Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    狭山くん

    @sunny_sayama

    腐海出身一次創作国雑食県現代日常郡死ネタ村カタルシス地区在住で年下攻の星に生まれたタイプの人間。だいたい何でも美味しく食べる文字書きです。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💕 🙏 👍 🍻
    POIPOI 139

    狭山くん

    ☆quiet follow

    2022-06-18/今日のデイリー空閑汐♂は空閑の独白回みたいになってしまった。ちょっと不穏なのは多分手癖……手癖で不穏にするな。

    ##空閑汐BL
    ##静かな海
    ##デイリー
    #BL

    空閑汐♂デイリー800字チャレンジ:18 落とさないようしっかりと抱き上げた男の肢体はずっしりと重い。平均から見れば長身であるとはいえ、自身よりも小柄で細く――時折どこに内臓が入っているのかと疑うこともあるような薄い汐見の身体ではあるが、その服の下にしなやかな筋肉を纏っている事を空閑は知っている。
     帰省土産の交換と称して集まっていた友人たちもそれぞれの部屋へと戻っていく時間ような時間になっても、空閑にぴったりとくっ付いて寝息を立てる汐見が目を覚ます様子はなく、揺すっても叩いてもすやすやと深い眠りに落ちたままで。眠りに落ちる前に呟くように告げられた「お前が居ないと、眠れもしない」という言葉だけが、空閑の耳でずっと反響し続けていた。
     空閑に抱きかかえられながらも器用に眠り続ける汐見の身体をようやくベッドに横たえさせながら、空閑は汐見のあどけない寝顔を見つめる。普段は仏頂面を晒し、神経質そうな印象を周囲へと与える細面が表情筋も緩まっているのか眠っている時には少年のようにも見えて。
     ベッドの端に腰を下ろし、その頰をゆっくりと撫でる。空閑の指先が頬を擽る感触に反応したように汐見は少しだけ眉を寄せ、明瞭ではない言葉をもごもごと口にしながらも覚醒には至らない。
    「せめて着替えてから寝たほうが良いと思うんだけどなぁ……」
     眠れなかったという汐見を起こすのも忍びなくて、空閑は困ったように小さく笑う。汐見が纏うのはトレーナーにジーンズというラフなものではあるが、寝るのには適さないだろう。せめて前開きのシャツであれば脱がせてやれたのに、なんて考えてからだめだな。と空閑は一人でその考えを否定する。
     脱がせれば多分、溜まりに溜まった劣情をぶつけてしまうから。空閑の脳裏でイマジナリー篠原が叫んでいた。合意は大事だと。
     脳内に突如現れた友人を追い出しながら、空閑は汐見へと懺悔の言葉を口にする。祈るように、赦しを求めるように。
    「ごめんね、アマネ――アマネが俺なしで眠れない事を、嬉しく思っちゃったんだ」
     彼は一人でどこまでも行ける人だった。そう、だったのだ。周囲を顧みず、一人で進む彼の翼を奪ったのは空閑だった。そして共に残された足を使い、ふたりでどこまでも駆けていこうと汐見の手を引いたのも。
     だからこそ空閑は眠る汐見にだけ懺悔する。このひどく執着じみた恋が、彼を絡め落とした事を。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺🍌
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    狭山くん

    TRAINING2022-06-29/空閑汐♂デイリー何とか日付変わる前に書けたねヤッター!!吉嗣先生が空閑汐♂に巻き込まれてるの見るのは楽しいね……
    空閑汐♂デイリー800字チャレンジ:29 第一格納庫の隅に作られた教官室。そこはパイロットコースを担当する教員達に割り当てられた部屋で。校舎から離れた場所に位置する格納庫に仕事を持ち込む教員は少なく、その部屋は吉嗣が占有してしまっている。
     そしてその場所では安っぽいデスクチェアに腰を下ろし軋ませる吉嗣の他、二人の青年が立たされていた。一人はぴしりと制服を纏い、一人は学校指定のジャージ姿で。
    「空閑に汐見も。お前らこの卒業前のクソ忙しいタイミングで呼び出された理由は解ってるよな?」
     既に自由登校になっている三年生の中でも、この二人は既にパイロットコースの生徒が一番に目指す場所である航宙士学院への入学資格を手に入れていた。他の生徒達とは異なり、受験勉強からも解放され校内の雑務を請け負うアルバイトもこなしながらモラトリアムを過ごす二人の男達へと吉嗣はじとりとした視線を向ける。視線を向けられた本人達は揃いも揃って――制服を隙なく纏った空閑は面白そうに、ジャージ姿の汐見は不思議そうに、首を傾げる。
    1743