starry sky ひとつ星をすくってフロイドにさし出した。
フロイドはニコニコ笑って受けとってくれた。
ふたつ星をすくってアズールにさし出した。
アズールは顔をしかめながらも受けとってくれた。
みっつ星をすくって空になげた。
水しぶきがきらめいて、星が降ってきているみたいだ。
「何してるんだ」
アズールは不満そうな声を出すけれど、どこにもいかないで、ここにいてくれる。
嬉しくなって尾ビレで水面をはね上げると、さっきとはくらべものにならないくらいの水しぶきが上がった。
「あは、それいーね。星空みたい」
フロイドも尾ビレをはね上げて、もっと星がきらめいた。
「まったく」
あきれた様につぶやくアズールはやっぱりとどまっていて、ますますうれしくなる。
水面に星空が映るほどの、凪の海。
危険だから近づいてはいけないと言われたそこは、たしかに生き物の気配がなくて静かだった。
耳が痛くなるほどの静けさと、上か下かもわからなくなるほどの凪の景色。
帰り道を見失いそうなおそろしい場所に僕らはいる。
好奇心と冒険心と、なにより僕たち三人でならなんでもできるから。
うずうず、と心のそこがむずがゆくて、アズールに尾ビレをからめる。
フロイドと手をつないで、満天の星空をみあげる。
きっとずっとこの星空は忘れない。