───────カツン。
綺麗に結われた銀色の髪、しなやかさが映えるドレス、そして紅のヒール。
仮面越しでもすれ違う人々を虜にするのは、何を隠そう潜入捜査として女装したレッカだ。
「おい、潜入のわりに目立ってないか」
「ハッ、バレなきゃいーんだよ」
「……まあいい。目立つ行動はするなよ」
相手役として隣にいたカイと打ち合わせ通り一旦離れたレッカは会場内を歩き、目当ての人物へと近づこうとする。いや、近づこうとした。
「失礼、そこのお嬢様」
「……何か?」
「突然すみません。どうしても貴方とお話がしたくて」
ターゲットまでもう少しという所で邪魔が入る。適当な理由をつけて離れようとしたが、相手の男はしつこく、中々退いてくれない。
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