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    eats_an_apple

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    eats_an_apple

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    MMMディルフィンの体格差の話。
    思ったより5倍イチャつきました…許せ……
    ※ふわっと感じることを推奨

    #でぃるふぃん
    imGoingToSpoilIt

    「単刀直入に言おう、ディルムッド!この部屋に隠しているものを見せなさい!」

    すこぶる真面目な表情で、当然自分は確固たる真実を見抜いたのだとでも言いたげに、まるで事件の真相にたどり着いた探偵よろしくフィンが突き付けた言葉に、ディルムッドは口を間抜けに開いたまま短く息を漏らした。

    ちなみにディルムッドはちょうどシャワーを浴び終えて浴室から出てきたところで、数十分前に同じことをしたフィンは今はディルムッドが貸した服を身に纏っている。
    その姿になんとも嬉しいような恥ずかしいような、控えめに言ってもいくつかの感情が混ざり合いよくわからないものになって湧き上がってくるのを押さえつけながら、ディルムッドはフィンがハーフパンツのウエストあたりを不自然に摘んでいることに気がついた。

    「それから恥を忍んで要求するのだが……もう少しゴムのきついズボンはないのだろうか!?」

    気恥ずかしさを隠すような強い声の理由をディルムッドはすぐに察することができず、やはりぽかんとした顔のまま数秒フィンと見つめ合ってしまった。

    ことの発端は数日前に遡る。


    春。
    誰も彼もが浮かれるその季節には構内のメインストリートがサークルや部活の勧誘テントで賑わう。その喧騒の中をフィンとディルムッドは仲良く並んで歩いていた。

    「健康診断なぁ、おまえに言われなければ気づきもせずにすっぽかしていただろうな」
    「時間帯も限られているので面倒臭がって行かない人も多いですが、暇があるなら受けておいて損はないので…」
    「ははは、このしっかり者め!おまえのような友がいるのは実にありがたいな、こうまで誘われたら行かないわけにはいくまい」

    二人が目指しているのはメインストリートを抜けた先の学生会館だ。どうせ空きコマで暇をしているからと、年に一度学校で受けることができる健康診断に連れ立って向かっているところだった。

    「子どもの頃はどれくらい身長が伸びたか知りたくて毎年ワクワクしていたものだ」
    「そうですね、今となってはもう身長なんて変わらないですし、成長の確認ではなく不調の確認が目的なのでしょうが」

    そうこうしているうちに二人は目的地にたどり着く。ディルムッドが建物に入る前に再度携帯で会場と時間を確認する間、フィンは自分の頬を手のひらでぺちぺちと触っていた。

    「そう言われると年老いたようでいやだなあ、まだまだピッチピチの若者なのだが…」
    「若いといっても万が一があれば早期発見に越したことはないですよ」

    しょんぼりと落ち込むような素振りを見せるフィンにディルムッドは液晶画面から顔を上げてフォローする。それを聞くとフィンは横に立つディルムッドに顔を向けるとにっこりと笑った。

    「わかっているよ。おまえは真面目だと感心していただけだ、さあ行こう」


    中に入ると会場は各検査ごとにブースになっていて、空いているところから各自で進んでいいように設営されていた。当然のように一緒に入ってきたフィンとディルムッドは、特に山も落ちもない雑談を続けながら同じ検査の列に並び、それが終わると次の列も同じ場所を選んで進むということを繰り返していた。

    最初が問診、次に視力検査、聴力検査といったように慣れた検査を特に問題もなく通過し、記入票を持ちながら身長と体重の検査が終わった頃フィンがディルムッドの手元を覗き込んだ。

    「身長!ディルムッドは何センチだ!?私は去年より1センチ伸びたぞ!」
    「184ですね。俺は特に変わらず…まあ、実は一昨年も去年も伸びていないのでわかっていたことではありましたが……ん?フィン?」

    そう言ったディルムッドが視線を手元に落とすと、その記入票を遠慮なく覗き込んでいたフィンは口を薄く開いて絶句していた。

    「フィン…?具合でも悪いのですか…?」

    突然フリーズしたフィンの肩を揺さぶっていると、並んでいた検査項目の担当医から声がかかる。それで固まっていたフィンもそんなフィンに気を取られていたディルムッドも思わず背筋を伸ばして返事をし、前へ足を進めたのだった。
    実はその時にはフィンの手は自分の記入票を裏返して不自然なほどにぴったりと腹に押さえつけていたが、ディルムッドはそれに気がつかなかった。

    そうして最後の検査が終わり、記入票が回収されてからようやく肩の力を抜いたフィンは「184」の隣に並んでいた数字をもう一度頭に浮かべていた。

    (85…、はちじゅうご……!?)

    隣に立つディルムッドをそっと盗み見る。だいぶ着痩せして見えるが、確かにディルムッドの体は大きかった。
    さらにフィンは昨夏の海辺でのディルムッドの水着姿を懸命に思い出そうとする。ぼやぼやと細波のように揺れる脳内の映像が目の前の男の姿と合わさって像を結ぶと、なるほど健康的で筋骨隆々の体が簡単に想起された。

    「フィン、大丈夫ですか?さっきから上の空ですが」

    ディルムッドに視線を向けられたことで我に返るフィンだったが、やはり頭の中では二桁の数字を振り払うことができなかった。
    なにしろ何年も連れ合っている友だというのに、その体の大きさを意識したことなど初めてだったのだ。自分の体重とディルムッドのそれと、低学年の小学生でもできる簡単な引き算をしようとして考えるのをやめた。


    なんとなく裏切られたような惨めな気持ちになったフィンは、その体の謎、もっと明確に言えば自分の体との決定的な違いを探るべく一人心を決めていた。
    手始めに、健康診断を終えた足で向かった食堂でディルムッドと向かい合って座ったフィンは尋ねた。

    「ディルムッド、時に…ケルサーとは別のサークルや部活に入っていたりするか?」

    まず探りを入れたのはディルムッドの運動習慣について。
    ディルムッドの体格は明らかにイベサーで遊んでいるだけの人間のそれではない。何か、肉体言語で語りあいマ〜ス!的なスポーツを嗜んでいるといわれてもなんら疑問はないほどの代物だ。
    なるべく「私の知らないところで何をしているんだ」という感じの粘着質な男だと思われないように心がけたつもりだったが、学校ではほぼフィンと共に行動しているディルムッドにとってはおかしな質問に聞こえたことだろう。

    「は…?いえ、ケルサー以外は知っての通り入っていません、所属という体だけとっているところも特にありませんが…?」

    大盛りのカレーライスをスプーンに掬って頬張りながらディルムッドはフィンを上目をつかって見つめた。普段フィンより少し身長の高いディルムッドからは珍しい視線のよこし方に、フィンは思わずぐっと息を詰まらせる。
    なんとなく居心地が悪くなったフィンはディルムッドから目を逸らしたが、その先にあったカレー皿を目にした次の瞬間、思わず心の声を口に出していた。

    「は?多…いや、いくらなんでも多いだろうなんだそれ、何盛りだ?」
    「特メガ盛りです。大盛り以降は値段が変わらない親切設計なんです、フェルグス殿はさすがですね」

    もごもごと口を動かしているディルムッドの言葉を聞き、呆れたような気分でフィンは自分の手元を見る。ラーメンと半チャーハンという鮮やかな炭水化物コンボメニューだが、その他のメニューの分量と比較すれば普通盛りプラスアルファ程度の部類に入るだろうか。考えながら手で顎を摘んだ。

    「……ふむ、まずは摂取カロリー、か」
    「フィン、食欲がないのですか?チャーハンくらいなら俺が代わりに食べますよ?」

    まだ食べるのか、という言葉をすんでのところで飲み込むと、フィンはその食べっぷりに可愛がっている実家の大型犬を思い出して微笑んだ。
    実は朝食をとった時間がやや遅かったせいで目の前の料理を食べ切るのは骨が折れるだろうと薄々思っていたこともあり、乗せられたカレーがどんどん消えていく魔法の皿の横にチャーハンを差し出した。

    「お食べ…それから後で食後のスイーツを買いに行かないか?この前食べたものが美味しかったからおまえにもすすめたい気分なんだ」
    「いいですね、フィンがそういうなら間違いないのでしょう…!」

    カレーの上に乗っていた豚カツの残りの二切れほどを胃に収めたディルムッドは最後に一気にグラスの水を飲むと丁寧に手を合わせた。キャベツのサラダが盛られていた皿もトレーの上にしっかり収まるようにカレー皿と重ねたディルムッドを見て、フィンも慌てて残りの麺をかき込んだ。



    ***



    そして健康診断から一週間ほど経ったその日、フィンはそうディルムッドに切り出していた。

    「というわけで今日はおまえの家での宅飲みを所望する。よければそのまま泊まらせてほしい。」
    「構いませんが…もてなしはあまり期待しないでくださいね」

    何もない部屋なので、とディルムッドが溢した言葉にフィンはニタリと笑った。
    例の日からほぼ毎日のようにディルムッドと昼食を共にしたフィンは、多少のムラはあるが基本的に大食い、というディルムッドの生態をようやく把握していた。その「ムラ」のため、そしてケルサーの飲み会や合コンなどでは遠慮しているのか普通の食事量に見えたこと、さらにフィン自身の関心の薄さが重なって今までそれを意識することがなかったのだ。
    食べる量がそのまま体の質量に繋がっているとすれば、確かにディルムッドの体重がフィンよりもかなり重くても納得がいった。

    当然フィンが突き当たった次なる問題は、どうやってその消費量を逞しい筋肉に変えているかということだ。ただ食べた分を体に溜め込むだけではどこぞの魔術専攻学科の学生の愛豚に、ということになりかねない。
    こちらもフィンの「粘着男だと思われない」ための線引き上での調査から、ディルムッドに日常的な運動習慣があるにはあるらしいことは分かったが、その詳細はまだ明らかになっていなかった。

    そこで自ずと今回の作戦が決まったというわけだ。
    まずは宅飲みと称してディルムッドの家へ潜り込む。きっと部屋の中にはあんな筋トレグッズやこんな筋トレ器具が所狭しと並んでいるのだろう。それらを確認、さらに泊まり込みという駄目押しで未知のディルムッドの生態を解き明かす、そういう算段だ。
    何がそうさせるのか、フィンはとにかく必死だったしもうなりふり構ってはいられなかった。


    そういう思惑と経緯があり、フィンはディルムッドと近所の定食屋で夕飯を済ませ、コンビニで酒の用意をしてから目当ての部屋へまんまと入り込んでいた。結局はディルムッドが浴室へ消えた後、客人がやっていいぎりぎりの範囲外で部屋を物色したが特に何も証拠が見つけられなかったという誤算のために、フィンはシャワーを浴びて出てきたディルムッドに詰め寄るという結果になったのだが。
    一方で当のディルムッドは本当に最初から、フィンがディルムッドの体重を知ってショックを受けたところからそもそもの問題を共有していない。
    何を言われているのかわからないという顔と何を言われているかくらいわかれという顔、とりあえず硬直状態になった二人は、冷蔵庫に冷やしてあった酒の缶や瓶を小さなテーブルに並べたのだった。


    ***


    フィンは手に取ったアルミ缶を煽って二本目のそれが空になったことを確認すると、テーブルに勢いよく置いた。ちなみにハーフパンツはウエスト部に紐が通してあるタイプのものに履き替えている。

    「だからおまえは、隠しているのだと思ってね…部屋の中に見当たらないから…」
    「なるほど、そういう…」

    ディルムッドが苦笑した。そしてフィンがちょうど少しの遠慮を発揮して覗かなかったベッドの下の引き出しを開いて手を突っ込んだ。

    「もちろんありますよ。狭いですし基本的に家ではそこまで負荷をかけないので簡単なものですが…」

    そう言ってディルムッドが見せたのは重さの違うダンベル2セットとハンドグリップ、トレーニングチューブと巻いたヨガマットなど。いくつか取り出して陳列されたそれらを手に取ってフィンは尋ねた。

    「家では……?」
    「週末はジムに通っています。そうだ、フィンも来ますか?なかなか良いですよ」
    「ジム…いや、私は……ううん、やはり行こうかな、そういうのは初めてでも大丈夫なのだろうか?」
    「はい、俺が案内します」

    フィンは手に取ったハンドグリップをほとんど握り込めないことに顔をしかめながら言った。掘れば掘るだけ出てきそうな新事実に半ば満腹になりながら、ディルムッドの屈強な二の腕を見遣り肩を竦める。

    「私もそれなりに鍛えているつもりなのだが…」

    片手でシャツを捲り上げるとフィンはもう片方の手で白い腹を軽く叩く。
    ディルムッドほどではないだろうがくっきり割れた線の上を指でなぞっていると、ディルムッドの手が捲り上げた服の裾をそっと掴んでフィンの腹を元どおりに隠した。

    「素晴らしい鍛え方だと思います。…全体的にやや細めですが、……まあ、……細め、ですが………」

    フィンの服に手をかけた流れでその腰に両手を添えたディルムッドは、確認するように上下に軽く手を滑らせると徐々に言葉を失くしていった。

    「なんだ!貧相だと思ったならそう言え!仕方ないじゃないか、一週間おまえを見習って食べる量を増やしてみたが一向に体重が増えないんだ!増量がこんなに難しいとは…!」
    「いえ、そんなことは…それに体重も減っていないのなら問題ないと思います。…これ以上細くなるのは少し心配なので食事の量は増やしてもいいかと思いますが」
    「どうして!私はこのくらいパツパツのムキムキになると決めたんだ、そうやって甘やかして邪魔をするんじゃない!」

    そう言ってフィンはディルムッドのはちきれんばかりの二の腕を両手で掴んだ。
    なぜかいきなり肉体改造に目覚めたらしいフィンの、ボディビルダーのように鍛え上げられた姿を脳内に思い浮かべようとしてディルムッドは頭を振る。今のモデルのようにすらりとした細身がフィンには似合っていると思った。

    「そんなにむきにならなくても…!一体どうしたんです!?」
    「ムキムキだけにな!だって私ばっかりモテないのはそういうことだろう!?」
    「モテ…?え…?」
    「思えばいつもそうだ、私が声をかけた女性たちは何故かみんなおまえ目当て!その答えを既に親指を嗜んだ私は知っている…そう、筋肉というわけだ!」

    爽やかな淀みのない笑顔で自慢げに宣言するその様子は大変微笑ましく思われたが、ディルムッドはその勢いに負けてもう微妙な相槌を打つこと以外できなかった。ディルムッドがフィンの一方的な持論に置いていかれる中、フィンはもはや自分に語りかけるように喋り続ける。

    「おまえと私の体格差を自覚した瞬間に昨夏のビーチでフラれた時の言葉をふと思い出した。どうしてもあなたの隣に立ちたいと思えない、と……私は察したよ、あれは私が貧相だから彼女に相応しくなかったということだろう」
    「…フィン」
    「もしかすると乙女心としては自分より痩せた男に隣に並ばれたくないという羞恥心があったのかもしれない……なんということだろうか、私は!淑女への配慮が足りなかったのだ…!」
    「フィン、あの…」
    「彼女たちに恥をかかせないためにも…どうした、ディルムッド?」

    ようやく言葉を止めたフィンが顔を上げる。
    ディルムッドはフィンのあどけない表情と、話を聞くごとに湧き上がってくる思いで胸がいっぱいになっていた。そして思わずフィンの細身ながらも鍛えられた肩や腕に軽く触れ、背中に腕を回した。ちなみにディルムッドが今までに空にした缶はフィンよりも一本多かった。

    「あなたは今のままがいいと思います。俺は好きです。」
    「………ん、そうだろうか?…ふふ、おまえの好みに寄せてもおまえにモテるだけではないか…ふふふ」
    「モテなくていいんです…あなたの魅力がわからない人になんて…」
    「言うじゃないか、私の目の前で女性たちの視線を根こそぎ掻っ攫っていくくせに」

    縋り付くようにそっと抱きしめられたフィンはそんな憎まれ口をききながらも、その笑い声は砂糖菓子のようにほろほろと柔らかく甘かった。
    背に腕を絡め返すとディルムッドの肩に無遠慮にもたれ、その首筋に額をすり寄せたかと思うと顔を上げてフィンは鼻頭でディルムッドの頬にキスをする。何を隠そう、こういう時のディルムッドはフィンにとって耐え難いほどに可愛らしく感じられるのだ。

    頰と頰で触れあって回した腕の力を少し強める。
    戯れはとどまることを知らず勢いを増していった。
    額を寄せ見つめ合いながらの睦言は次第に唇で顔をくすぐり合う愛撫に変わり、熱と酔いに溶けた瞳が絡み合う頃には湿った吐息を互いに奪い合っていた。
    どちらからともなく抱き寄せた体が倒れる。ディルムッドの上に乗り上げるように横たわったフィンの足がテーブルを蹴った。

    そしてその拍子に空のウイスキーボトルがテーブルの端から床に落下した鈍い音も、二人を止めるには至らなかった。




    翌朝、上質な枕、もといディルムッドの胸の上に頭を預けた状態で目を覚ましたフィンはしばらく寝ぼけ眼で微睡んでいたが、突然目を見開くと弾かれるようにディルムッドの体の傍に両手をついて上体を起こした。跨いだ体を見下ろせば同じように青ざめて目を丸くするディルムッドと見つめ合う。

    「………ええっと、何か覚えているか…?」
    「何かというと、どこまでというか…その……」
    「よし、ABCのどこまで行ったかせーので言うぞ」
    「え、いや、待ってください…ええと…すみません…」

    青かったディルムッドの顔がみるみる赤くなっていく。その変化を他人事のように眺めながらも、フィンはフィンで耳に熱がこもってしようがなかった。

    「………A以上」
    「……C、未満…ですかね…」
    「うん……すまない……」
    「いえ、こちらこそ……」

    どうしようもないほどぎこちない雰囲気のまま昨夜晩酌をしたままの状態で散らかった部屋を片した後、ディルムッドは「外を走ってきます」と逃げ去り、フィンは一人残った部屋の中で膝を抱えた。

    後日、「今まで深酒はしてもこんなことはなかった、自分は実は酒癖が悪かったのか」と二人して同じ内容をサークルの同期に打ち明けたところ、「その気があるからそうなるんだろうが」とか「早くくっついちゃいなさいよ面倒くさい」などと一蹴され、しばらくはますますぎこちない雰囲気が漂ったとか。

    互いにもう一度心を決めて触れ合うことになるのはもう少し先の話。
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    eats_an_apple

    TRAININGお題は「記憶」です
    軽率にご都合記憶喪失ネタ。薄味。
    「……すみません、とんと記憶がなくて」

    そう言われた二人の表情は各々だった。
    まるであり得ないとでも言いたげに、しかし言葉を忘れたようにぱかんと口を開いたフィン。太い眉を顰めて精悍な顔立ちに疑念の表情を滲ませるディルムッド。
    そしてそんな二人を見て申し訳なさそうに眉を下げるディルムッドがもう一人。一見混乱を余儀無くされるこの絵はカルデアでは至って日常のものだったが、一つだけ常と違うものがこの片方のディルムッドの言葉だった。

    「…………記憶が、ない……?私の?」

    次に独り言のように口を開いたのは意外にも、他のすべての感情が抜け落ちたように驚愕の表情を浮かべていたフィンだった。

    「俺のこともわからないというのか?」

    続いて双剣の戦士の方のディルムッドが尋ねる。

    「その姿を見るに、何らかの形で現界している別の俺であろうことはわかる…しかしその経緯もおまえとの今までのやりとりも……すまない……」
    「そうか……」

    納得したかのように頷いたセイバーのディルムッドは眉間に寄せていたしわを伸ばし、隣に立ち尽くしたままふるふると震える男を見た。その視線をランサーのディルムッドも追って恐る恐 9754

    eats_an_apple

    TRAINING「飽きる」からの連想
    ディルフィン未満のフィオナ主従
    愛の多い人だと思った。
    それ故に、多くに飽くのではないかと思っていた。


    「これはこれは、北斎殿。今日はお父君と一緒ではないのですか?」
    「おう旦那。とと様は留守番だよ、締め切りが近いんでな。本当はおれもこんな場所にいる場合じゃねぇんだが腹が減ってはなんとやら、えみやの兄さんに片手間に食べられるものをいただこうと思ってんだ」

    そう言うと画工の英霊は片手の指を窄めて何かを描くように手で空をかく。その手振りを見てフィンは頷いた。

    「そういうことでしたか。貴女のことは前々からお茶にお誘いしたいと思っていたのだが、それではまたの機会にぜひ。」
    「へえ、あんたほどの別嬪に誘われちゃあ、そりゃ断るわけにはいかねえよ。こんなときでなければあんたをもでるにこのまま一筆描かせてほしいところなんだけどなァ…」

    悔しそうに唇を噛む彼女にフィンはからからと笑う。それはそれは楽しそうなその様子は側から見ている分には微笑ましい。応為はそのままひらひらと手を振りながら遠ざかり、フィンはランチの注文を待つ列に舞い戻る。

    「我が王、彼女はついこの間召喚された日本の方ですよね?いつの間に親しく?」
    「あぁ、大し 6655

    eats_an_apple

    TRAININGほんのちょっとだけ背後注意(??)なシーンがあります。
    なんでもいい人向け。
    「王よ…その、装備の…ええと、胸当ては…着けないのですか…?」

    部下からの奇妙で唐突な質問にフィンは首を傾げる。
    質問者のディルムッドはというと、非常に言いにくそうにあからさまにフィンから視線を逸らしているので見つめ返しても目は合わない。彼が何を考えているのかフィンには図り兼ねた。

    「…?もちろん戦闘時の霊衣を変更するにはマスターに申し入れるのが作法だと知らないこともなかろう、今すぐには着けられないな。なぜそんなことを聞く?」

    素材集めと戦闘訓練のための招集命令に応じていた2人はちょうど管制室に向かう途中だった。ディルムッドはその正論に一瞬言葉を詰まらせたが、ぐっと息を飲み込んでから食い下がった。

    「今すぐに、ということではありません。普段からその装備でいるのはなぜかと…」
    「む…私の言葉を聞いていたか?質問に質問で返すんじゃない。」

    おちょくっているのか、とフィンが顔を顰めるとディルムッドは途端に表情をぱっと困ったようなそれに変え、とんでもありませんと弁明する。普段通りのやりとりを一通り済ませた後、フィンは目を伏せて部下の妙な観点にため息をついた。

    「なぜもなにも。マスタ 9915

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    「…………記憶が、ない……?私の?」

    次に独り言のように口を開いたのは意外にも、他のすべての感情が抜け落ちたように驚愕の表情を浮かべていたフィンだった。

    「俺のこともわからないというのか?」

    続いて双剣の戦士の方のディルムッドが尋ねる。

    「その姿を見るに、何らかの形で現界している別の俺であろうことはわかる…しかしその経緯もおまえとの今までのやりとりも……すまない……」
    「そうか……」

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    「王よ…その、装備の…ええと、胸当ては…着けないのですか…?」

    部下からの奇妙で唐突な質問にフィンは首を傾げる。
    質問者のディルムッドはというと、非常に言いにくそうにあからさまにフィンから視線を逸らしているので見つめ返しても目は合わない。彼が何を考えているのかフィンには図り兼ねた。

    「…?もちろん戦闘時の霊衣を変更するにはマスターに申し入れるのが作法だと知らないこともなかろう、今すぐには着けられないな。なぜそんなことを聞く?」

    素材集めと戦闘訓練のための招集命令に応じていた2人はちょうど管制室に向かう途中だった。ディルムッドはその正論に一瞬言葉を詰まらせたが、ぐっと息を飲み込んでから食い下がった。

    「今すぐに、ということではありません。普段からその装備でいるのはなぜかと…」
    「む…私の言葉を聞いていたか?質問に質問で返すんじゃない。」

    おちょくっているのか、とフィンが顔を顰めるとディルムッドは途端に表情をぱっと困ったようなそれに変え、とんでもありませんと弁明する。普段通りのやりとりを一通り済ませた後、フィンは目を伏せて部下の妙な観点にため息をついた。

    「なぜもなにも。マスタ 9915