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    狭山くん

    @sunny_sayama

    腐海出身一次創作国雑食県現代日常郡死ネタ村カタルシス地区在住で年下攻の星に生まれたタイプの人間。だいたい何でも美味しく食べる文字書きです。

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    狭山くん

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    2022-07-15/夏祭り15日目は汐見♂と吉嗣センセの話。吉嗣センセにも色々ありそうだしなんで私はこう不穏を入れたくなるんだ。(性癖)

    ##空閑汐BL
    ##静かな海
    ##デイリー
    #文披31題
    wenPhi31Questions
    #BL

    文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day15「――っとと、」
     吉嗣の声と共にグラスの縁から溢れ出そうになる泡を見ながら、汐見は呆れたようにため息をひとつ。そんな汐見の反応を横目で見ながら「業務時間外なんだから良いだろ」と吉嗣は肩を竦めた。
    「いやまぁ勝手にすれば良いと思いますけどね。テストの採点を俺に押しつけて置きながら自分は酒すか」
     呆れ声で返された汐見の言葉に、吉嗣は上機嫌でカラカラと笑う。
    「だってお前出来ちゃうだろ。答案は用意したし、お前そのテストで満点取ってたんだし」
    「ヒロミだって満点だった筈なんすけどね」
    「空閑は寮長会議に引っ張られてんじゃん。空閑が居ないとお前暇だろ」
     赤い水性ペンをキュ、と鳴らしながらテストの採点を進めていく汐見は眉を寄せながら再びのため息を零していた。
    「センセまで俺とヒロミをセットにするんすね。偶には別行動してますよ」
    「お前らが自由気ままに別行動して碌なことが起こらなかった試しが無い」
    「……センセ、まだバレンタインの事根に持ってんすか」
     喉を鳴らしながらグラスの中身を煽る吉嗣に、汐見が問えば「どうだろうなぁ」と彼は笑う。
    「バレンタインの一件は肝が冷えたけどな。お前らそれ以外でもめちゃくちゃだろ、この間のデモフライトとか、空閑以外の元クラスメイトに対するお前の対応とか」
     指折り告げられる吉嗣の言葉に汐見も「あぁ……」と眉を寄せながらも言い訳のような言葉を重ねていく。
    「デモフライトはヒロミに譲るつもりだったし、飛んでくる火の粉を払っただけですしノーカンじゃないすか?」
    「お前なぁ、尻拭いさせられる身にもなれ。頼むから学院に進んだら大人しくしとけよ?」
     びし、と汐見を指差し盛大なため息と共にそう吐き出した吉嗣に「まぁ善処しますけど」と汐見は薄く笑みを浮かべ、テスト用紙に赤を入れ続ける。
    「まぁ、お前にとっては学院の方がやりやすいかもわからんけどな」
    「そういえば、センセってストレートの航宙徽章アストロマーク持ちでしたっけ」
     グラスの中身を空にして、再びアルコールを注ぎ始める吉嗣へ汐見はふとそんな事を思い出して問いかけた。汐見の問いに吉嗣は「おう」と頷いて。
    「日本校はパイロットコースが出来るの遅かったからな、俺ん時が一期よ。推薦で学院行って航宙徽章アストロマーク取って、パイロットもしてたけど三年で辞めて今に至る」
     カラカラと笑いながら過去の経歴をつらつらと口にする吉嗣に「何で、パイロット辞めたんすか」と汐見は問う。
    「あ、そこ気になるか?」
    「そりゃまぁ、センセだって飛ぶことが嫌いって感じではないんで」
     自分が目指す先を先達が蹴った理由は、気になりますよ。
     そう重ねられた汐見の言葉にそれもそうかと頷いた吉嗣はビールを呷りつつも少しばかりその理由を口にする事を躊躇する。汐見が自身と同じ状況になった時、同じ選択をしそうだと感じたのだ。
    「そうだな、地に足付けたくなったからかね」
     吉嗣が口にしたのは嘘だった。そんな吉嗣が口にした嘘に「そうすか」と汐見は頷いて。
    「ひとつ教えといてやる、宇宙は寒い所だぞ」
     すっかり温くなったビールを呷り、吉嗣はそれだけを口にした。
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    狭山くん

    TRAINING2022-07-01/文披31題夏の空閑汐♂祭始まるよ!!!!!そう言えば学祭の話って書いてなかったな〜って思ったので初夏は学祭の季節だろ!?と空閑汐♂には踊って頂きました。学祭で踊るタイプの男性アイドルユニット、うっかり某SとAを思い浮かべてしまった。地元じゃ負け知らずだぜ、アミーゴ。
    文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day01 太陽は山の奥へと隠れ、空は紺青と朱による美しいグラデーションを見せていた。校舎の屋上から遠くに揺れる海原を見つめていた汐見は、屋上に巡らされた柵に凭れて大きなため息を一つ吐き出す。
    「おつかれ」
    「お前もな」
     からからと笑いながら疲れを滲ませた息を吐き出す汐見へと労いの言葉を掛けた空閑に、汐見は小さく笑い言葉を返す。卒業証書を受け取ってから数ヶ月、季節は夏へと差し掛かる頃で。互いに高校指定のジャージを纏う彼らは、次の進学先への渡航までの間をこの場所で過ごす事を決めていた。
     実家に帰るよりも、渡航までの約半年をこの場所で知識を深めた方が有意義だという結論に達したのは何も彼らだけではない。彼らよりも前に卒業していった先達であったり、同学年で本校への進学を決めている者の一部も同じような選択をしており――学校もまた、それを受け入れる体制が整えられていた。
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