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    sangatu_tt5

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    リ占/伯猟 死にネタ

    #リ占
    lyLy

    先のハロウィンで開かれた饗宴より縁の結ばれた✂️と🔮はなんやかんやあり、結ばれることとなった。
    人である🔮を愛した✂️は決して🔮を噛むことはせず、1度も牙で傷つけず過ごしたが、人と血族では生命の長さが異なる。
    血族の『餌』となれば人とは異なり長い時を生きることができるが、それを良しとしなかった✂️は少しずつ年老いていく🔮を見守った。
    歩くこともままならぬようになった🔮を抱えて夜を散歩し、日中ベッドで横になり続ける🔮に薔薇を捧げた。それでも、🔮の命の刻限は刻々と近づく。✂️「……人間なんて嫌いです。先に行ってしまうのだから」
    🔮「だったら、噛めばよかったじゃないか……。僕は君と共に居られるなら人でなくても構わないよ」
    ✂️「嫌ですよ。貴方には陽の光の下で笑っていて欲しかったんです」
    🔮「それじゃあ仕方がないね」
    互いに力を込めて握っていた手は少しずつ解けていく。力の入らなくなった🔮の手を懸命に握りながら、✂️は🔮の名前をずっと呼び続ける。
    長い時の間で1番涙が零れた瞬間だった。頬を緩めて、「仕方がないな……大丈夫だよ。僕は幸せだった」と目を閉じた🔮は二度と動かない。
    力の抜けた🔮を抱えた✂️は咲き誇る薔薇の庭を通り、暗闇へと姿を消した。
    魔典も伯爵もこの世から消えた。血族たちは大いなる力を失ったことを理解し、教会の人々は均衡が崩れることを恐れたが、意外にも血族たちは人間を蹂躙することはせず静かに過ごす。
    平和の訪れた世界で血族を恐れる人々はいなくなり、それらは全ておとぎ話となった。

    ***

    薔薇が至る所に飾られた街は活気に満ちており、楽しそうに祭りの準備をしている。偶然にいいタイミングで旅行に来れたと異国の雰囲気に酔いしれていた青年は友人である梟と笑い合い、綺麗に塗装された煉瓦の道を歩く。
    「こんにちは、学生さん?旅行かしら」
    「ええ、お祭りの最中ですか?」
    「そうよ、タイミングがいいわね。今はこの街で1番盛大なお祭りの最中なのよ」
    綺麗な女性は梟の羽根で作られた髪飾りをつけながら微笑んだ。
    「素敵なご友人ね。ここは薔薇と梟を愛する街なの。きっと貴方にとってもいい出会いがあるわ」
    「……珍しい組み合わせですね」
    ナイチンゲールと薔薇なら分かるが、梟と薔薇は珍しいと🔮が関心を示せば、女性は嬉しそうに笑った。
    「この街はね、昔『血族』っていう吸血鬼に守られていたの。その血族様……伯爵様はね、1羽の梟を愛していたの」
    「梟を……?」
    後ろから、「違うよ!梟を連れた人間だよ」「違う!梟にも人間にもなれる妖精だよ」とヤジが飛ぶ。
    ふんっと鼻で笑った女性は、「諸説あるんだけどね、その伯爵様は梟のために血族と対立して、人間を守ってくださったのよ。今日は血族が悪さをしなくなった日と言われていて、伯爵様に感謝を捧げるのよ!」
    この街では当たり前の話なのだろう。誇らしげに笑う女性は素敵で、思わず青年も笑ってしまう。
    「これだけ薔薇が売られているのは感謝のための捧げ物かい?」
    「いいえ、このお祭り中に薔薇の花束を好きな人に告白するためのものなの」
    「告白?」
    「そう。伯爵様は赤い薔薇の蕾の花束を愛した梟に送り続けたのよ」
    そう言って女性は梟と薔薇の刺繍が施されたハンカチを🔮に見せる。
    「だから、この街では今日告白すれば恋が叶うと言われているのよ。街のシンボルマークでもあるしね」
    「なんで、薔薇の蕾を送ったんだい?」
    「諸説あるらしいけど、床に伏せた梟の目を長く楽しませるためと棘で怪我しないために棘が柔らかい時期のを贈ったらしいわよ」
    女性は町外れの高台を指さした。
    「あっちに伯爵様が住んでいた御屋敷があるの。あそこの管理者がこのお話のことすごく詳しいから聞いてみるといいわ。話を聞けなくても、御屋敷の薔薇は世界一美しいから見て欲しいわね!」
    「うん、ありがとう。行ってみるよ」
    脳裏に誰かが映る。香しい薔薇の香りが鼻につく。
    行かなければならない気がする。
    🔮が足を無心で動かし、少しずつ駆け足になっていく。息を切らしながら走れば、大きな門へとたどり着く。赤い薔薇の咲き誇った庭が見え、重い豪奢な鉄格子の門に触れれば、ぎぃっと音を立てて開いた。
    陽の光を浴びて美しく咲く薔薇たちは🔮を歓迎するように風に揺れた。
    既視感を感じるその庭で、🔮は誰かが自分の頬に触れたことを思い出す。誰だかは思い出せないが、愛しい人だったことは覚えている。
    思い出をなぞるように奥へと進めば、綺麗に整備されたテラスが見えた。
    「どちら様ですか?」
    白いテラスのテーブルに触れていると声をかけられる。
    背の高い白髪の男が日の入らない日陰からこちらを見ていた。ビクッと体を大きく揺らした🔮は不法侵入であることを思い出し、バツの悪い表情をする。
    「すみません。あまりに美しくて、迷い込んでしまいました。ここでこの街のおとぎ話?について伺えると聞いたのですが……」
    白い男は影から姿を出すことはせず、遠い場所で微笑んだ。
    「怒ってしませんよ。血族伯爵の話ですよね?どうぞこちらへお話致しますよ」
    そう肩を揺らしながら笑った男が🔮を屋敷の中へと促す。
    🔮がほっと肩をおろし、近づけば男は心底優しい目で🔮の姿を瞳に映す。
    🔮も初対面であるはずの男のそばがあまりにも居心地が良く感じた。エスコートするように差し伸べた男の手を取り、不思議に感じながら暗い屋敷の中を進んでいく。
    🔮「……失礼だけど、何処かで会ったことはあるかな?」
    「……なぜ、そう思うんですか?」
    男は前を向きながら、そう聞き返す。
    🔮「わからないけど、君のことを知っている気がするし、君のことを思い出さなければならない気がするんだ」
    そう言った瞬間に、男の目が🔮を映し、大きく揺れた。
    喜びと悲しみの詰まったような瞳に🔮も泣きたくなる。
    男の入れた紅茶は🔮がこの世で飲んだ中で1番自分の好きな味だった。
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    😭😭👏
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    kawauso_gtgt

    PASTSS再掲。優しい探占。ゆらゆらと頼りなく揺れていた蝋燭の明かりが今まさに消えようしていた夜更け過ぎのことだ。
    今日も今日とて試合に引っ張りだこで疲れ切っているというのにも関わらず、暫く前から部屋の前で立ち尽くす気配にノートンは堪らず声を掛けた。
    「誰」
    「……ノートン」
    「……イライさん?」
    苛立ちを露わにした声に返ってきたのはなんとも弱々しい呼び声で。その声に毒気の抜かれたノートンは、チェアから腰を上げると扉の向こうをじっと見つめる。いまだに開けることを躊躇っているのか。それでも開かれる気配のない扉に、ノートンは先程よりも幾らか柔らかい口調で声を掛ける。
    「いいよ、入って」
    その声を受けてがちゃりと開かれた扉の先にいたのはイライだった。自室へと置いてきたのだろうか、いつもの定位置であろう場所に相棒の姿はなく、どうやら身一つで此処へとやってきたようだ。
    (それにしても、なんというか)
    明かりもすっかり消えてしまって月明かりしか照らすものがないとはいえ、その顔色は酷く頼りない。ふらりふらりと部屋へ踏み入るその足取りさえも思わず心配になるほどに覚束なかった。堪らずこちらに辿り着く前にその腕を引いてすっぽりと身体 1918

    sangatu_tt5

    MEMOリ占/付き合ってない伯猟のミス🔮を見る度に動悸がする。息が乱れ、顔が赤くなる。姿が見えなければすぐに彼を思い浮かべ、彼のそばに自分以外がいると思わず殺してしまいたくなる。これは、なんでしょうか……?
    ✂️が漏らした言葉に夫人も執事も口が塞がらない。血族の中で1番の力を持つ彼が幼子のようなことを言い出した。どう伝えるべきかと目を見合わせる。
    ✂️「………病気ですかね?」
    バル「いやいや、今まで1度もなったことないじゃろ」
    マリ「多分それは治らないと思うわよ」
    ✂️「治らないんですか?」
    困ったと俯き、✂️は思考を巡らす。
    治らない…治らないだろう。だってこれは憶測が正しければ恋の病だ。人間がかかるものだ。
    純血種、血族の頂点、永遠の生命、全てを持ち合わせた✂️は子供を必要としない。繁殖など不要だからだ。繁殖が必要なのは永遠に近い生命を持たぬ下等なモノたちのみなのだから……
    夫人も執事も過去に人間であった頃ならいざ知らず、今はそんな感情凍てついている。
    マリ「なら、🔮に聞いてみれば?病気をするのは人間よ?彼の方がきっと詳しいし、解決策も出てくるのではないかしら?」
    本人に恋愛相談をしろと言うのも変な話だが、適任者 2836