おにぎりと、ある二人の物語自分にとっては重めの任務でくたくたになって寮に戻った深夜一時。七海は猛烈に腹を空かせていた。もう麓のコンビニまで行く気力などない。しかしこの空腹を抱えて朝まで過ごせるだろうか。明日は座学があるからそれに備えてさっさと風呂を済ませて休みたいのに寝られるだろうか。
ぐぅ……。
悲しげに七海の胃は空っぽであることを主張する。買い置きのカップラーメンは先日灰原との試験勉強の折に消費してしまった。もしかしたら夕飯の残りが食堂に……ある訳ないか。
ぐるぐると考えているうちに気づけば七海は食堂に居た。何もないのはわかっている。それでももしかしたら……。疲れ切った頭はうまく回らないが一縷の望みを掛けて食堂の電気をつける。
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