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    yukihina49

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    ぽっかりと穴が空く短い話/ほんのりと夏五

    #夏五
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    朝。着替えていた五条悟は自身の異変に気がついた。
    (なんだこれ)
    心臓の辺りに、そこだけ丸く切り取ったようにぽっかりと穴が空いている。
    (ストレスで胃がやられるとか、そういうやつ……?)
    伊地知の顔が思い浮かんだ。
    ここ最近は上の連中とのやり取りも多かった。それが原因かもしれない。
    (ま、後で硝子に診てもらえばいいや)
    痛みはなかった。心臓は正常に動いているし、穴は空いているがグロテスクな感じではない。
    まだ一人しかいないが、午前中は一年生の授業がある。午後からは任務が数件。教師兼最強の呪術師は今日も今日とて忙しいのだ。
    さて、と五条は何事もなかったように着替えを済ませた。

    (本当になんなんだろうなこれ)
    真夜中。多忙な一日を終えた五条は、自室のベッドに腰掛けながら胸に空いた穴に指を突っ込んでいた。
    そこにあるはずの骨や心臓にぶつかることもなく、指はどんどん呑み込まれていく。
    (硝子でも分からないとなるとね……)
    異常はない。とりあえず様子見。それが家入の回答だった。
    幸い、日常生活に支障はない。
    二年生を含めた生徒達も、これに気づいている様子はなかった。
    (見慣れちゃえば大丈夫でしょ。寝よ寝よ)
    指を引き抜き、五条はベッドに横になった。


    夢を見ていた。
    もう戻れない春の日。暖かな日の光が差し込む教室で親友と呼べる存在と出会った。
    そして、あの冬の日。冷たい静寂の中で親友を手にかけた。
    心に、ぽっかりと穴が空いてしまった。


    忌々しげに目覚まし時計を睨み付ける。
    (あー……そういうことか……)
    気だるげに身体を起こし、五条は服越しに胸の穴をそっと撫でた。
    「寂しんぼはどっちだよ……」
    多分、きっと、この穴が消えることはないのだろうと五条は思った。
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    MAIKING祓本解散一年後から始まる夏五②メイクアップアーティスト・Sの証言、繁華街の居酒屋にて

    珍しーじゃん、アンタが私のこと飲みに誘うなんて。てかアンタ普通にこんなトコいて大丈夫なの?まあこんな時間じゃあ、みんなベロベロの酔っ払いだから、こんなトコに「五条悟」がいても幻覚だって思うかもしれないけどさ。あ、大将、とりあえずビールひとつ、アンタは?メロンフロートってあります?…あ、じゃあメロンソーダとバニラアイスで、何よその顔、ないんだから諦めなさいよ、あとたこわさひとつ、もやしナムルひとつ、だし巻き卵ひとつ、あ、明太チーズの方で、あと牛ハツ刺し、刺身盛り合わせで。で、最近どうなのよ?寝る間もなく仕事三昧みたいだけど。しかもアンタ今度のドラマの主演やるんだって?いっぱしの芸人が、よくもそこまで成り上がったもんね。え?ヒロイン役のアイドル?…あー、そうね、いい噂は聞かないわよ。あの子共演者とかにはいい顔するけどスタッフには当たり強いし性格悪いって。スキャンダル狙われないようにアンタも気をつけたほうがいいわよ。私?私は変わらないわよ。最近は双子モデルについてる。アレよ、禪院の。最近人気出てきた双子。双子なのに性格は真逆だし、妹の 2490

    たんごのあーる

    TRAINING16巻の衝撃にうなされるようにしてひとつ。ショートショート。目が覚めたら、まだ真夜中だった。隣で眠っていたはずの傑がいない。悪夢の続きかと思うと、鼓動が不規則に激しくなり、呼吸が乱れる。
    とりあえずひとつ深呼吸して、周りを見渡す。薄いカーテンの向こうのベランダで、ホタルのように明滅する小さな光を見つけ、慌ててベッドから降りると、引き寄せられるようにその広い背中に縋り付いた。
    「悟?どうした?目、覚めちゃた?」
    肩口に頭を乗せて、うなじから傑の香りを確かめる。くすぐったいよ、と頭を優しく撫でられると、少し落ち着いた。
    「まだ早いよ。どうしたの。」
    「…ヤな夢を見た。」
    「どんなの?」
    「言いたくないくらい、ヤなやつ。」
    5月の月のない夜は、虫の声もせず、ひどく静かでなんだか仄暗い。
    「そっか。でも、夢でよかったよ。」
    そう、傑はポツリと言う。
    「なんで?」
    「夢は『夢』だからさ。良い夢見たときは、いい夢見られてよかった。悪い夢の時は、夢でよかった。現実じゃなくてよかった、ってこと。」
    煙草を消して、携帯灰皿をポケットに仕舞うと、正面から抱きしめられる。Tシャツ越しに伝わる傑の体温が自分より少し低いのに気付いて、なんだか切なくなる。
    「身体、冷えて 573