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    jujukaraage

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    jujukaraage

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    転生夏五で、歳の差あり。子どもの五を攫って育ててる夏。
    ※かきかけ

    #夏五
    GeGo

    「おはよう、悟」

    僕の一日はこの一言から始まる。砂糖のように甘くて優しい声が心地よくて、とっくに目は覚めていたけど、まだ微睡の中にいるふり。そうすると「仕方ないなあ、悟は」と続いて、おでこと両頬にキスが降ってくる。くすぐったくて、くふくふと笑いが漏れるが、まだ瞼は閉じたまま。おまけにン、と唇を尖らせると僕の意図が正しく伝わったらしく「そんなにされたいの?」という声が降ってくる。そして唇へ待ち望んだ温もり。ここでようやっと僕は目を開けて、視界いっぱいに彼を映すのだ。

    「傑。おはよ」

    ベッド横に立つ俺の父親、夏油傑。
    昨晩眠りにつく前と変わらず、一杯の愛情が籠った表情で僕を見下ろす傑に満足して、ベッドに寝っ転がったまま両腕を大きく広げた。そうすれば口では「悟、授業が始まってしまうよ」と言いつつ、ベッドに体を乗り上げ、覆い被さってくるんだから。傑の体は僕をまるっと包み込んで、安心させてくれる。僕も早くもっと大きくなって、いっぱい傑を抱き締めてやりたい。
    さっきのお返しに、僕からも傑の唇にちゅうと吸い付いた。ついでに傑の長髪を一つに結ったゴムを取っ払って、掻き乱して、誘う。このままこうしていよう?授業といったって、通信教育だし、もうすでに独学で知識を身につけた僕には何の意味もない。学校に通いたいとも思わない。だってそこに傑はいないから。
    そう思うのに、傑はといえば僕の頭を一撫でして「もうお終い」というように体を引き離す。ベッドの上に体を起こした僕が頬を膨らませると「朝ご飯はフルーツを用意してるからね」と微笑んで、一足先にリビングへ向かっていってしまった。
    そうなると僕も素早くベッドを抜け出して顔を洗って、あっという間にダイニングテーブルに着席した。そんな僕の現金な動作に傑はくすくすと笑いながら、カットフルーツの盛られた皿とグラニュー糖の入った瓶を置いてくれた。フルーツにたっぷりグラニュー糖をかけて「いただきます」と口に頬張る。甘い。正直、僕は特別甘いものが好きなわけじゃない。けど、フルーツの隣にはこれが当然のように用意されていて、自分の好みとは裏腹にこうすることが当たり前のように感じてる。にしても、今日はかけすぎたかな。
    傑が用意してくれたココアじゃなくて、傑が飲んでいるブラックコーヒーに目がいった。たまにはいいかな。手を伸ばすと、ぱしんと手を叩かれる。

    「悟、ダメだろう?君はそんなことしないよ」

    ちぇっ。僕は「はーい。傑ママ」と頷いて、大人しくココアを飲む。これまたド甘いけど、僕はブラックコーヒーを飲まない。傑がそう言ったらそうなんだろう。
    傑は「ママじゃないけど」と苦笑しながら、コーヒーを口に含み、目の前に置いてあったノートPCへ視線を移した。詳しくは知らないけど、傑はあのノートPC一台で仕事をしているらしい。傑が仕事に集中してしまうと、僕はいよいよ黙々と甘ったるいフルーツとココアを処理することに集中するしかない。
    テレビはあるけど今は無音だ。この家ではテレビをつけていい時間が決まっていて、今はその時じゃないから。ちなみに、家には見切れないほどの傑おすすめの映画DVDがあって、傑が構ってくれないときは大抵それを観て過ごしてるからそれで十分。今日はあいにく授業とやらを受けなきゃいけないから、そんな暇はないんだけど。
    あーあ。今すぐ傑がこっちを向いて、僕のことを抱き抱えて、ベッドにダイブしてくれたら最高なのに。それからいつもみたいにお互いしか感じられないくらい、たっぷり愛し合ってさ。

    ーー僕は本当は朝起きるのだって得意だし、傑より料理も上手い。昔から、僕は一人で何でもできてしまうんだ。
    一方傑は寝起きは悪いし料理が苦手で、本当は僕のためにもっと凝ったものを用意しておきたいみたいだけど、いつも時間がなくてフルーツを切るくらいしかできなくて悔しい思いをしてるってことも知ってる。可愛い。
    でも、今の僕の世界には傑と僕だけで、僕はたとえどんなに不自由でも、傑がいれば良かった。傑のいない世界は寂しいってことを、僕は魂で知っているのだ。

    --

    「誘拐犯じゃん。何か用?」

    まだ小さな少年の手を引いて自分の前に現れた男に、休憩中だった家入は煙草の火を揉み消しながら足を組んだ。
    小さな町の小さな診療所はつい先ほどまで絵に描いたように平和だった。そこにやって来た黒づくめの男。招かざる客であることは明らかだったが、幸いにして他のスタッフは出払っていて、院内には唯一の医師である家入自身しかいない。おそらくこの男はそのタイミングを狙ってやってきたのだろう。
    小学生に入るか入らないかほどの背丈の少年はフードを深く被っており顔が見えないが、家入が「甘いもの好きか?」と尋ねると、控えめにこくんと頷いた。診察を受ける子どものために用意している飴玉を手渡してやると、早速口に含んでいる。素直な様子が可愛らしい。男、あらため夏油傑が何故か笑顔で自分たちのやり取りを見ていることには気づかないフリをしておく。

    「誘拐犯、ね。硝子にはこの子が誰だかお見通しって訳だ」
    「当たり前だろ。日本中、あの五条悟が誘拐されたってニュースで持ちきりだ。絶対にお前の仕業だと思ったよ」
    「そう?悟ほどの子どもとなると、これまで被害に遭わなかっただけで、私以外にも同じような計画をしてきた奴らはいるだろうけどね」
    「いいや。本当にあの五条だったら、そんじょそこらの奴に易々と誘拐なんてされないだろうさ。アイツが黙って着いていくのはお前くらいだ」
    「光栄にも、まあそうだろうね。だけど悟に記憶はない」

    今の悟の、自分の意思で、私に着いて来ているんだ。
    その夏油の言葉に家入はため息を吐いた。いくら目の前の少年が五条悟だからといって、記憶がないのであれば年端もいかないただの子どもだ。子どもの一時の意思なんて、当てにならないだろうに。そもそも夏油の言うことは真に受けない方がいい。家入にさえどこまで本当のことを話してるから怪しいので、五条のことをただただ力づくで掻っ攫ってきたのかもしれない。
    機嫌良さそうに会話しながらも、先程からずっと少年の肩に手を置いている夏油に眉間に皺を寄せながら「お前がペドフィリアだってことはよく分かった」と吐き捨てる。

    「酷い言いっぷりだなあ」
    「毎回子どもを連れて闇堕ちした姿を見せられたら、誰だってそう思うよ」
    「あはは」

    それよりさ、硝子にはこの辺りの住まいを紹介してほしくて。誰も寄り付かない場所がいい。ちょうどほら、あの山のあたりなんていいな。硝子、昔からこの辺りで土地持ってたよね。

    から笑いの後に続いた言葉に、家入は先程よりも大きなため息を吐いた。コイツが自分に会いにくる理由なんて、碌でも無いと分かっていたが、まさか昔馴染みに犯罪の片棒を担がせる気なんてな。コイツは、いつもこれっぽっちも家入のことを慮ろうとしないのだ。その点はアイツの方がまだマシだったか。
    少年は飴玉で頬を膨らませながら、無垢な表情で家入のことを見上げていた。

    --

    やっと再会した悟は、同い年だったあの頃とは違って、まだ赤ん坊だった。

    前の生き方からして、人の心を操ることに長けている私とにとって五条家に取り入ることは容易かった。屋敷を好き勝手できるようになるまでにはさすがに少々時間はかかったが、彼らは自分たちよりずっと年若い私を信じ教えを乞い、世間知らずの女は夫がいぬ間に若い男が甘い言葉を囁けば簡単に股を開いた。一時でも愚かで汚い彼らに与することは苦痛だったけれど、全て悟のため。悟、私はいつだって君のためなら幾らでも手を汚せる。いや、君のためというのは烏滸がましいか。私が私であるために悟が必要なんだから、手に入れるのに手段を選ばないのは当然だよね。
    最初は彼のことをどこかに隠しているんじゃないかと疑っていたもののどこを探してもその片鱗もない。
    覚えてはいやしないが、一度抱いてやったことのある女に手招きをされ、白髪碧眼の天使を産んだと告げられた。信心深いことに「貴方の仰る神の遣いでしょう」と心酔し切った様子にはドン引きしたが、そんな素振りは見せずに、しかし一目散に女の言う赤ん坊の元へ駆けつけた。
    間違いなく、五条悟だった。感動し涙する私に駆け寄ろうとする女を突き飛ばし、悟へと手を伸ばすと、ふくふくとした手で私の指を掴み笑う。ああ。解っているのだ、私のことが。
    歓喜し、そのまま二人の世界へと飛び立ちたかった。しかし赤ん坊のままではいくらなんでも目立つだろうと思い、せめて悟が自分の力で立ち喋る頃まではこの家で育てようと決めた。悟もそのつもりだろうし、五条家のことは完全に手の内だと考えていた。
    しかしそんな悠長なことをしている間に、これは私の責任でもあるのだが、悟は神の子として本格的に崇められ五条家に囲われるようになってしまう。そこに莫大な金の匂いがしたのだろう。私の言葉も聞かずに暴走した五条家はどんどんと悟の信者を増やしていき
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