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    シアン

    @siansian1079

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    シアン

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    ノルリオのつもりで書いてるけどもうリオノルどっちでもいいんじゃねえかってなってきた
    ちっさいリオンがノールに魔道を教えてもらっていた過去があったらいいなと日々思っている。
    まだ続く。

    頼まれごと頼まれごと

    「・・・皇子に対して魔道の指導を引き受けて下さいますか?」

    「・・・わかりました。」

    それなりに歳を重ねている身分のある修道女がわざわざこうして自分を訪れたので簡単に断るわけにもいかなかった。あまり闇魔道士と神職の方々との間に溝を深めるのも良いことでもないし、すでに三人ほど断られているのを前もって知っていた。正直なところ自分も断りたかったが性格的に少し押し切られると弱い。きっと自分のところに来る前に断った三人の自分と同じ魔道士は自分が断らないのを知った上で断ったのではないかとさえ思う。確証はないが直感的にそれは勘づいた。



     数日を跨いでまた彼女がやって来て皇子のもとに案内してもらう事になった。修道士二人がすれ違い様になんとなく冷たい視線を浴びたような気がした。しかしそんなことを気にしているとキリが無いので仕事に集中した方が良さそうだ。
     そういえばグラド城に来てだいぶ経つ。その間に陛下には数度謁見したことがあったが一度もこの国の皇子に会ったことはなかった。噂によるとあまり体が強くなく部屋に篭っていることが多いのだという。この修道女に皇子の体が芳しくない時はすぐに人を呼ぶようにきつく言われているのでどうやら噂は本当だったようだ。
     相手が相手だけに失礼が無いようにはと思いつつ、根本的に自分に人の教育が務まるかという心配の方が大きくなってきた。
     今からでも遅くはない、丁重にお断りにして辞退した方が良いのではという不安が頭の中を蠢いていた。
    「この部屋でお待ちしております。・・・失礼します、皇子」
    修道女がとある部屋の扉を軽く叩いたあとに扉を開けた。修道女が部屋に入るように促されて部屋に入ると部屋の中で一人、まだあどけなさが残る少年が手に本を抱えて椅子に静かに座っているのがすぐ目についた。
    「少し遅れました、すみませんでした」
    修道女が深々と頭を下げて謝った。それを横で見て、この国の皇子なのだとはっきりと現実を帯びてきた。
    「本を読んで待っていたから大丈夫です。それにこのことはぼくが頼んだことなので、あの色々ありがとうございます・・・そちらの方ですか?」

    修道女に向けられていた視線がこちらに向けられた。子供ながら穏やかな話しぶりにこちらが改まった気持ちになった。

    「名前を聞いてもいい?」

    皇子に催促されてようやく気づいた。

    「あ、はい。私はノールと申します。先に名前を名乗らず無礼をお許し下さい」

    「ぼくはリオン。一応この国の皇子だけど、そんなに堅苦しくしなくても大丈夫だから」

     数度だけ謁見したことがある陛下と同じ紫色の癖がある髪や顔の輪郭もどことなく似ていて親子なのだと思うが、目の前にいる皇子は父親にはある威厳さは感じられない。幼いのもあるだろうが少し年頃にしては大人しすぎるかもしれない。

    「では私めはこのあたりで退散したいと思います。何かありましたら遠慮なくお呼びください」

    そう言って部屋から出ていった。

    出ていったのを見届けるとリオンがノールに近寄ってきて話しかけてきた。

    「あの人から何か言われなかった?」

    「え?」

    「・・・特にないならいいんだけど。ねえ、ずっと独学で勉強してたから教えてもらいたいことが沢山あるんだ。聞いてもいいかな」

    そういってずっと手に持っていた本のページを開いて見せてきた。

    「私もまだまだ浅学の身なので答えられるものでしたら・・・ずいぶん難しい本を読んでいますね」

     リオンが見せたページを読んでみる。そして書籍の表題を見せてもらうともうだいぶ勉強した人間が読むような内容であることに驚いた。

    「・・・少し伺ってもよろしいでしょうか?」

    「はい!」

    知的好奇心に満ちた目はノールにとって眩しいくらいだった。

    「あなたの教えてもらいたいという内容についてすぐに答えられますが、一応教えるという名目があるので差し支えなければどれくらい勉強しているのか把握しておきたいのですが」

    「えっと・・・具体的にどういうことを教えればいいのかな。なんでも答えるけど」

    「あぁすみません。回りくどい言い方でした。えっとそうですね、例えば・・・」

    そう言って四冊ほどの本のタイトルを例を挙げた。リオンはその挙げた本の一冊だけは読んでいないどころか書名すら知らないようだった。

    「そんな本があるの?」
    リオンは目を丸くして驚いた。

    「後日私が持っているものでよければお貸しします。それをご覧になれば私が説明せずとも理解できると思います」

    「・・・まだまだ勉強不足だな、ぼくは」

    「とんでもございません!むしろよく勉強していてこちらの方が驚いています。私もうかうかしているとあなたに越されそうです・・・」

    「そうなの?一人でずっと勉強してたからよくわからないけど。ひょっとしたら魔道はぼくには向いてるのかな」

    「努力も大切ですが魔道は向き不向きがありますから。少なくとも私から見て向いていると思いますよ」

    「先生が言うならもっと頑張ってみようかな・・・」

    「そんな先生と呼ばれるような人間ではありません。ノールでいいです」

    「そう、これからよろしくねノール」

    リオンに無邪気に尊敬の眼差しを向けられた手前、『これから』と言う彼の言葉通りにノールはもうこの仕事を続けるしかないなと諦めることにした。
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