ふるや、ち〇こいたいってよ(fry)それは様々な偶然が重なって起きた悲劇であった。降谷のお誘いで深夜ラーメンをキメようと二人で並んで歩いていた時だ。角から飛び出し走ってきた男が物凄い勢いで鳥海に当たる。勢いを殺せなかった鳥海が隣の降谷にぶち当たり押し倒す形で倒れ込む。倒れ込んだ拍子に鳥海の膝が降谷の股間へクリティカルヒットしたまま押し潰す。降谷が声にならないような悲鳴を上げて悶絶。倒れたとき庇って背に回した降谷の腕の力が強まり鳥海にしがみついている状態になる。鳥海は察した。己の膝が降谷を瀕死状態にまでしており、いま身動きを少しでもしようものなら大事なモノが潰れるかもしれないだろうということを。
「ふ、るや、さん……私いま動いたら死ぬ……?」
鳥海の胸元に顔が埋まっている降谷が必死に息を整えようと吸っては吐いてを繰り返し必死に頷く。女の胸に顔を埋められて美味しい状況とか言ってられる場合じゃ無かった。何せ声すら出せないくらいのダメージを食らったのがわかる。
「でも退かないと押し潰したままで……降谷さんのフルヤくんが……」
いまだしがみついてはどうにか頭を横に振ってこちらが動くことを止める降谷に血の気が引いてきた。これは本気で降谷のフルヤがやばいのでは。自身も降谷の頭の両脇近くに折り畳んだ腕で体を動かさないよう支えているが、180センチ以上ある筋肉質な降谷にしがみつかれているために重くて腕がプルプルし始める。体勢が違うなら腰をトントンしてあげられたがそれも出来ない。腰トントンは男がチ〇コ当てたときにやると痛みが早めに引くので、世のチ〇コを持たずこの痛みがわからない方々は万が一のためにも覚えておこう。知識は無駄にはならない。とりあえず、いまの私は冷静に混乱しているようだ。
「……人間の雄はどうして性器を露出しっぱなしでぶら下げている形状なんでしょうか。攻撃されればこうして身動き取れなくなるような場所なのに。弱点曝しながら歩いているって事でしょう?よく悪ぶったヤクザかぶれが肩を揺らしてがに股で股間突き出して歩いてるじゃないですか。あれってどうぞ弱点狙ってくださいと言ってるようなものですよね。あと金的攻撃って大半が医者に診てもらっても数時間すれば痛み治まるよって言われて軽症扱いなので過剰防衛にはならないらしいと聞きました。でも当たり所が悪いと睾丸が捻れて中から壊死して腐って死んでしまうらしいです。だから金的は急所では無いけれど一時的に行動不能にはしてしまうくらいのものだから金的攻撃はやったらいけないんだなって思いました。だっていつ何が起こるかわからないのに身動き取れないってそれこそ最大なる生命の危機」
降谷「ゆっくり、おりてくれ」
「わかりました。ごめんね、降谷さん。大丈夫じゃないよね。私もパニックになっちゃって変なことベラベラ喋っちゃいました。動きますよ」
そっとゆっくりと降谷の股間を踏みつけていた膝を上げてようやく降谷の上から退くことが出来た。同時に降谷はゆっくりと体制を蹲る形に変える。
「腰トントンする?」
降谷「してくれ」
拳を握って降谷の腰をトントンすれば唸り声が聞こえてくる。少し息は整ってきているようだからあとは痛みが引くのを待つだけだ。
「24時間経っても痛みが引かないようなら必ず病院行ってくださいね。あと、ラーメンやめて帰る?」
降谷「ラーメンは食べたい」
「あ。食欲あるなら大丈夫そうですね。通報しとく?」
降谷「こっちで処理しとく」
それから痛みが引いた降谷が座ったままため息をつく。私も相変わらずしゃがみ込んだまま降谷を見つめた。
降谷「さっきのを聞いてて僕が思ったのは……鳥海の場合は自分の手が出る前に、真っ先に逃げて回りに助けを求めて欲しい。危険だから」
「出来てたらやってますよ。毛利さんにも同じこと何度も言われているのに何故か出来ないんです。手がパーではなくグーになってしまうのも然り……生粋の米花町民だから?」
降谷「鳥海の言葉を借りると、生粋の米花町民だからこそ出来ることだぞ。鳥海の方が特例」
「確かに……!立てます?」
鳥海が立ち上がり手を差し出すと降谷が手を借りて立ち上がる。気を使ってそっと視線を逸らしておけば降谷はチンポジを直し終えたようだ。ヨゾラ、キレイ。
降谷「気を取り直して、ラーメン行くか」
「今日は私が奢りますね。降谷さん、ナイスファイト」
ラーメンは死ぬほど美味かった。