愛してるゲームするディルフィン「ディルムッド」
朗らかな声が呼ぶ。
名を呼ばれた騎士はすぐに短く返事をし、自らが主と仰ぐ美しい男を見つめた。
とある普段通りの午後のこと。
管制室でその日の解散を言い渡された英霊たちは各々の目的の方向に散り、フィンとディルムッドの主従もそれに少し遅れて管制室とつながる一番大きな通路へと足を進めていた。
その途中、フィンは急に立ち止まって振り返るとすぐ斜め後ろについていた部下の名を呼んだ。特に何を思うでもなく、ごく当たり前のようにディルムッドはその呼びかけに応える。
旺盛な好奇心を抑えるつもりもないらしいフィンが、こうして側にいる者を呼びとめる理由など思いつく限りでも幾つもあった。胸の底が湧き立つ心地のするその豊かな表情や声を今日もまたささやかに、かつ呑気に期待していたディルムッドは、しっかり目線を絡ませてきたフィンが妙に勿体ぶって放った言葉にぴしりと動きを止めることになった。
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