未練 諏訪さんと別れた。
見えないふりをしていた小さな綻びが、無視できないくらいになって。このままじゃあかんと、俺から切り出した。決して嫌いになったわけやない。諏訪さんもそれに気づいてたから引き下がってきたけれど、俺はガンとして譲らんかった。
このままやとダメんなる、そう思ったから。
振り返ればそれなりに長いこと付き合うてて、俺の部屋には諏訪さんの私物が増えていた。逆もまた然り、諏訪さんの家には俺の私物があって、先週はそれを引き取りに行った。合鍵はまだ持ってたから家主が居ないうちに片付けた。
今日は諏訪さんが俺の部屋に来た。俺が居らん時に勝手に持って帰ってもらいたかったのが本音やけど、諏訪さんは最後だからと言った。
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