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    なりひさ

    @Narihisa99

    二次創作の小説倉庫

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    なりひさ

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    モブマト

    お召し物が!! マトリフは大欠伸をしながら脇腹を掻いた。治りかけの傷口が痒くて仕方がない。寝台の上で持て余す時間のせいで自堕落に拍車がかかっていた。
    「大魔道士様」
     控えめなノックの音と共に呼びかけられる。いつも身の回りの世話をしている神官だろうと、マトリフは間延びした返事をした。
     すると入ってきたのは見慣れない神官だった。背が高く眼鏡をかけている。生真面目そうな表情で、部屋に入った途端に直角にお辞儀をした。
    「包帯の交換に参りました」
     おそらく新しく入った神官なのだろう。緊張しているらしい。
    「おう。頼むわ」
     マトリフは寝台で起き上がれない期間が長かったせいで、包帯の交換のために身体のあちこちを見られることに慣れていた。どうせなら美人の姉ちゃんにやって貰いたかったが、実際は揃いも揃って冗談も通じないむさ苦しい男ばかりだった。この神官もきっと同じだろう。
     すると神官がようやく顔を上げてこちらを見た。
    「っ!! 大魔道士様」
     すると神官は途端に慌てたように顔を逸らせた。まるで見てはいけないものを見てしまったように。マトリフはまだ服を脱いでもいなかった。
    「お、お召し物がはだけています!」
     見れば襟元が緩んでいた。さっき脇腹を掻いたときに懐に手を入れたせいで緩んだのだろう。だが、これから服を脱いで包帯を替えるのだから、緩んでいようが関係ないように思える。
    「包帯を替えるんだろ?」
     マトリフは言いながら帯を緩めた。すると神官は手のひらで顔を押さえてしまう。
    「そ、そうなのですが!! 見ては失礼かと!!」
    「別に構わねえよ。もう慣れた」
    「慣れた……他の者に裸を見せておいでですか!?」
    「なんだよ、いちいち煩えな」
    「それはあまりにも不敬です! 大魔道士様のは……裸を見るなんて!!」
     そこまで過剰反応するお前のほうが不敬だよ、とマトリフは言いそうになる。すると神官は決意したようにマトリフの方を向いた。目はぎゅっと閉じている。
    「目を!! 目を瞑って替えます!!」
    「そんな器用なこと出来るのかよ」
     別に見られたいわけではないが、そこまでして「見てはいけないもの」扱いされると自分の裸体が猥褻物のような気がしてくる。そりゃ全裸で街一周したら止められもするが、包帯の交換で脱ぐくらいでそこまでしなくてもよかろう。
    「さ、触ってよろしいですか!?」
     手を前に出しながらジリジリと近づいてくる神官にマトリフは背筋が寒くなる。なんか雰囲気がいやらしいのだ。マトリフは逃げるように寝台の上を後退った。
    「待て。こっち来るな」
     マトリフは寝台から飛び降りて神官を回避するとそのまま部屋から逃げ出した。


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    kisaragi_hotaru

    DONE無自覚のままであろうとした両片想いガンマトが自覚させられるお話。欠損描写がありますが最終的には治りますけれど苦手な方はご注意くださいませ。謎時空なので深く突っ込んではいけない系です。魔王は祈りの間にて引きこもり中です。
     乱戦状態だった。一人ずつ探して回復していったのでは間に合わない。マトリフは冷静さを保ちながら素早く周囲を見回して、次いで傍らでモンスターを殴り飛ばしたブロキーナに視線を向ける。最近習得したばかりの回復呪文を使うにしても発動中は無防備になってしまう。詠唱のための時間稼ぎも必要だ。
     「よお大将! 全員を一気に回復させてやっからちょっくらザコどもの相手を頼むぜ」
     「いいよん」
     モンスターの大群相手にしながらもブロキーナは軽いノリで請け負った。
     そんな二人の会話を聞いていた一体のモンスターが不満をありありと孕んだ声色でもって割り込んだ。
     「ほう。君の言うザコとは私のことも含まれているのかな?」
     トロルの群れの向こう側から青色の肌をしたさらに巨大な体躯が現れた。眼鏡を中指の鋭利な爪で押し込んで歩み寄ってくるその理知的な動作とは裏腹に額には幾つもの血管が盛り上がっていた。
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