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    はるしき

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    はるしき

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    今日のフウモクのお題は【吸って、吐いて】です。
    #お題ガチャ #cp向けお題ガチャ

    IF主従若フ←モ気味

    ##フウモク

    ふ、とフウガの唇の隙間から紫煙が漏れる。
    片膝を立て、襦袢だけをゆったりと纏ったフウガと吐き出される白い煙が月の光に照らされモクマの目を刺激する。ゆらりと火皿の煙が穏やかに立ち上る。背を僅かに丸めて煙を吸い、吐き出すフウガは絵画や美術品のようだと、柄にも無くモクマは感じていた。
    吸うようになっていたのか。自らの腕を枕にして布団の中で俯せになっていたモクマは、フウガの姿を見上げる。
    そういえば先程も、口づけた舌から、髪の隙間から、指先から。苦い独特の匂いを感じていた。感じていながらどうして核心で気がつかなかったのかは、モクマ自身が一番理由を理解している。認めたくは無かったが、あの指に、あの目に翻弄され、それどころではなかったのだということは認めざるを得なかった。
    いつの頃からか幾度となく重ねるようになった身体。触れられていないのは互いの内心だけ。新しくできた傷もフウガが触れた痕に変わり、フウガの所有物たる己には自由も無い。
    鳥籠の中の鳥などと綺麗なものでは無い。
    大切に仕舞われた玩具などと美しいものでは無い。
    果たしてこの関係は、主従の正しい関係なのだろうか。
    フウガは自分以外の臣下にもこのようなことをしているのだろうか。
    他の者の前でも吸っているのだろうか。
    いつから吸い始めたのだろうか。
    どうして吸い始めたのだろうか。
    フウガのことは知らないことばかりだ。モクマは枕にしていた自らの腕に鼻先まで埋め、紫煙の行方を目で追う。
    白い煙に包まれた燻された葉の匂いが胸に詰まる。息が深く吸えない。苦しくて、たまらない。

    「何を考えている」

    声の方へモクマは目を向ける。
    白い煙を纏ったフウガが、訝しげにモクマを見下ろしていた。
    何を考えているか。
    フウガに教えるわけにはいかない。

    「俺にも吸わせて」
    気怠く重い腕を伸ばし、モクマがわざと相貌を崩す。
    何を考えていたか、知られてはいけない。
    吸い口を唇で挟んだままフウガが眉間に皺を寄せモクマを見下ろす。
    あれ、間違えたか。モクマは目をパチパチと瞬かせ、不安を覚える。
    そうしていると、すうとフウガの肩が上がり、深く煙を吸い込んでいるのが分かった。

    「……っ!」

    ふぅ、とフウガは肺まで深く吸い込んだ煙を、モクマの顔に吹きかける。
    真っ白になる視界と痛みを感じる瞳、苦い匂いと味にモクマは咄嗟に目を閉じ顔を背ける。
    目が沁みる。モクマは両手で涙が滲んだ目を擦った。

    「お前にはこれで十分だろう」

    せせら笑ったフウガは機嫌良く肩を揺らし、再び煙管の吸い口を口に含み吸い、紫煙をくゆらせた。
    モクマは何か言いたげに口をまごつかせたが、ため息を一つ吐き出し、自らの腕に目を押しつけ突っ伏した。





    (苦くて、苦しい)
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