────じく。じゅく。
「う、」
それから二日ほどしか経っていない夜、ついにその時が訪れた。得も言われぬ熱が、首筋から発せられている。
「……行かなきゃ」
コトン。
小さいくまのぬいぐるみの意匠が施されたシャープペンシルを机の上に置き、ふう、と沈鬱な表情で息を吐いた少年……中在家長次は、静かに心を決めて冷たい木の椅子から立ち上がった。ようやく自習の調子が上がってきたところだけれど、「呼ばれた」からには行かなきゃいけない。「彼」を待たせるわけにはいかない。
「お、中在家どうした?」
「先生。すみません、飲み物を持ってくるのを忘れていたことに今気がついて。近くのコンビニに行って買ってきてもいいですか?」
「構わないが、あそこは時間がかかるぞ? 一人だと危ないんじゃ」
3320