バンと旅に出たエレインが改めて強く感じたのが《金》と言う物の魔力だ。比喩でなく街の人間はこれなしに生きていくのは困難なのだと知ったし、この為にいきいきと働く人間もいる。そして、身を持ち崩す人も。
バンはゲームが好きらしい。エレインにもいろんなゲームを教えてくれたし、二人で遊びもした。エレインは心が読めてしまうので圧倒的に有利に見えたが、
一喜一憂がまるごと顔に出るので勝敗はトントンだ。
酒場でもしばしばエレインを膝に乗せたまま、他の客ともゲームをしては旅の小銭を稼いでいた。
しかしその日は良くない日らしく、バンは負け続けだった。賭け事に強い方だが、酔っぱらいの上に万能ではない。そんな日もある。
「なぁエレイン……いや、俺は何考えてんだ、お前にそんな事させられねぇ♪」
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