パンケーキのばへしのその後長谷部に呼び出されたのは一緒にパンケーキを食べに行ってから2週間後のことだった。やけに改まった文面で、待ち合わせ場所はカラオケボックス。俺も長谷部もあまりカラオケには行かない方だから長谷部の意図が読めないままその場所まで来た。電車の乗り継ぎのタイミングが良かったらしく10分ほど早く着いたのだが、すでに長谷部が待っていた。紙袋を手に持っている。俺に気付くと一瞬の間があってすっと右手が挙がるのが見えた。長谷部と同じ仕草を返して近寄る。長谷部の口角は上がっているのに目が泳いでいた。
「早いな」
「ああ、まあな」
「ところで用件は何だ」
「それは中に入ってから話す。まずは受付だ」
そわそわと落ち着かない様子で目線をあちらこちらへやりながらこちらを見ずに話す。言い終わったかと思うとふいと身を翻して受付へ向かった。
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