槍を持つ英霊が二騎、後方で焦りを滲ませた目を険しく歪めながらも真っ直ぐに前を見据えながら立つ人間が一人。つい一瞬前までまだその場に立っていたサーヴァントが強制帰還した感覚に、全員に緊張が走る。
「あれが厄介だな、どう思うディルムッド」
「まだ余力があるように思います。攻撃は効いてはいますが、ただ突きを繰り返すだけではこちらが消耗する一方かと」
目の前にはまだ力を持て余したエネミーが行く手を塞いでいる。兵士のような姿形をしたものが数体、進もうにも引こうにも切りかかってくるそれらに対処しなければならなかった。
そして二人が視線をやる先には一際異様な目玉のような形をした敵性体が浮かんでいる。数いる兵士と異なり、それは少しばかりダメージを加えた程度では動きを鈍らせさえしなかった。
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