よく分からないけど一応薫くんお誕生日おめでとうに部類される小説はぐみ「さあ始まりました第一回、“薫くんにお誕生日プレゼントを渡そう選手権”〜!! 実況の北沢はぐみだよ!」
花音「解説の松原花音です。……あの、はぐみちゃん?」
はぐみ「なぁに、かのちゃん先輩?」
花音「これ、どういう状況なのかな?」
はぐみ「わかんない!!」
花音「だよね……?」
はぐみ「これはね、みーくん選手が本日お誕生日の薫くんに、ちゃんとプレゼントをあげられるかを実況中継するんだよ!」
花音「それでCiRCLEのラウンジの映像を観せられてるんだね……」
はぐみ「そのプレゼントのあげ方を“ハッピー”、“スマイル”、“儚さ”の三つの分野で得点を出すよ!」
花音「その三つ、意味ほぼ同じじゃないかな……?」
◆
はぐみ「今ラウンジには薫くんがいるね!」
花音「すごい沢山プレゼント貰ってるね……。バレンタインが記憶に新しいから既視感あるよね」
はぐみ「あっ、みーくん選手が入場してきたよ!」
花音「ただラウンジに入っただけなんだけどね……?」
はぐみ「あれ、みーくん選手、なんか焦ってる? 動揺してない?」
花音「たぶんラウンジで待ちながら心の準備をしようとしてたのに、既に薫さんが居たからびっくりしたんじゃないかな」
はぐみ「なるほどー、さすがかのちゃん先輩!」
花音「薫さんのことだから、プレゼントくれるファンの人の対応で遅くなると思ってたんだろうね」
はぐみ「ラウンジには二人きり! これはチャンスだよみーくん選手!」
花音「どうかな……? あの動揺っぷりだと渡すのに時間は掛かりそうだけど……」
はぐみ「ほんとだ、もじもじしてるね。そういえば、みーくん選手はプレゼント何にしたんだろ。ハロハピのみんなで渡したのとは別に買ったんでしょ? かのちゃん先輩知ってる?」
花音「うん、美咲ちゃん選手から相談受けたから。一緒に行って、洋服を買ったよ」
はぐみ「へ〜! なんだか、みーくん選手にしては珍しいチョイスだね!」
花音「ほら、……私もだけど、春から大学生でしょ? もう制服じゃなくて無くて私服で行かなきゃいけないから、私服が増えると助かるかもって言ったんだよね」
はぐみ「大学生…………、」
花音「あっ!? ご、ごめんね!? ハロハピはやめないからね!? 泣かないではぐみちゃん!!」
はぐみ「う……ごめんね、つい。今はみーくん選手の実況しなきゃだもんねっ。えーと……まだ渡してはないね。挨拶してる」
花音「薫さんが早く着いてることについて聞いてるね」
はぐみ「でも実際、薫くんなんで今日早いんだろ? はぐみももっと遅く来ると思ってたよ?」
花音「そうだね。でもほら、薫さんと美咲ちゃんって付き合ってるでしょ?」
はぐみ「みーくん選手隠してるつもりだけど、あれバレバレだもんね」
花音「薫さん、美咲ちゃんからプレゼント貰うの楽しみで早く来たんじゃないかな」
はぐみ「なるほど〜! じゃあ早く渡さなきゃ! ……でもみーくん選手、まだ渡さないね……。あの持ってる紙袋って絶対そうだよね?」
花音「そうだね……。薫さんも紙袋に気付いてるからそわそわしてるね」
はぐみ「目線がすんごい紙袋の方だもんね」
花音「で、薫さんがそわそわして紙袋見てるのも、美咲ちゃんなら気付いてると思うんだよね……」
はぐみ「でも渡さないね?」
花音「もうどう言って渡せばいいか分からないんだろうねえ」
はぐみ「もどかしいってこういうことなんだね……! ……あっ、ここでドアが開いて……、こころん! こころんです! こころん選手がラウンジに乱入してきました!」
花音「こころちゃんはこっちサイドじゃないんだね……?」
はぐみ「こころん選手が……? あーーっと、ハグです! お誕生日おめでとーって、こころんが薫くんにハグしてますね!」
花音「美咲ちゃんが呆然としてるね」
はぐみ「そんで……? あっ、プレゼントです! こころんが薫くんにプレゼントを渡しました! 黒服さんが大きい箱を薫くんに渡してます!」
花音「箱を見たら分かる、高いやつだね」
はぐみ「これ、みーくん選手は完璧に先手を打たれちゃったねえ」
花音「いや、寧ろチャンスかもしれないよ」
はぐみ「どういうこと? かのちゃん先輩」
花音「確かにこころちゃんに先手は打たれたけど、この流れなら美咲ちゃん選手も渡しやすいでしょ?」
はぐみ「あっ、そうか! ……ほんとだ!みーくん選手、薫くんに紙袋を差し出しました! やっとだね!」
花音「やっとだねえ」
はぐみ「薫くん、すーーーっごくいい笑顔だね! 嬉しそう!」
花音「あれは“儚い”って思ってるね。美咲ちゃんは顔真っ赤だね」
はぐみ「あ、このタイミングでこころんが退室して……? また二人きりになりましたね!」
花音「たぶんこころちゃんは楽しそうなこと見つけただけで、二人に気を遣ったとかは無いんだろうね……」
はぐみ「ここで薫くんがみーくん選手に耳打ちして……? あっ、この後薫くんちの夕飯に招待されたみたいだよ!」
花音「薫さんの家族に混じってお祝いしてケーキ食べるんだね……。これ家族公認なのかな?」
はぐみ「まあ何はともあれ、無事に渡せて喜んでもらえてよかったね、解説のかのちゃん先輩!」
花音「そうだね、実況のはぐみちゃん」
はぐみ「ではこれで第一回、“薫くんにお誕生日プレゼント以下略”はおしまいだよ! また来年〜! ばいば〜〜い!!」
花音「……得点は?」