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    chiocioya18

    @chiocioya18

    20↑ と〜〜っても腐ってます逃げてください
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    chiocioya18

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    雨想。北村20歳飲酒可能設定。
    宅飲みでいちゃつく話です。

    ##雨想
    #雨想
    fleetingThing

    ほろよいメロンソーダ宅飲みの利点は、他人の目を気にしなくていいことだ。酔った勢い、あるいはそれを言い訳にして、雨彦さんとキスするのだって心置きなくできてしまう。もっとも、他人ではない恋人の目はどうしたって気になってしまうけれど。唇を離してすぐ、雨彦さんの目線が僕ではなくテーブルの上へ向かったのを見逃しはしなかった。

    「…なにかー?」
    「ん? 何の味かと思ってな」

    軽く唇を舐めながら雨彦さんが笑う。僕の前にあるチューハイの缶は期間限定のメロンソーダ味。アルコール分は4%しかない。

    「口に合わなかったー?」
    「お前さんの口付けはいつでも美味いさ」
    「またそういうー…」

    糠に釘、暖簾に腕押し、一人相撲。茶化すのは癖らしいけれど、本心なのかふざけているのか、煙に巻くような口ぶりにはいつももどかしい気持ちになる。
    「こっちのはどうだい」と聞かれて、僕もそろりと唇を舐めてみた。わずかに苦い、ような気もする。雨彦さんが飲んでいたのはなんだっけ、とテーブルを覗くとハイボールと書かれたパッケージが見えた。

    「うーん。よくわからないかもー」
    「そうかい。北村はどっちのが好みだ?」
    「まあ、メロンソーダかなー」

    お酒が飲めるようになっても、僕はビールやワインより甘いチューハイを好んで飲んでいる。子供舌かもしれないけど、無理して苦手なものを飲んでも楽しくないし。僕にはハイボールはまだ早いねーと伝えたら、雨彦さんは「ふうん」とにんまり笑った。僕のチューハイ缶をひょいと取り上げて、ひと口煽る。目の前で白い喉仏がこくりと動いて、すぐに缶はテーブルに返された。

    「…さて。これでお前さん好みの味になった」

    自分の唇をトントン指し示して、雨彦さんは意味深な視線を寄越す。待ってますよと言わんばかりだ。
    わざわざ僕からさせようなんていやらしい。呆れ混じりの言葉と一緒に僕もメロンソーダのお酒をひと口飲み下す。

    「…今日は酔っ払ってるから」
    「ほう?」
    「そのお誘い、乗ってあげるよー」

    酔った勢い、あるいはそういう言い訳。心地よい酩酊に身を任せて、雨彦さんの甘い唇を味わった。
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    chiocioya18

    DONEタケ漣冬の収穫祭!でネップリ公開していたバレンタイン話です。たい焼きデート。
    芸能界は常に行事を先取りしている。テレビやラジオは放送日の何ヶ月も前に録ることもざらにあるから、季節の巡りがカレンダーよりも先走っているように感じてしまう。
    バレンタインデーの特番収録をこなしたのが先月のこと。ファンのみんなからのチョコは連日事務所に届いていて、だから今日が二月十四日当日だということも、きっとコイツは忘れているに違いない。レッスンからの帰り道、来るかと訊けばのこのこと家へついてくるのもただの気まぐれなんだろう。
    コイツにとってバレンタインデーは特別な日ではない。それはわかっているけれど、それでも。カバンの中に忍ばせたチョコレートを、渡すタイミングを見計らっている。
    ちゃんと綺麗な箱に入った、コイツのために用意したチョコだ。小さくて量は大して入ってないから、果たしてコイツが喜ぶのかは想像できない。買った直後もここ数日間も、やっぱり渡すのはやめておこうかと何度も何度も思ったが、買う時にどれだけ恥ずかしかったかを振り返ると悔しくて、諦めきれずに持ってきてしまった。そのくせまだ渡せずに持ち歩いているのが情けない。
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    TRAININGお題:「花火」「熱帯夜」「一途」
    ムルたちが花火を楽しむ横で、賢者の未来について語ろうとするブラッドリーとそれを止めるネロのお話です。
    優しいあなた 夏の夜、魔法舎に大きな花火が上がった。俺はそれを偶然厨房の窓から見ていて、相変わらずよくやるものだと、寸胴鍋を洗う手を止めてため息をついた。食堂から歓声が聞こえたから、多分そこにあのきらきらと消えてゆく炎を作った者(きっとムルだ)と賢者や、素直な西と南の魔法使いたちがいるのだろう。
     俺はそんなことを考えて、汗を拭いながらまた洗い物に戻った。魔法をかければ一瞬の出来事なのだが、そうはしたくないのが料理人として出来てしまったルーティーンというものだ。東の国では人間として振る舞っていたから、その癖が抜けないのもある。
     しかし暑い。北の国とも、東の国とも違う中央の暑さは体力を奪い、俺は鍋を洗い終える頃には汗だくになっていた。賢者がいた世界では、これを熱帯夜というのだという。賢者がいた世界に四季があるのは中央の国と一緒だが、涼しい顔をしたあの人は、ニホンよりずっと楽ですよとどこか訳知り顔で俺に告げたのだった。——しかし暑い。賢者がいた世界ではこの暑さは程度が知れているのかもしれないが、北の国生まれの俺には酷だった。夕食どきに汲んできた井戸水もぬるくなっているし、これのどこが楽なんだろう。信じられない。
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