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    狭山くん

    @sunny_sayama

    腐海出身一次創作国雑食県現代日常郡死ネタ村カタルシス地区在住で年下攻の星に生まれたタイプの人間。だいたい何でも美味しく食べる文字書きです。

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    狭山くん

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    2022-07-25/空閑汐♂の夏も25日目!狭山くんは小学生の頃に行った天文台で聞いた光が人によって見え方が違うって話を20年以上引きずって生きてます。エモエモのエモじゃん……って思うですよね。

    ##空閑汐BL
    ##静かな海
    ##デイリー
    #文披31題
    wenPhi31Questions
    #BL

    文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day25 夜の滑走路は誘導灯が灯され、そこを目指してスペースプレーンが優雅に降り立っていく。全ての光が消えれば闇の中に沈むその場所は、煌々としたライトによって幻想的な光景が作り出されていた。
     太陽の熱が落ち着いて、少し冷たい風が肌を撫でるような時刻。それでも昼間の暑さに辟易としていた汐見にとっては心地よい時間で。彼の隣に立つ空閑は薄手の長袖シャツを羽織っていたが、汐見は半袖のティーシャツのままだった。
    「寒くないの?」
    「これで丁度いいくらいだぞ。お前が寒がりなんだろ」
     この場所で迎える夏も三回目になると言うのに、空閑は相変わらずだと汐見は笑う。よく冬を越せてたな、という感想と共に。
    「アマネは暑がりだよね、昼間部屋にいる時パンイチなのはやめてほしい」
    「暑くて服着たくねぇんだ」
    「誘ってんのかって思うよね」
    「思うだけじゃなくて行動に移してるだろお前」
     軽快な言葉の応酬を交わしながら、汐見はぐいと背筋を伸ばす。草臥れたシャツの襟口から、昼間に空閑によって付けられた情事の痕が覗いた。
     ――あぁもう、たまらないなぁ。
     口に出せば叩かれるのは目に見えているから、心の中でだけ空閑は小さくぼやく。普段はセックスなんて知りませんと言うような淡白な顔をしておきながら、ベッドの上では空閑の手によってひどく乱れてくれる――それを赦してくれる男。
     他の誰もが知らない顔を、空閑にだけは晒してくれるのだ。その事実だけで空閑の胸は熱くなる。
    「そういえば」
     ふと、何かを思い出したかのように汐見は口を開く。彼の言葉を待つように首を傾げた空閑に、汐見は言葉を繋いでいった。
    「星とか、電気とか、キラキラしているもののひかり方ってさ、見ている人間の虹彩によって変わるらしいんだ」
     汐見の言いたいことを図りかねた空閑は、彼の言葉の続きを待つ。
    「だから、ヒロミが見ている光と、俺が見ている光は――同じ物でも輝き方が違うんだよな」
    「ちょっと寂しいね」
     重ねられた汐見の言葉に、素直な感想を口にすれば「だよな」と滑走路へと視線を向けて汐見も頷いて。
    「でもさ、見えている像が違っても――お前と同じものを見て、同じ事を感じていられたら良いなと思うんだよな」
     ポツリと溢された汐見の言葉に、空閑は滑走路へと視線を向ける。彼はこの景色を見て、何を思っているんだろう。
    「俺は、綺麗だと思うよ。ここにある機体も、誘導灯も、ここで働く人たちも皆。綺麗だ」
     はっきりと言葉にした空閑の思いを静かに聞いていた汐見は口元でだけ小さく笑みを浮かべながらはっきりと頷いた。
    「俺も、この景色は綺麗だと思う。同じだな」
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    狭山くん

    TRAINING2022-07-01/文披31題夏の空閑汐♂祭始まるよ!!!!!そう言えば学祭の話って書いてなかったな〜って思ったので初夏は学祭の季節だろ!?と空閑汐♂には踊って頂きました。学祭で踊るタイプの男性アイドルユニット、うっかり某SとAを思い浮かべてしまった。地元じゃ負け知らずだぜ、アミーゴ。
    文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day01 太陽は山の奥へと隠れ、空は紺青と朱による美しいグラデーションを見せていた。校舎の屋上から遠くに揺れる海原を見つめていた汐見は、屋上に巡らされた柵に凭れて大きなため息を一つ吐き出す。
    「おつかれ」
    「お前もな」
     からからと笑いながら疲れを滲ませた息を吐き出す汐見へと労いの言葉を掛けた空閑に、汐見は小さく笑い言葉を返す。卒業証書を受け取ってから数ヶ月、季節は夏へと差し掛かる頃で。互いに高校指定のジャージを纏う彼らは、次の進学先への渡航までの間をこの場所で過ごす事を決めていた。
     実家に帰るよりも、渡航までの約半年をこの場所で知識を深めた方が有意義だという結論に達したのは何も彼らだけではない。彼らよりも前に卒業していった先達であったり、同学年で本校への進学を決めている者の一部も同じような選択をしており――学校もまた、それを受け入れる体制が整えられていた。
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    はるもん🌸

    MOURNING魏無羨がニヤニヤしながら嗅がせてきたのは、いつしか見た事のある見た目がおかしい香炉。眠る前から怪しい展開になるだろうことはわかっていたが、まさかこの時の夢を見るとは思わず、数回ほど藍忘機は目を瞬かせた。
    香炉 初めての口づけ―――これは、夢か。

    魏無羨が目隠しをしたまま笛を吹いている。自分はそれを眩しそうに見ていた。どうせ気づかれない、気づかれてもこれは夢。そう思い、藍忘機は昔と同じように木の上にいる魏無羨の元へと足を運ばせた。いつしかの夜狩りの帰りに、見知らぬ夫婦が木陰で深い口づけをしているのを見かけた。

    好きなもの同士なら、ああやって愛し合うのかと学んだ。
    そして魏無羨と同じ事がしたいという欲を感じた。

    魏無羨に初めて口づけをしかけた時、あの夫婦のそれを真似た。目を隠しをしたまま的(マト)に矢を放った時の魏無羨は本当に美しく見えた。あれは私のもだと印をつけたくなるほどに。

    笛の音が聞こえた瞬間、霊獣を狩る事よりも魏無羨の傍にいたいという欲求が強まった。そっと遠くから眺めるつもりだったが、風を感じて気持ち良さそうにしている無防備な彼を目前に我慢をする事ができなかった。もうすでに自分たちは道侶。今襲わなくても毎晩これでもかと愛し合っている。しかしこの瞬間、藍忘機はあの時の劣情がまざまざと蘇り、気づけば彼の手首を抑えて口づけていた。それも無理やり。
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