢らわしい!」
    「落ち着けフェンリッヒ。これはただの欲望だ。現実ではない」
    「そんなことは承知しております! 閣下、見てはなりません!」

     フェンリッヒはヴァルバトーゼの手から瓶を取り上げ、乱暴に振りかざす。今まで見ていたマボロシは再び小瓶へと吸い込まれ、音もなく姿を消した。

    「なんという浅はかで低俗な願望でしょうか。しかし、なるほどこれは……確かに政腐制圧には大いに役立ちそうですね?」

     ほくそ笑むフェンリッヒの手元の三つの瓶の内側にはそれぞれ形を持たぬマボロシが妖しい色を帯び、揺らめいていた。

    「使いようはあるな。しかし……この状態だと、何とも綺麗なものだ」

     瓶の中の揺らめきに見入ってしまった数秒、二人の間には沈黙が生まれる。ハッとしてフェンリッヒは首を振った。これがシーフの言っていた「マボロシに呑まれる」ということなのだろうか。最後の最後で意味深な言い逃げをして、いけ好かない依頼者だと舌打ちをすると、その音にようやくヴァルバトーゼも我にかえった。

     木々が騒めく。空の低いところをカラスが複数羽、喧しく飛んでいった。日が傾き、空には灼けるようなオレンジが不気味に滲む。

    「さて、また同じ要領でいきましょうか」
    「ああ、大統領府付近まで戻るとするか。クク……先ほどマボロシを拝借した上級悪魔たちとは鉢合わせんようにせねばな。急ぐぞ」

     先を行くヴァルバトーゼに追随するフェンリッヒは、何故、何でもないただの道で躓いたのか、分からない。

    「!?」
    「危ない!」

     確かにそこは身を隠すのに適した鬱蒼とした森だった。日も傾き、足元には暗がりが広がっていた。それでも転ぶような要素はなかったように思えた。しかし事実、狼男は蔦に足元を取られてしまった。よろめくと、半歩前を歩いていたヴァルバトーゼを巻き込んでそのまま勢い良く地面へと転んだ。従者を受け止めようと咄嗟に振り向いた主人へと正面から覆い被さる形になって、何とも言えぬ気まずさからすぐに立ち上がり、距離を取る。

    「申し訳ありませんヴァル様……ご無礼を」
    「いや、どうということはない。大丈夫か?」

     フェンリッヒは頭を下げて目の前の主人へ失態を詫びた。そして許しの声に顔を上げ、目を開き、驚愕する。何かの見間違いではないかと二度、三度、瞬きをした。目の前で起こる事象を、にわかには信じられなかった。身体が打ち震え、自分ではそれを制御出来ない。

    「ヴァル、様……?」

     フェンリッヒの視線の先には在りし日の、暴君ヴァルバトーゼの姿があった。


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    DOODLEガラハイ🐺🦇【stand up!】
    お題「靴擦れ」で書きました。ハイドがストーカーに刺された過去を捏造しています(!?)のでご注意ください。

    ガラさんとハイドには、互いの痛みを和らげてくれる、一歩を踏み出すきっかけになってくれる…そんな関係にあってほしいです。
    【stand up】「ガラ、休憩だ」

     背後から名を呼ばれ、狼男は足を止めた。気配が背中まで迫って来るや否や、声の主はウンザリだとばかり、息を吐く。

    「休憩って……おれたち、さっきまでコーヒートークに居たんだよな?」

     両名は確かに五分前まで馴染みの喫茶店で寛いでいた。ガラハッドとゾボを頼み、バリスタ、それから偶然居合わせたジョルジと街の噂や騒動について会話を交わし別れたばかりだ。にも関わらず再び休憩を所望するこの友人をガラは訝しんだ。傾き始めた陽のせいかハイドの表情は翳り、どこか居心地が悪そうに見えた。

    「具合でも悪いのか?」
    「……ああ、もう一歩も歩けそうにない。助けてくれ」

     かつて、オークに集団で殴られようが、ストーカーに刺されようが、皮肉を吐いて飄々としていた男が今、明確に助けを求めている。数十年に及ぶ付き合いの中でも初めてのことで、ガラは咄嗟にスマートフォンに手を掛けた。「911」をコールしようとした時、その手を制止したのはあろうことかハイド自身だった。
    1434

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    DONEガラハイ🐺🦇【As you wish, Mr.Hyde.】
    バレンタインのお話🍫Xにてupしたもの。記録用にこちらにも載せておきます✍️
    【As you wish, Mr.Hyde.】 今にも底の抜けそうな紙袋が二つ、どさりとフローリングに下ろされる。溢れんばかりの荷物、そして良く見知った来訪者を交互に見比べて人狼が尋ねた。

    「なんだこれ」
    「かわい子ちゃんたちからの贈り物だ。毎年この時期事務所に届く。……無碍にも出来ないからな、いくつかはこうして持ち帰るんだ」
    「マジかよ……これ全部か……?」

     愕然とする人狼を横目に、ハイドは手が痺れたと笑うだけだった。今日は二月十四日、いわゆるバレンタインデー。氏に言わせれば、これでも送られてきた段ボールの大半を事務所に置いてきたのだという。

    「さすがは天下のハイド様だ……」
    「まあ、悪い気はしない」

     ソファに腰を下ろし、スリッパを蹴飛ばしてしまうと吸血鬼はくじ引きのように紙袋へと腕を突っ込んだ。無作為に取り出したファンレター。封を開き便箋を取り出すと、丁寧にしたためられた文字の列をなぞった。一通り目を通した後で再び腕が伸ばされる。次にハイドが掴み取ったのは厚みのある化粧箱だった。リボンを解けば、中には宝石にも見紛うチョコレートが敷き詰められていた。どれにしようかと迷う指先。気まぐれに選んだ一つを口の中に放り込んだ時、ガラがおもむろに通勤カバンを漁り始めた。
    1853

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    DOODLE主人に危機感を持って貰うべく様々なお願いを仕掛けていくフェンリッヒ。けれど徐々にその「お願い」はエスカレートしていって……?!という誰もが妄想した執事閣下のアホエロギャグ話を書き散らしました。【信心、イワシの頭へ】



    「ヴァルバトーゼ閣下〜 魔界上層区で暴動ッス! 俺たちの力じゃ止められないッス!」
    「そうか、俺が出よう」

    「ヴァルっち! こないだの赤いプリニーの皮の件だけど……」
    「フム、仕方あるまいな」

    何でもない昼下がり、地獄の執務室には次々と使い魔たちが訪れては部屋の主へ相談をしていく。主人はそれに耳を傾け指示を出し、あるいは言い分を認め、帰らせていく。
    地獄の教育係、ヴァルバトーゼ。自由気ままな悪魔たちを良く統率し、魔界最果ての秩序を保っている。それは一重に彼の人柄、彼の在り方あってのものだろう。通常悪魔には持ち得ない人徳のようなものがこの悪魔(ひと)にはあった。

    これが人間界ならば立派なもので、一目置かれる対象となっただろう。しかし此処は魔界、主人は悪魔なのだ。少々横暴であるぐらいでも良いと言うのにこの人は逆を征っている。プリニーや地獄の物好きな住人たちからの信頼はすこぶる厚いが、閣下のことを深く知らない悪魔たちは奇異の目で見ているようだった。

    そう、歯に衣着せぬ言い方をしてしまえば、我が主人ヴァルバトーゼ様は聞き分けが良過ぎた。あくまでも悪魔なので 7025

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    BLANK【5/24 キスを超える日】ほんのり執事閣下【524】



     かつてキスをせがまれたことがあった。驚くべきことに、吸血対象の人間の女からだ。勿論、そんなものに応えてやる義理はなかったが、その時の俺は気まぐれに問うたのだ。悪魔にそれを求めるにあたり、対価にお前は何を差し出すのだと。
     女は恍惚の表情で、「この身を」だの「あなたに快楽を」だのと宣った。この人間には畏れが足りぬと、胸元に下がる宝石の飾りで首を絞めたが尚も女は欲に滲んだ瞳で俺を見、苦しそうに笑っていた。女が気を失ったのを確認すると、今しがた吸った血を吐き出して、別の人間の血を求め街の闇夜に身を隠したのを良く覚えている。
     気持ちが悪い。そう、思っていたのだが。
     ──今ならあの濡れた瞳の意味がほんの少しは分かるような気がする。

    「閣下、私とのキスはそんなに退屈ですか」
    「すまん、少しばかり昔のことを思い出していた」
    「……そうですか」

     それ以上は聞きたくないと言うようにフェンリッヒの手が俺の口を塞ぐ。存外にごつく、大きい手だと思う。その指で確かめるよう唇をなぞり、そして再び俺に口付けた。ただ触れるだけのキスは不思議と心地が良かった。体液を交わすような魔力供給をし 749

    last_of_QED

    MOURNING世の中に執事閣下 フェンヴァル ディスガイアの二次創作が増えて欲しい。できればえっちなやつが増えて欲しい。よろしくお願いします。【それは躾か嗜みか】



    この飢えはなんだ、渇きはなんだ。
    どんな魔神を倒しても、どんな報酬を手にしても、何かが足りない。長らくそんな風に感じてきた。
    傭兵として魔界全土を彷徨ったのは、この途方も無い飢餓感を埋めてくれる何かを無意識に捜し求めていたためかもしれないと、今となっては思う。

    そんな記憶の残滓を振り払って、柔い肉に歯を立てる。食い千切って胃に収めることはなくとも、不思議と腹が膨れて行く。飲み込んだ訳でもないのに、聞こえる水音がこの喉を潤して行く。

    あの頃とは違う、確かに満たされて行く感覚にこれは現実だろうかと重い瞼を上げる。そこには俺に組み敷かれるあられもない姿の主人がいて、何処か安堵する。ああ、これは夢泡沫ではなかったと、その存在を確かめるように重ねた手を強く結んだ。

    「も……駄目だフェンリッヒ、おかしく、なる……」
    「ええ、おかしくなってください、閣下」

    甘く囁く低音に、ビクンと跳ねて主人は精を吐き出した。肩で息をするその人の唇は乾いている。乾きを舌で舐めてやり、そのまま噛み付くように唇を重ねた。
    吐精したばかりの下半身に再び指を這わせると、ただそれだけで熱っぽ 4007