Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    T_ShioSag_N

    @T_ShioSag_N
    気ままに、二次作品書く時ある。(ポケモン)
    別でpixivにもある。そっちはほぼサトセレ。
    本格的に小説書くための別アカあり。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 24

    T_ShioSag_N

    ☆quiet follow

    ホワイトデー、ラクファイ!これまた30分クオリティ〜。誤字ありそうだ…あったら、あとで訂正します。

    『待つ君に贈る』(ラクファイ)

    イッシュ地方、某所ーーー。
    暗がりの中、どさ、と何か倒れる音がする。
    「くっ・・・・・・お前ら、まさか、国際警察、か」
    苦々しげな声が床に転がった方から発せられた。
    どうにかこの場から逃げようとしたが、ひたりと何か後ろの首に当てられた。背筋に寒気が走り、動けなくなる。
    目の前の影が動いた。ぼんやりとしていたが、微妙な光でようやく顔を見た。少年を残した青年だ。
    「なっ!?ガキ!?俺がこんなガ、がっ!!」
    首後ろにあったホタテが悪者の頭を殴った。がく、と気絶するのを見て、フタチマルはホタテを収めた。
    「よくやった、フタチマル」
    国際警察、警視、コードネーム「黒の弐号」。かつてはラクツと呼ばれた少年。手元の機械をいじって、ミッションの完了を告げた。
    (長くかかってしまったな・・・・・・)
    気づけばもう1か月半近くは経っていた。外は春の陽気が漂っている。どこか隙間が空いているのか、花の甘い匂いが流れてくる。
    その匂いを認識した時、ふと、頭の中にお下げ髪のやや膨れっ面した女の子が浮かんだ。
    (あ、考えたら、今年はファイツにバレンタイン渡してないな)
    ラクツはそんなことを思い出す。数年前、彼女と再会し、想いを聞き、やや半ば強引なところもあったが、彼女と恋仲になることとなった。本部にもおそらくバレてはいるだろうが、彼女と共に以前事件を解決していたことと同じ図鑑所有者であることから、黙認されていることはわかっていた。
    日付を確認する。3月13日。なんの因果か、明日はホワイトデーだ。
    (次の任務が入る前に、彼女に渡そう)
    ラクツはそう決めると、その悪者を縛り上げてフタチマルをボールに戻し、あとのことは別の者に任せることにして、その場を去った。

    一方ーーー。イッシュ地方、ポケモンリーグ近く。Nの城。ファイツは、ぷくー、と頬を膨らませて自室で寝転がっていた。そんなに長くはならない、と言っていたのに音沙汰のないラクツに対して、膨れていた。
    彼女の手持ち、ダケちゃんはそんな彼女を呆れたように見ている。
    (遅い、遅すぎる!早く終わるはずって言うから、いろいろ考えてたのに!)
    彼とどんなことして遊ぼうかと計画したのに、全部おじゃんになってしまった。
    ごろごろばっかりしていたが、途中でダケちゃんにいい加減にしろというように顔に、どん、と落ちてこられたので、起き上がった。
    自室を出ようとドアを開けると、通称愛の女神と呼ばれているバーベナが立っていて、鉢合わせになりかけた。
    「あっ!ごめんなさい!」
    「大丈夫よ」
    バーベナも少し驚いた様子だったが、すぐ落ち着いた。彼女の手元に、何か小さい包みがある。ピンクのリボンが可愛らしく結ばれている。
    「バーベナさん、これ、なんですか?」
    「これはあなたの彼からあなたに」
    「えっ!?ラクツくんから!?」
    ファイツは驚いた。慌てて、外に向かおうとしたが、バーベナに止められた。
    「もう次の任務に向かわれたわ。ちょうど私と会った時に入ったらしくてね。その時の彼、すっごく不機嫌だったわよ。ようやくファイツに会えるのに、と言ってましたよ」
    バーベナはクスクスと笑いながら言う。一昔は表情や気持ちを表に出さなかった、冷静沈着で非情なところもあったラクツ。ファイツとの関わりでそれは少しずつ良い方向へと向かっている。素の自分を少しずつだが、心許せる相手にはさらけ出している。
    ファイツはまた任務に行ってしまったラクツに少し寂しいとは思ったが、彼の立場上、動かないといけないこともわかっていた。バーベナから小包を受け取る。結び目にホワイトデーの文字。
    考えてみれば、今日は3月14日、ホワイトデー。昨年はバレンタインデーもホワイトデーもお互い交換し合った。日にちがすっぽ抜けていて、ファイツは今回準備し損ねた。
    やらかしたな、と思いつつ、部屋に戻り包みを開けた。カロス地方で有名なマカロンが入っている。その上に小さい紙が折りたたまれて、入っている。それを広げると、ラクツの筆跡がある。
    『今回はバレンタインデーを忘れていてごめん。今年はホワイトデーのみ。いつも感謝しているよ。愛するファイツへ ラクツ』
    短く淡々としたものだったが、それでもラクツなりの表現・・・・・・。
    (んん!?)
    ファイツはある言葉を凝視した。
    『愛するファイツ』
    この言葉。確かに、トレーナーズスクールでは同じ学期生徒だった女の子たちにも似たことは言っていた。ただそれはそう言う方が関係を楽にできるからだ。だが、これはファイツに向けて、しっかりと想いを伝えている。ファイツだけに書いた言葉。
    (はわ〜〜っ!)
    嬉しさでベッドにうつ伏せになり、手紙に自分の顔を押し付け足をばたつかせた。その後、それがかなりうるさかったのか、ダケちゃんが彼女の頭にドロップしてきたが。

    ラクツは不機嫌ながらも次の任務へ向かっていった。ふと自分が書いた手紙を思い出し、少し自分らしくなかっただろうかと思ってしまう。ただ、彼女を想っていることは間違いない。
    (次はしっかりと言葉にして伝えてみるか)
    そう誓うラクツ。それがまさか彼女をとても喜ばせて、抱きつかれることになるとはこの時の彼は思ってもいない。

    Fin.
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😍🍫🍫
    Let's send reactions!
    Replies from the creator