【ぶぜさに】十五か月の冬【期間限定Web再録】 序、
ある年の冬、日本の西に広がる大陸の一地域を突然の豪雪が襲った。降り積もる雪により交通網は遮断され、その土地は完全な孤立を迎えることとなる。
だが空には道がない。国境もない。異常気象は、その土地だけに留まりはしなかった。平年ならば降雪など起こらないはずの土地でさえも霙が観測されたのは、間もなくのことだった。
アジア、ヨーロッパそして南北アメリカ大陸へ。厚い雲は麺棒で伸ばされるように地球を覆い、ついには赤道直下までもが太陽を失った。
いつまでも止むことの無い淡い雪。どこまで行っても、太陽を見せることの無い薄墨色の空。地球規模での異常な寒冷化は、人々の暮らしを大きく変えていった。
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