今川のセイバーやってる伊東先生の話 由緒正しき家柄のものには、英霊が守り人としてつく。
氏真の生まれた今川家もその倣いにより、当主となったものは家を継ぐと同時に英霊召喚の儀を行う。名門である今川家には代々、階位第一位のサーヴァントが喚ばれている。彼らは当主を主と定め公私共に付き従い、常に主を助け、主の為にと尽くす存在だ。彼らと主となった者は家族などといった血の繋がりとはまた別の、特別な絆で繋がっている。
当代である義元にもセイバークラスのサーヴァントが一騎ついていた。氏真の物心がついた時にはすでに彼は、偉大なる父の傍らに佇んでいた。一挙手一投足が人のそれとは違って洗練されていた。歴史の影法師、泡沫の身とはよく言ったもので生きている者とは纏う空気が違っていた。視線のひとつ、仕草のひとつ、どれをとっても優美で繊細だった。
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