ALL 五夏 ダァリヤDONE夜凪(よなぎ)百鬼夜行後だの高専時代だのぽろぽろ視点が変わる不親切な設計です。世界の終わりについて。世界よりも先に終わってしまったこと。【五夏】よなぎ 伝えておけばよかった。 ザアザアと潮の音がする。もうとっくに海に入るような季節ではない。分かっていたが、裸足で砂の上に立っていた。寄せては引く波がくるぶしまで濡らして、その冷たさに足の指がじんじんと痺れる。 眼前に広がる水は黒い。夜の海は酷く暗くて、友人の長い髪を思わせる。自分にはない濡羽色の髪が、とても、とても好きだったことを思い出す。 感傷に浸って海を求めるような青臭さなんて、十年も前に捨てたはずだった。それでも、来ずにはいられなかった。 好きだと伝えておけばよかった。 波が銀色にうねる。遮るものが何もない遠い水平線に、小さな光の点が見えた。漁船だろうか。どこかの岬の灯台かもしれない。どれくらい離れているのか分からない。頼りない光の粒は、時折瞬いた。 6188 ダァリヤMAIKING映画までに終わりませんでしたの冒頭です。 伝えておけばよかった。 ザアザアと潮の音がする。もうとっくに海に入るような季節ではない。分かっていたが、裸足で砂の上に立っていた。寄せては引く波がくるぶしまで濡らして、その冷たさに足の指がじんじんと痺れる。 眼前に広がる水は黒い。夜の海は酷く暗くて、友人の長い髪を思わせる。自分にはない濡羽色の髪が、とても、とても好きだったことを思い出す。 感傷に浸って海を求めるような青臭さなんて、十年も前に捨てたはずだった。それでも、来ずにはいられなかった。 好きだと伝えておけばよかった。 波が銀色にうねる。遮るものが何もない遠い水平線に、小さな光の点が見えた。漁船だろうか。どこかの岬の灯台かもしれない。どれくらい離れているのか分からない。頼りない光の粒は、時折瞬いた。 879 ダァリヤMOURNING『魔法が使えないなら死にたい』(五夏)最強なのであって万能ではない。ハマってすぐくらいに書いたやつです。懐かしい。来世を約束なんてしないけど、魔法が使えるなら会いに行くし、魔法が使えないのなら、また会えないと言うのなら、死んでしまいたい。みたいな最強だけど万能ではない五条悟の話。ぽちぽちリアクションありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです! 7 ダァリヤMOURNING『真夜中のさっぽろいちばん』夜中にお腹空いちゃう傑くん。ちなみに事後です🍜 8 ダァリヤMEMOはじまりの文章はこだわるくせにいつも尻すぼみ ダァリヤMAIKING五夏夢小説(うっかり五夏という真理に触れてしまうモブになる小説)第3弾の予定でした。廉直女学院高等部に五が教育実習に行っていたら面白いな〜と思って書き始めたところで五は無免許と知り敢えなく断念。思い込み強めJDニコイチとか、JDカップルが生涯を誓うのを見て青い春を共に過ごした誰かを思い出す五の予定でした。高専五のわくわくクソガキ→教師五の厄介な大人クソガキ の変遷への解釈がしたかった教育実習 その人は、五条先生と言った。 教育実習の先生がどうやら美男子らしいという噂は、彼がやってくる数日前から学校中の噂になっていた。長身で、スラリとして猫のようにしなやかで、何よりも顔がいいらしい。女の子の噂は驚くほど早く広まる。季節外れの教育実習生を受け入れる私たちのクラスは、他のクラスからの剥き出しの好奇心に晒されていた。 彼についての噂は、数日前に彼が実習前の挨拶に来たはいいものの約束の時間に遅れ、規則に厳しい教頭先生を初対面から激昂させたことに所以する。神経質そうな銀縁の眼鏡から垂れたグラスコードは怒りに揺れ、「教育者たるものっ」と怒った時の癖で語尾を跳ね上げさせながら教頭先生は彼に説教をした。 1562 ダァリヤMOURNING両片思いのセフレの高専五夏。事後。過去作再掲です。去年の7月くらいに書いたSSリアクションありがとうございました!リアクションでメッセージ作るの天才かよ!?と見かけるたび思っていたので自分にもらえて嬉しかったです。形なく縛る「なあ、今日は泊まって行けよ」 私の腰に腕を回し、腹に顔を埋めて悟が甘えた声を出す。言葉と一緒にかかる悟の息は熱い。じんわりと湿った温度を感じながら一言「ダメだよ」と答える。 いつも終わったあとは酷くだるい。さっきまで悟を受け入れていたはずの身体は、急に何かが欠落してしまったようにスカスカした。 どんよりとした倦怠感の中で、私はすでに明日の予定に思いを馳せる。午前中は授業で、午後からは任務だ。そう遠くはないが車を小一時間走らせた先にある、古い洋館に棲みついた呪霊の祓除。確か難易度は高くないが、長らくその場に棲みついており狡猾で地の利を持っているため注意されたし、と渡された資料に書いてあった。 「ケチ」 2918 ダァリヤREHABILI『布団に潜りこむ白くて大きな猫のこと』(五夏)短いけど久々に書きました。同衾は正義。 3 ダァリヤMOURNING『てのひら』(五夏+ミミナナ)同じ愛しい人を持ち、同じ腕の中で寝た私たち。大きくて白い猫の話が前に掲載した『布団に潜り込む白くて大きな猫のこと』です。 8 ダァリヤTRAINING弁当にまつわるお話。お弁当を作る悟。恋心を自覚する悟と自覚したくない傑。悟くんはオタクじゃないのでネーミングに意味を見出している訳ではないです。DKやりがちニコイチアピール【五夏】とじる 家で食べる弁当はいつだってどうしようもなく孤独の味がする。 寮の部屋で食べるのも同じなのだな、と傑は小さく口を開けて米を運び入れた。 久しぶりに風邪をひいた。朝起きて、倦怠感によもやと思い体温計で熱を測ったら、平熱とは言い難い数値が示された。 子どもの時分は熱を出しやすかったが、まさか高校生にもなってまだ熱を出すとは思ってもおらず、完全に油断をしていた。 傑は季節の変わり目によく風邪をひく子どもだった。別に、特段傑の身体が弱い訳ではない。誰しもが心身の不調を訴える時期は否応なく呪霊の発生も増えるせいだ。 小さな頃は怯えていた。怯えるのに疲れて、体調を崩した。力の使い方が分かって、自分は弱い人たちを守るためにこの力を使わなければならないのだと思い始めてからは、目の前に呪霊がうろついていれば、例えそれが蠅頭だろうと野放しにできずに相手をした。 6879 1